ゲームを始めたはずの私は、なぜか異世界で勇者《最弱職》になりました

二章 ダンジョン探索は冒険者のロマンでしょ？

喫茶店に行ったはずの私は、なぜか現魔王と会いました16

「そ、そんなこと言われたっているものはいるんだ」

　ハンディーが言うにはいるらしいが、それらしきやつはどこにもいないので、きっとハンディーの気のせいかなんかなのだろう。

　さっきの子だって、普通の......いや、Ｓ級美少女だったかもしれないけど、普通の女の子だった。
　角が生えてるとか、尻尾があるとか、そんなことはない。

　それに、ちょっとドジっ娘ぽそうだから、魔王として威厳も足りてない。

　そんなわけで、私はハンディーの言ってることを嘘と決めつける。

「ハンディー、やっぱり信じられない。だって、普通の女の子だったし、あの娘さっき、床に食器をぶちまけてたんだよ？」

「シズの言う通りよ！魔王がこんなところにいるわけない。ということで、シズの頭を煩わせたことを詫びて死になさい！」

　また、マギアがハンディーを殺そうとしてる。それを、私は呆然と眺める。

　なんとか、ハンディーはマギアを説得することに成功したらしい。

　ハンディーも自分の言ってることが信じてもらえるようなことじゃないとわかってるからなのか、そこで黙り込んでしまった。

　少し沈黙が続いたので、一度落ち着こうと、私は自分の紅茶を飲もうとして、中身が空なのに気づく。

　だから、私は店員を呼んでおかわりを頼んだのだった。