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1章 アンジェラス1は転生する
39話 魔法剣造り
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打ち続ける事、数時間後。
やっと、赤い宝石が大分変形してきた。
「疲れただろうから休憩して良いよ。少し修正するから、皆んなは地下から出て行って。」
そう言えば、疲れ切った顔で皆出て行ってくれた。鍛治士達は名残惜しそうにしていたがフェリックスとリアストスに連行された。
「ふぅ……素人にしては、良い調子だね。良い人材ばかりが揃っててよかったよ。」
手元を見てたけど、宝石を盗んだ者は誰一人としていなかった。
先日の魔法に関しても皆、口を噤んでいる。
「よし、やるろうっと。」
少しだけ、疲れるけど頑張っている人達が居るのだから、手を抜く訳にはいかない。
ちゃんと向き合わないと。
「フェル、少し出てくれる?」
少し蒸れるだろうから、胸の中から出して他の椅子に座らせる。
『不恰好ナ武器ダナ。』
「素人だからね。」
金槌を持って、いろんな方向から打つ。
「それにしても、懐かしいな……」
『魔法剣ガカ?』
「うん。海色のキューブを世界の石様に貰うまでは折れるたびに魔法剣を必死で造り上げてね……汗だくで造ってたよ。」
『自身ヲ見テ居ル感覚トイウ事カ。』
「そういうこと。」
魔力が入って、赤く光りながら少しずつ剣の形へ変化していく。
『魔法デ、一気ニ変形サセンノカ?』
「この宝石は、完成するまでに少しでも魔法を感じ取ると割れるから。」
『面倒ダナ。』
「でも、滅多な事がない限り折れないよ。私たちアンジェラスは別だけど、少なくともエルフや獣人たちには、絶対に折れない物だからね。」
取り敢えず、一つ目が完成した。
「まだまだ有るね……」
汗を流しながら、数時間かけて赤い宝石を打ち続けた。
***
アンジェラス1ことアンジュが魔法剣を作り上げている一方で、休憩している者達は結構寛いでいた。
「いやー、大将軍は悪いひとじゃないけど、スパルタだよな。」
「でも、美少女だから良いじゃないですか。」
「確かに18だっけ?」
「めちゃ、美人で可愛いっすよねー。あの桃色の髪と金色の瞳とか天使みたいです。何故か寝巻きですけど。」
「確かに寝巻き姿で天使みたいだが中身が自己中心的なだからな。しかも、それに気づいてて直さないし、人のことを考えない曲者だ。」
「自覚していても直さないのは相当な曲者ですね。普通ダメな事に気づいたら直しますけど……あと、非常識でもありますね。」
「年上の人に対して敬語を全く使ってない事だろ?流石にフェリックス様に対して気軽に呼んでた事は驚いたな。」
「それはもう、ビックリしましたよ。あの人、めちゃくちゃ厳しかったのに、今日アンジュ様と話してる時は、ただの優しい老人でしたもん。」
「すっげー、目を疑ったぜ。」
「でも、それを言うとリアストス様も同じですけどね。」
「氷の貴公子様が、優しいお兄さんに見えたからな。」
「全く、不思議な人ですよ。」
「あぁ……非常識さを探すの楽しそーだよなー。」
「多分、今から色々分かりますよ。」
「だろうな。」
そう、とある兵士達は苦笑いをして休憩時間は過ぎていった。
***
ついに完成した。
人数分の剣を、やっと打ち終わった。
「はぁ……疲れた………」
『オ疲レ様。』
「ありがとう~」
まだ、休憩室にいる兵士達を呼ぶ気にはなれなくて一旦椅子に座って休憩する。
少し汗臭いから、水の魔法で全身を寝巻き(店のバイトを辞めた時から、ずっと桃色のワンピース型寝巻き)ごと濡らして風魔法で乾かす。
そして、匂いも完全に消えた事を確認してからフェンリルに呼びにいってもらう。
「いてらっしゃい、フェル。」
『アァ。』
フェンリルの背を見送ったあと、放置していた触れるだけで赤い宝石の出ていたキューブを閉じて、懐へ直す。
「はぁ……」
溜め息を溢しつつも、疲れを見せない為に気を張って皆がくるのを待つ。
アンジェラスとして、獣人風情に弱っている姿なんて見せられない。
勿論、大将軍だからというのもあるが。
「やっと来たね。」
余裕の笑みで、出迎えると驚きの声が上がった。
「「「これ、全部アンジュ様がしたんですか!?」」」
「そうだよ。こんなの私にかかれば、すぐ終わるよ。」
「「「凄いです!!」」」
「汗ひとつかかなかったよ!」
フェンリルからの視線が胡乱げな視線を送られるが、知らないふりをする。
「大将軍だからね!」
「「「流石です!!」」」
「もっと褒めて良いよ~!」
「「「流石アンジュ様!!」」」
調子に乗れば、気を悪くする事なく冗談でちゃんと返してくれるから、面白い。
「ふふっ……やっぱり、面白いね。」
「おもしろい?」
キョトンとした顔をする兵士達に、笑いかける。
「うん、退屈しないって意味だよ。」
私が知っている人達は、人間や獣人を含めて知らない知識や力、自分にはできない事を最も簡単に成してしまう者がいると、嫉妬したり妬んだりしていたけど、この人達は全くそういう所が見受けられない。
良い人たちの集まりだと思う。
「この世界の人達は、他の世界と比べて優しいのかな……」
『多分ナ』
「???」
こっそりと私は胸へ、フェンリルは胸から呟きあう。
「じゃあ、あとは最後の仕上げをするから早く座って。結構楽しいから、もう汗は流さない筈だよ。」
「「「はい!」」」
鍛治士のビオレッタとリオレッダもフェリックスもリアストスも、楽しそうに返事をしている。
老人の声も違和感がないのだから凄いと思う。
「やり方は簡単だよ。貴女達がカッコいいと思う装飾や形を粘土で作る様なイメージで作るの。もう硬くないから自由に変形できるよ。もちろん、刃の部分もね。」
そう告げると同時に、各々が楽しそうに取り掛かった。
やっと、赤い宝石が大分変形してきた。
「疲れただろうから休憩して良いよ。少し修正するから、皆んなは地下から出て行って。」
そう言えば、疲れ切った顔で皆出て行ってくれた。鍛治士達は名残惜しそうにしていたがフェリックスとリアストスに連行された。
「ふぅ……素人にしては、良い調子だね。良い人材ばかりが揃っててよかったよ。」
手元を見てたけど、宝石を盗んだ者は誰一人としていなかった。
先日の魔法に関しても皆、口を噤んでいる。
「よし、やるろうっと。」
少しだけ、疲れるけど頑張っている人達が居るのだから、手を抜く訳にはいかない。
ちゃんと向き合わないと。
「フェル、少し出てくれる?」
少し蒸れるだろうから、胸の中から出して他の椅子に座らせる。
『不恰好ナ武器ダナ。』
「素人だからね。」
金槌を持って、いろんな方向から打つ。
「それにしても、懐かしいな……」
『魔法剣ガカ?』
「うん。海色のキューブを世界の石様に貰うまでは折れるたびに魔法剣を必死で造り上げてね……汗だくで造ってたよ。」
『自身ヲ見テ居ル感覚トイウ事カ。』
「そういうこと。」
魔力が入って、赤く光りながら少しずつ剣の形へ変化していく。
『魔法デ、一気ニ変形サセンノカ?』
「この宝石は、完成するまでに少しでも魔法を感じ取ると割れるから。」
『面倒ダナ。』
「でも、滅多な事がない限り折れないよ。私たちアンジェラスは別だけど、少なくともエルフや獣人たちには、絶対に折れない物だからね。」
取り敢えず、一つ目が完成した。
「まだまだ有るね……」
汗を流しながら、数時間かけて赤い宝石を打ち続けた。
***
アンジェラス1ことアンジュが魔法剣を作り上げている一方で、休憩している者達は結構寛いでいた。
「いやー、大将軍は悪いひとじゃないけど、スパルタだよな。」
「でも、美少女だから良いじゃないですか。」
「確かに18だっけ?」
「めちゃ、美人で可愛いっすよねー。あの桃色の髪と金色の瞳とか天使みたいです。何故か寝巻きですけど。」
「確かに寝巻き姿で天使みたいだが中身が自己中心的なだからな。しかも、それに気づいてて直さないし、人のことを考えない曲者だ。」
「自覚していても直さないのは相当な曲者ですね。普通ダメな事に気づいたら直しますけど……あと、非常識でもありますね。」
「年上の人に対して敬語を全く使ってない事だろ?流石にフェリックス様に対して気軽に呼んでた事は驚いたな。」
「それはもう、ビックリしましたよ。あの人、めちゃくちゃ厳しかったのに、今日アンジュ様と話してる時は、ただの優しい老人でしたもん。」
「すっげー、目を疑ったぜ。」
「でも、それを言うとリアストス様も同じですけどね。」
「氷の貴公子様が、優しいお兄さんに見えたからな。」
「全く、不思議な人ですよ。」
「あぁ……非常識さを探すの楽しそーだよなー。」
「多分、今から色々分かりますよ。」
「だろうな。」
そう、とある兵士達は苦笑いをして休憩時間は過ぎていった。
***
ついに完成した。
人数分の剣を、やっと打ち終わった。
「はぁ……疲れた………」
『オ疲レ様。』
「ありがとう~」
まだ、休憩室にいる兵士達を呼ぶ気にはなれなくて一旦椅子に座って休憩する。
少し汗臭いから、水の魔法で全身を寝巻き(店のバイトを辞めた時から、ずっと桃色のワンピース型寝巻き)ごと濡らして風魔法で乾かす。
そして、匂いも完全に消えた事を確認してからフェンリルに呼びにいってもらう。
「いてらっしゃい、フェル。」
『アァ。』
フェンリルの背を見送ったあと、放置していた触れるだけで赤い宝石の出ていたキューブを閉じて、懐へ直す。
「はぁ……」
溜め息を溢しつつも、疲れを見せない為に気を張って皆がくるのを待つ。
アンジェラスとして、獣人風情に弱っている姿なんて見せられない。
勿論、大将軍だからというのもあるが。
「やっと来たね。」
余裕の笑みで、出迎えると驚きの声が上がった。
「「「これ、全部アンジュ様がしたんですか!?」」」
「そうだよ。こんなの私にかかれば、すぐ終わるよ。」
「「「凄いです!!」」」
「汗ひとつかかなかったよ!」
フェンリルからの視線が胡乱げな視線を送られるが、知らないふりをする。
「大将軍だからね!」
「「「流石です!!」」」
「もっと褒めて良いよ~!」
「「「流石アンジュ様!!」」」
調子に乗れば、気を悪くする事なく冗談でちゃんと返してくれるから、面白い。
「ふふっ……やっぱり、面白いね。」
「おもしろい?」
キョトンとした顔をする兵士達に、笑いかける。
「うん、退屈しないって意味だよ。」
私が知っている人達は、人間や獣人を含めて知らない知識や力、自分にはできない事を最も簡単に成してしまう者がいると、嫉妬したり妬んだりしていたけど、この人達は全くそういう所が見受けられない。
良い人たちの集まりだと思う。
「この世界の人達は、他の世界と比べて優しいのかな……」
『多分ナ』
「???」
こっそりと私は胸へ、フェンリルは胸から呟きあう。
「じゃあ、あとは最後の仕上げをするから早く座って。結構楽しいから、もう汗は流さない筈だよ。」
「「「はい!」」」
鍛治士のビオレッタとリオレッダもフェリックスもリアストスも、楽しそうに返事をしている。
老人の声も違和感がないのだから凄いと思う。
「やり方は簡単だよ。貴女達がカッコいいと思う装飾や形を粘土で作る様なイメージで作るの。もう硬くないから自由に変形できるよ。もちろん、刃の部分もね。」
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