ゲームを始めたはずの私は、なぜか異世界で勇者《最弱職》になりました

二章 ダンジョン探索は冒険者のロマンでしょ？

なぜか、喫茶店でバイトすることになりました7

「マリア、いろいろ聞きたいこともあるけど、これだけは聞かせて」

「なんですか？」

「あなたは、本当に私たちの仲間なの？」

「そんなことですか……」

　一番大事なこと。
　本当に、私たちの仲間なのか。
　もし、仲間じゃないんだとしたら、そのときは考えなきゃいけない。

「見ての通りですよ」

「見ての通り……？」

　私はマリアの言ってることが理解できなかった。
　なにが見ての通りなんだろう。

「もし、私が敵なんだとしたら、もうあなたを殺してますよ」

　その言葉で、私はしっかりと理解した。
　だって、この場所で私を殺せば、きっと気づく人はいない。
　いや、うさちゃんが気づくかもしれない。
　でも、私を殺そうという目的があるのだとしたら、すでに死んでいてもおかしくない。

「まあ、サティーさんは私について気づいたみたいですけど」

　サティーがなにか気づいた。
　けど、今の私にとってはそんなことはどうでも良かった。

「シズクさんは私について聞かないんですか？」

「聞かないよ。私たちの仲間なんだったら、それでいい。けど、本当に辛かったら相談してよ？私はマリアの見方だから」

　私はそう言って、微笑む。
　そこで、風が吹いて少しだけ木々の隙間から月明かりが差し込む。
　一瞬だけ見えたマリアの表情は嬉しそうだった。

「マギアさんの気持ちが少しだけですが、わかった気がします」