ゲームを始めたはずの私は、なぜか異世界で勇者《最弱職》になりました

二章 ダンジョン探索は冒険者のロマンでしょ？

喫茶店に行ったはずの私は、なぜか現魔王と会いました6

「わかったわよ！それじゃ、いい喫茶店を見つけたから行きましょう。それで、許してちょうだい」

　私があまりにも愚痴を言うので、マギアがそう言った。

　いや、急にお姫様と会うことになったら、誰だって愚痴をこぼしまくると思う。
　だって、お姫様に無礼をはたらいて、打ち首とかになったら最悪だから！

「マギアのおごり、だからね......？」

　私は頼むように、でも、それが絶対の条件であるようにそう言うと、マギアは微笑みながら、

「わかったわよ」

　とっても優しい声でそういった。

「わぁ～、最高ですよ～。とってもいいものが見れました～」

「お姉ちゃん......！私たちもいるのに、なんかいないような空気だよー......」

「俺たちだって、心配してたのにな......」

　3人が、いや、ハンディーは無視されてるな。
　でもって、ハンディーはなんか嘆いてるな。
　とりあえず、なんかコソコソ話してる。
　それ、私には丸聞こえですよー。
　そんなことを心の中でつぶやくと、私はみんなの方を向いて、

「ただいま」

　そう言った。
　私はこのとき、初めて知った。

　自分を心配してくれる人がいてくれることの大切さを。
　そして、大切に思える仲間がいることの素晴らしさを。

　だから私は、胸がチクリと傷んだ。