ゲームを始めたはずの私は、なぜか異世界で勇者《最弱職》になりました

二章 ダンジョン探索は冒険者のロマンでしょ？

なぜか、喫茶店でバイトすることになりました21

　私はマギアが喜んでくれるか、ドキドキしながら帰りを待つ。
　がチャリと扉の開く音。

「ただい──」
　
「マギア、誕生日おめでとう！　これ、誕生日プレゼント」
　
　マギアが部屋に入ってくるなり、マギアを祝う。
　けど、当の本人のマギアは、なにが起きたのか理解できてないようだった。
　
「えっ？　どういうこと？」
　
「マギア、今日はあなたの誕生日でしょ？　だから、これ誕生日プレゼント」
　
「で、でも！　私、みんなに誕生日が今日だって話してないわよ？」
　
　未だにマギアは困惑したまま固まってる。
　というか、現状を理解することができていないといった感じだ。
　
「マギアのお母さんに、教えてもらったの」
　
「私のお母さんが？」
　
「そう。ねっ、私からのプレゼント開けてみてよ」
　
「うん！」
　
　マギアはすでに、とても嬉しそうだった。
　それだけで、私は肩の荷が下りたような気分だった。
　そして、マギアは嬉々として私からのプレゼントを開けると、マギアはパッと顔を輝かせる。
　
「これを、シズが？」
　
「そうだよ。どう？　気に入ってくれた？」
　
「もちろんよ！」
　
　私がマギアにあげた誕生日プレゼント、それは一つの指輪だった。
　なんの変哲もない、加護もない安物のシルバーリング。
　ただそのリングには、私とマギアの名前が彫ってある。

「誕生日に婚約指輪が貰えるなんて思ってなかったわ！」

「ただの指輪だよ！」