ゲームを始めたはずの私は、なぜか異世界で勇者《最弱職》になりました

二章 ダンジョン探索は冒険者のロマンでしょ？

ダンジョンドラーズ、ハラハラドキドキ探索！ 18

「ふざけたこと言わないで！　私は、さっきここが夢の中なのか確かめるために、自分の頬をつねって確かめたの。そして、つんとした痛みを感じた。ここが、夢の中だって言うんだったら、その痛みはなに？」

「あの、なぜ痛みを感じると夢の中ではないんですか？」

「はい？　そんなの、常識だ──」

「夢の中でも痛みは感じますよ。ただ、そこで起きるのか、起きないのかの差です。もし、スズメバチなんかに刺されたりしたのだとすれば、飛び起きると思いますよ。頬をつねった程度ではあまり痛みを感じませんから起きないだけですね」

「なに言ってるのかわかんない」

　だって、私がこの世界に来る前に読んでた本とか見てたアニメとかでは、痛みを感じるかどうかで、ここの中が夢の中なのか判断してた。
　それが、違うだなんて言われたって、信じられるわけがない。
　しかも、私を騙して、何か良からぬものが入った紅茶を飲ませた、悪い魔女なのだ。
　そんな人の言葉を信じろという方が無理なわけで──……。

「信じられない、ということですか……」

「そういうこと。それが本当だって思えない」

「ですが、あなたの一つ前の記憶は、紅茶を飲んだ記憶なのではありませんか？」

「えっ？　いや、まあそうだけど。それとなにが関係あるの？」