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第九章 反逆の狼牙編
EP259 泥酔に溺れる思考 <☆>
しおりを挟む「へえぇっ!君たちまだ10代なんだぁ!」
「はい!僕が16で!」
「俺が15!」
「私は14です!」
「偉いなぁ!アハハハハッ!」
完全に酔いまくった半裸の脳筋は、雰囲気で会話をしている。
頭の中が真っ白で、何も考えられない。そもそも、何かを考えようとすら思えない。
「征夜さんは、何の為に戦ってるんです!?やっぱ、世界平和ですか!?」
「勿論!世界平和だよ世界平和!うおおぉぉぉッ!!!やっぱ!平和が一番だぁーッ!」
バンバンバンバンバンッ!!!
雄叫びを上げながら卓上に立ち上がり、剥き出しになった胸筋を両手で叩く脳筋。
もはや、完全にゴリラ。何処からどう見ても、ドラミングにしか見えない奇行である。
やはり、この男に酒を飲ませてはいけない。低俗すぎる痴態が、抑え切れずに露呈してしまう。
「今度、僕たちにも剣を教えてください!」
「おう!勿論!」
茹でダコのように真っ赤な頬に満面の笑みを浮かべながら、征夜はその場のノリで、適当な返事をした――。
~~~~~~~~~~
「アルスぅ!お前はなんで入ったんだよ!」
「は?え、あぁ・・・。」
(うおぉ!関わりたくないッ!)
度を越した征夜の奇行にドン引きしていたアルスは、征夜から距離を取って、目線をずらして酒を飲んでいた。
関わりたくない。話し掛けられたくない。絶対に巻き込まれたくない。そう思っている時ほど、向こうからやって来る。
「有るんだろ!?理由!」
「お、おう!周りの奴らを見返す為だ!」
「そうかぁ!なら、筋トレしようぜ筋トレ!」
「は?何の話?」
突如として、論理が謎の方向にブッ飛んだ。
アルスの言葉に付き合う気など最初から無く、自分が話したい事だけを話すつもりのようだ。
「やっぱ筋力よ!ムキムキボディが一番大事だ!」
「いや、聞いてないよ・・・。」
「筋肉は良いぞぉ!世界が変わって見える!
目に入る奴の大半が、ブチのめせるようになるからな!ワハハハハハハハァッ!!!!!」
「コイツ人の話聞かねぇな・・・。」
完全に頭がおかしくなっている征夜の腕に組み付かれながら、アルスは呆れ果てていた。
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