ゲームを始めたはずの私は、なぜか異世界で勇者《最弱職》になりました

R.K.

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二章 ダンジョン探索は冒険者のロマンでしょ?

なぜか、喫茶店でバイトすることになりました8

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「マリア、私は先に部屋に戻るよ?」

「その、もう少しだけ一緒に居てくれませんか?」

 マリアがそんな風に人に甘えることが、珍しいなと思う。
 だって、私たちの仲間パーティーでは最年長……だと思うだし、母親的な存在だったから。
 けど、そんなマリアだからこそ、誰かに甘えたかったのかもしれない。
 私が無言でマリアのことを見ていたからなのか、それとも普段言わないことを言って恥ずかしくなったのか、顔を恋する乙女のように真っ赤にしていた。

「その、だめですか?」

「それじゃ、ここで一つ貸しを返そうかな」

 その一言を聞けて安心したのか、マリアはほっと息をついた。


「その、いつまでこうしていればいいの?」

「今は、私のものなると言ったじゃないですか。いつまでもです」

「言ってないよ!」

 さっきからこの調子で、私に抱きついている。
 もしかして、ミリアってこんな気持ちだったのかな?

「もう少しだけ、お願いします」

 消え入りそうな声でそんなことを言われてしまっては、断ることなんてできなかった。

 しばらくすると、マリアは私を離してくれる。

「もういいの?」

「はい。私はもう少しここにいるので、先に戻っていてください」

「それじゃ、お言葉に甘えて」

 私は先に戻ることにした。
 月明かり差し込む部屋に。
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