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共通ルート
EP1_③
しおりを挟む馬車から降り、今度こそ城に向かおうとするセレア。そんな彼女を、御者は少しだけ呼び止めた。
「最後に一つ、質問を良いですか?」
「えぇ、良いわよ。」
「お客さんは、どうして今も娼婦をしてるんですか?
モデルとか女優とか、他の仕事でも良かったんじゃ……。」
「フフッ♡ 確かにそれなら、安全で安定してるわね。
でも私、やっぱりこの仕事が好きだから。 天職だと思うのよ。」
「淫魔だから……ですかね?」
「もちろん気持ち良いのもあるし、スリルがあって退屈しないのもある。 けど、それだけじゃないの。」
「例えば……?」
「この仕事をやっていれば、今回みたいに貴族と知り合える事が多いでしょう?
お小遣いがもらえる事も有るし、頼めば何でもしてくれる人とかも居るからね。」
「そんなにお金を稼いで、何に使うんですか?」
「ヒ・ミ・ツ♡」
セレアは悪戯っぽく笑って、回答を濁した。
これではまるで、人には言えないような用途に散財していると思われそうだが、実際には違う。
彼女は給与の大半を、孤児院への寄付に当てている。
貴族への頼みと言うのも、大半は身寄りのない子供たちへの融資だ。
彼女はその事を、極力口外しないようにしている。
自分の事は淫らな牝牛だと思ってくれて構わないし、むしろ慈善家扱いされた方が恥ずかしいからだ。
貴族は彼女の豊満な女体を堪能し、幸せな気分になる。彼女は貴族の魔力を吸う事で、エネルギーを補給できる。貧しい子供達はお金を貰う事で、健康で文化的な最低限度の生活が送れる。
セレアの旨みだけが少ないが、そこを我慢さえすればwin-win-winである。そもそもセレアは倹約家なので、衣食住を保証された娼館での生活では金が余ってしまうのだ。
「それに、娼館には私の居場所があるから。
可愛い後輩ちゃん達が私を頼ってくれて、その力になれる。 沢山のお客さんが私に甘えてくれて、癒してあげられる。 それだけで、働く理由は十分でしょう?」
「なるほど……。」
「私にしか出来ない事……って言ったら傲慢だけど、私が一番上手く出来る自信があるから。
大変な事も多いけど、楽しい事もいっぱいある。 体だけじゃなくて、心が満たされて幸せになるのよ。」
「なるほどぉ……。」
「私の奉仕で誰かが幸せになって、私もお金を沢山もらえる。 これが一番良い仕事だって、本気で思ってるもの……♪」
「物は考えようですねぇ……。」
風俗街はやはり、御者には理解しかねる世界だ。
しかし、セレアというフィルターを通して覗いてみると、納得はできる気がした。
もしかしたら、彼女の瞳から見た世界は、他の人間とは全く異なる角度から描かれているのかもしれない。
「それに、娼婦として抱かれていれば、理想の殿方と出会える確率も上がるしね♡」
セレアは自分の美貌に自信がある。
絶世の美女とまではいかずとも、娼婦としても最高クラスの美貌はあると自負していた。
だからこそ、そんな評判を聞き付けて理想の男が会いに来るのではないか。そういった、淡い期待もあった。
だがやはり、そう上手く行かない物である。
今日までに出会った中で、理想を満たす唯一の男。彼は、その評判を全く知らない者だった――。
「お客さんは美人だし、優しいし、きっと大丈夫ですよ! 絶対に良い男に会えますって!」
御者は心の底から、彼女を応援したくなった。
多くの男と同じように、彼もまた体だけでなく心までも彼女の虜となっていたのだ。
「ありがとう♡ あなたとのエッチ、とっても気持ち良かったわよ……♡」
「そう言ってもらえると嬉しいです!
……気を付けてくださいね。 絶対に、油断しちゃダメですよ。」
「はぁ~い♡……それじゃ、さようなら! またいつか会えると良いわね!」
最後に優しく抱擁を交わした二人は、いよいよ逆方向に向けて進み出した。互いに背中を向けて思うのは、全く違う事であった。
「クラリアス家か……あの女……心配だなぁ……。」
「このお城に、理想の旦那様が居たら良いけどな……。
まぁ、居なければすぐに脱出して、元の仕事に戻れば良いよね!」
不安で顔を曇らせた青年とは対照的に、彼女は楽観的だった。
ひたすらに暢気な事を思いながら、彼女は城に向けて歩み出す。
まさか、たった今別れた男が娼婦として過ごす人生における最後の客だとは、微塵も思っていないようだ――。
~~~~~~~~~~
「大きなお城ねぇ~!」
思わず嘆息を漏らすほど、その城は立派だった。
領主とその血族が住んでいる家屋なのだから、豪華なのは当然である。
それだけではなく縦にも横にも広大で、四方を暗い森に囲まれている。
(私のお部屋は一体どんな所かしら……。 もしかして地下牢だったりして……♡
ちょっと怖いけど……そういう体験もありよねぇ……♡ ウフフフ♡ 楽しみだわぁ……♡ どんな変態さんに調教されちゃうのかなぁ……♡)
裸のまま冷たく暗い地下牢に閉じ込められた自分を想像すると、下腹部の疼きが止まらなくなってくる。
これまで様々な貴族の城を巡業……もとい出張してきたセレアだが、今回ほど熱烈な指名を受けたのは初めてだ。
様々な変態貴族に抱かれて来たセレアでも、流石に自室が地下牢であった事はない。
飛び抜けて型破りな今回の飼い主なら、まだ見ぬ新鮮な展開を齎してくれるのではないか。そう思うと、つい先ほど履き替えたばかりなのに、早くも股座が濡れそうになる。
(ダメダメ! また履き替える事になる! 集中よ私!)
そんな事を思いながら、彼女は一切の遠慮なくズケズケと庭園に侵入した。外壁の真下から城を見上げると、それは更に巨大に見える。
恐らく高さは50メートルで、外周は一辺の長さが100メートルを超える正方形。
煉瓦造りの巨大な城は、まるで監獄や迷宮のように来る物を捕らえ、決して逃がさないと言わんばかりに鎮座している。
(鍵は……開いてるわね。 それじゃ、これからよろしく!)
セレアは大きく息を吸うと、牙を剥きながら座して待つ怪物の口に、悠々と飛び込んで行った。
ここから先に待ち受ける激動の運命にも露知らず、可憐な笑みを浮かべている姿は、あまりにも無防備と言わざるを得ない。
だが、それも無理はないだろう。
この時の彼女にとって、今回の訪問はよくある仕事の一つに過ぎなかったのだ――。
~~~~~~~~~~
扉を潜ると、そこは暗闇に包まれていた。
シャンデリアに光は灯っておらず、不気味なガーゴイルの銅像が、侵入者の淫らな女体を品定めするように見下ろしている。
(ウフフ、趣味の良いお屋敷だわ♪)
これは皮肉でも何でもない。
半身が悪魔である彼女にとって、ガーゴイルは同胞のような物だ。不気味でもなければ、悪趣味でもない。
そんな事を思いながらエントランスを見渡していると、背後で開いていた扉が突如として閉まった。
(あら? 何も見えなくなっちゃった。 これは困っ)
そこまで考えた時、突如として彼女の思考はピンク色の快楽に染まった。
もみゅっ……♡
「きゃあっ!?」
もにゅっ♡ むにゅっ♡
「あっ♡ んっ♡ んっあぁんっ!♡
誰ぇッ!?♡ だ、ダメよ……やめて……♡ おっぱい……弱いのに……♡ あぁっ……そんなに……揉んじゃ……♡」
暗闇から伸ばされた手が背部から彼女の豊満な乳房を鷲掴みにし、揉みしだく。
ブラジャーを付けているとは言え、ソレは敏感で脆弱な果実。それなのに乱暴に責められ、与えられた快楽を余す事なく彼女に伝えてしまう。
(乱暴に揉まれて……痛いはずなのに……感じちゃう……/// これも……開発のおかげなの……!?)
セレアは最近まで、乳房に不感症を患っていた。
長い娼婦人生の中で、幾度となくガサツな男の手に弄ばれて来た彼女の体。その中でも特に目を引く、二つのたわわな果実。
誰もが触り、責め立て、感じさせようとする。それがむしろ逆効果だった。責められ続けるほど、彼女の乳は性的快感を感受しなくなっていた。
(あぁんっ♡ だめぇ♡ お胸が……ビリビリしてる♡ お腹が溶けちゃうっ♡ 気持ち良いよぉ……♡)
しかしほんの数週間前、ソレは完全に別物とも言えるほど覚醒させられた。
元カレが眠っていた快感を一晩のうちに呼び覚まし、逆に全身の中で最も敏感な性感帯へと生まれ変わらせたのだ。
(おっぱい揉まれて……子宮が……喜んでるっ……♡ ママになって……お乳あげたいって……体が言ってるよぉ……♡)
乳腺が締め付けられる感覚が女としての本能を煽り、母親になる準備を始めた子宮がウズウズと波立つような快感を伝える。
――しかし、その責め苦は突然止まった。
「え?」
暗闇で1人セレアが悶えていると、次第に胸を弄ぶ指の感触がスーッと薄れて行った。
締め付けは緩くなり、乱暴に揉まれる事もない。薄暗がりの中に腕がある事だけが分かる。
「あら……おやめになるのですか……?」
てっきり、このまま延々と揉みしだかれると思っていたセレアは、少し肩透かしを喰らった気分になる。
「ウフフ♡ 興奮しすぎですよ、えっちな貴族さん……♡ せめて……ブラは外してくださいな……♡」
(ちょっと可愛い人ね……♡)
相手がどんな気持ちなのかは分からないが、下着を脱がす発想も出ないくらい興奮しているのだろう。
いきなり後ろから抱き付かれるのは珍しくないが、ここまでガッつかれるのは滅多に無い。焦っているようにも感じられ、その慌て方にセレアは萌えた。
「おっぱい揉みたいんですよね……ほら……良いですよ……♡」
虚空に這い逃れる腕を優しく掴んで、今度は自分から胸に押し当てた。
下乳から外周を包むように撫で摩らせ、その輪郭を伝える。その後は「自由に揉んでください♡」と言わんばかりに、手の甲をサワサワと優しく撫でた。
「フフフ♡ 好きなだけ……揉み揉みしてくださ、ひゃぁ"ッ!?💕💕💕」
たっぷりと余裕を込めた笑みを浮かべ、熟れた女の声で誘惑したセレア。
しかし、その余裕はあっという間に崩れ去り、ウブな10代のような嬌声をあげてしまう。
(な、なにっ!? いきなり直接! しかもこれ……さっきと違う……っ💕)
指先が布を擦り抜けて、いきなり素肌に触れて来た。
急に訪れた人肌の温もりに驚いたセレアは、胸を両手で庇いながら蹲ろうとする。――が、しかし。乳房に触れる謎の魔手は、セレアの接触を透過した。
「ん"っ……ぁ💕 ダメ……それ……ホントに気持ち良い……💕 その触り方……やめてくださ……あぁん💕」
(触れない……すり抜ける……!? こんなの……逆らえない……///)
引き剥がそうとしても、その無遠慮な痴漢には一切の干渉が出来ない。
今の彼女に出来る事は、嫌がる素振りを見せながら甘い吐息を漏らす事で、相手の同情を誘う事だけ。――だが、それは既に茶番に過ぎなかった。
もにゅ……もみゅ……💕
(あぁん……💕 ホントに……ダメぇ……💕 気持ち良い……これ……ダメなの……💕)
愛撫の趣が変わった。
これまでの乱暴でガサツな責めとは異なる、優しく包み込むようなタッチで下乳を揉み摩られるのだ。
与えられる快感の種類も、先ほどとはまるで違う。そのせいか、セレアの嬌声にも普段とは違う艶が滲み出ているようだ。
(大きくて優しい手に……女の幸せ教えられちゃう……💕 あぁ💕 こんなの……ダメ……なのに……💕 おっぱい……気持ち良いよぉ……💕)
目に見えず、触れる事も出来ない謎の腕。
無防備な乳房をサワサワと撫でられ、抵抗を許されぬまま弄ばれる不気味な感覚に快楽を感じる自分がいた。
(触り方……優しくするの……ズルイ……💕
お腹が……キュンキュンして……気持ち良い……💕)
性器と並んで女性の象徴たる乳房。
その扱い方が、あからさまに変わった。胸部を覆っているふくよかな駄肉ではなく、赤子を育む為の神聖な果実として尊重されるかのように。
(飴と鞭なの……!? 私のこと……情婦にしようとしてる……!? 分かりやすい……分かりやすいけど……んっ💕)
相手の思惑は分からないが、このままでは手籠にされてしまう。
躾に緩急を付けるのは調教の常套手段だ。普段のセレアなら警戒するが、今回は例外だった。
(ダメ……屈しちゃダメ……💕 こんな……変態さんに……ドキドキしちゃダメ……///)
胸の高鳴りと下腹の疼きが連鎖して、セレアの脳をピンクに染める。
乳房の快楽神経が悲鳴を上げ、それが全身へと伝播していく。上半身と下半身の間で木霊する劣情が全身を火照らせ、乙女心をマゾヒスティックな悦びに浸した。
悦び――そう、悦びだ。
飴と鞭の緩急が、ご褒美のように錯覚する。
勝手に乱暴な愛撫をされ、勝手に優しい愛撫をされている。普段の客なら注意するか、相手によっては怒号を飛ばすような状況だ。
それなのに、今回の相手は違う。
胸か、尻か、顔か、それとも魂か。相手が自分の何を気に入ったのかは分からないが、いずれにせよ雌としての価値を認められている。
極めて上から目線な評価であり、言い方を変えれば傲慢とも取れる不遜な評価。――しかし、ソレを「嬉しい」と感じさせる不思議な魅力が、この腕の持ち主にはあるのだ。
(私……可愛がられてる……遊ばれてるんだわ……///
この方は……私より遥か高みにいる……💕 私……タダの女なんだって……分からされちゃう……///)
この腕は、間違いなくありふれた傲慢な富豪とは違う。
それと同時に指先を伝う覇気と迫力から、どうしようもないほどの自分との格の違いも簡単に分かる。
喩えるなら社交界に出た「富豪」が本物の「貴族」の威光に当てられ、自信を喪失する時のように。
自分の中にあった「半人半魔のプライド」「娼婦のプライド」そして何より「女としてのプライド」が悉く粉砕され、その代わりに「タダの女」ひいては「牝牛・奴隷」の烙印を押されるような衝撃。
セレアは直感でソレを理解し、本能で享受した。
そうなってしまっては、彼女に抗う術は無い。最初からステージが違いすぎたのだ。
(やめて……あたま変になる……💕 心も体も溶けて……力が抜けて……ぁあ💕 もうダメ💕 こんなの……降参するしか……💕)
パタンッ……!
<……っ!?>
心と体、前後左右、内と外。
快楽の包囲陣に巻かれたセレアは、腰を抜かしてへたり込んだ。
力無く尻餅をつく彼女を見て、背後に感じる謎の気配は微かに動揺する。
「あっ……💕 だ、ダメ……💕 やめてぇ……💕 もう、立ってられないからぁ……💕」
自らの無防備さを、相手に申告すると言う愚行。
隙を晒して更なる追い討ちを許してしまうが、それすらも悦んでしまう自分がいた。
「ぁ……ぁあ……んっ💕 えっちな……貴族さん……💕 私……どうする……気……ふむぅっ!?」
ガシッ……!
右脇から滑り込んだ謎の腕に、下乳を抱き上げられる姿勢で支えられた彼女。
腰を抜かし、身を委ねる事しか出来ないまま、口と鼻を覆うように左手でハンカチを押し当てられた。
「んっ! んむっ!? んむぅううっ!!!」
(や、やだ何!? まさかこれ毒!? は、放し……ぁあ💕)
鼻腔を通って脳内に浸透する、ピリッとした感覚。
不快ではないが、危ない心地がする。この布を吸ってはいけないと本能が警告する。――が、しかし。その抵抗も許されない。
「んっ💕 んぅっ💕 ふむぅ~っ!💕」
(あっダメ💕 それらめっ💕 今は……乳首らめぇ……💕)
目に見えない右手の指先に、乳頭を優しく撫で摩られる。
脆弱な乙女の秘所に加えられる、優しくも鋭く刺激的な快感。セレアは堪らず息を乱してしまい、ハンカチを吸い込んでしまう。
「んむぅっ……! んんっ……! ん……💕」
(吸っちゃダメ💕 吸っちゃダメなのに💕 気持ち良くて……💕 自然と……吸っちゃう……💕)
大きく息を吸っても、激痛や幻覚などは起こらない。
どうやら毒ではなく、麻痺薬と併用した睡眠薬のようだ。その事に安心すると、もはや薬を吸う事への警戒心すら無くなった。
(あっ……睡眠薬……💕 全身に効いてる💕 動けない💕 あっ💕 気持ち良いっ💕 イクっ💕)
「んぁっ……💕」
ピクピクと痙攣し、小さく絶頂する。
麻痺という危険な快楽が全身に伝わり、彼女に多幸感を齎した。全身の筋肉がぼんやりと弛緩して、気を抜けば尿意すら催しそうになる。
「ぁ……ぁあ……あへぇ……💕💕💕」
(ぁ……ぁ"あ……💕 ちくび……らめぇ……💕 そこぉ"……イぃ"💕 良い"のぉ"💕💕💕)
テクニカルな乳首責めと薬の力。ハンカチによる酸欠も合わさって、セレアの快楽は増幅する。
目の端からは涙の筋が溢れ落ち、口の端からはヨダレが垂れる。トロトロに解れた声帯からは、無様な喘ぎが漏れてしまう。
(手も……足も……ピリピリする……💕
だめ……寝たら……Hなお仕置き……されちゃう……/// 捕まっちゃう……裸にされて……レイプ……されちゃう……///)
目が覚めたら手足を鎖に繋がれ、裸のままベッドに横たわっているかもしれない。
目には布を巻かれ、口には猿轡を噛まされ、暗黒に囚われる。一切の抵抗を許されないまま、剥き出しになった淫靡な女体を慰み者にされるのだ。
暗い部屋、誰の助けも望めない絶望的な密室。
雁字搦めに拘束されて、男の欲情を心身に刻み込まれる感覚。女を奴隷にしようとする変態の煮え滾るような劣情は、セレアにどんな調教を加えるのか。
淡い色をした瑞々しい乳首を、媚薬の付いた筆で虐められるかもしれない。
脆弱な女性器を玩具のように弄ばれれば、強引な快楽に悶える苦しげな喘ぎと、くちゅくちゅという卑猥な水音だけが響く――。
(ダメ……ダメなのに……逆らえない……///
怖いけど……気持ち良いの……💕 この方になら……少しくらい……💕)
娼婦として長年働くと、言葉を交わさずとも相手の心が読めるようになる。
そして今、乳房を揉み摩る指先の感覚から紳士の波動を感じた。
当初の乱暴な責めが嘘のように、後半は女心を掴んで離さない健全な愛撫だった。
長年の経験から察するに、こういう男は精神の中枢が成熟した大人である事が多い。
(良いですわ……私の……降参です……♡
久しぶりに……ドキドキしましたわ……♡ お望み通り……好きなだけ犯してください……♡)
莫大な借金を背負わせるという大胆な行動と、それに相反して乙女を労るような優しいスキンシップ。
心と体の両面から、セレアを堕とそうとしている。これほど情熱的な指名を受けたのでは、娼婦として断るわけにはいかない。
(本当は……この程度じゃ……眠らないけど…………ンフフ♡)
彼女に与えられた薬は快楽を与えるには十分でも、効果は今ひとつだった。
半魔である彼女にとって人間用のソレは少々量が足りない。眠る事は出来ず、微睡むくらいの程度である。
(おやすみ……なさい……えっちな……貴族……さん……。)
サービス精神を働かせた彼女は、自らの意思で相手の求めに応えた。
ゆっくりと目を瞑り、意識を手放す。そうして、その扇情的な女体の全ては謎の紳士に委ねられた――。
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