ゲームを始めたはずの私は、なぜか異世界で勇者《最弱職》になりました

二章 ダンジョン探索は冒険者のロマンでしょ？

なぜか、喫茶店でバイトすることになりました9

「シズクさんは、私たちの世界を救ってくれるでしょうか……」

　光も差し込まない、誰もいないこの場所で、私は一人そう溢した。

❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈

「それでは、私はバイトがあるのでもう行きますね」

「あっ、うん。それじゃ、また。頑張ってね」

　サティーは元気そうな笑顔を浮かべて、行ってしまった。

　あのあと、私は部屋に戻ると流れるように寝てしまった。
　けど、朝起きたときにはマリアがいたから、ちゃんと戻って来たと思う。

「シズクさん」

　そんなことを考えてると、マリアに呼ばれる。

「えっと、なに？」

「昨日のことなんですけど、内緒にしてもらえませんか？」

　なんだそんなことか……。
　でも確か、前にマリアに頼んで内緒にしてもらったことがあったはず……。
　それじゃ、これで貸し借りなしになる。
　まあ、そうじゃなくても内緒にしとくつもりだったけど。

「それじゃ、これで貸し借りなしね」

「そうですね。では、もう一つの話をしてもいいですか？」

　そこで、私はとても嫌な予感がする。
　なんか、マリアの笑みがとても怖い。

「その、もう一つの話というのは……？」

　私は仕方なく、恐る恐るマリアに尋ねてみる。
　そこで、マリアはニコッとすると、こう言った。

「サティーさんと同じ喫茶店でアルバイトしてきてください」