ゲームを始めたはずの私は、なぜか異世界で勇者《最弱職》になりました

一章 異世界で勇者《最弱職》になりました

中央都市へ行くわよ！42

「お、ねぇ～ちゃん......？」

　寝ぼけているからか、少し舌っ足らずなミリアの声に、思わずドキュンとくる。
　私とお姉ちゃんを間違えてると思うと、なんだかかわいい。
　それに、お姉ちゃんと間違えてるんだとしても、そう言われると妹ができたみたいで嬉しい。
　私は大胆に攻めるのはやめてるけど、相変わらずぎゅっと抱きしめながら、

「ミリアちゃん、私はお姉ちゃんじゃないよ？」

「う～ん。えっ？シズお姉ちゃんっ!?」

　そう言うと、予想外の甘美な響きが返ってくる。
　やばい、最高。
　もう、一生ここで暮らしたい。
　そう思ったのが災いしたのか、それとも罠だったのか、相変わらずミリアちゃんを抱きしめたままの私がいる部屋に、

「ミリアはここにいますか～」

　伸びやかな声とともに部屋の扉を開けたのは本当の姉のマリアだった。
　そして、私とミリアを交互に見ながら、今度は不敵な笑みを浮かべると、静かに私とミリアのいる部屋の扉を閉めどこかに行こうとする。
　その状況に一瞬呆気に取られていたけど、すぐにマリアを探しだして私の部屋に連れて行く。
　ミリアはきょとんしていたけど、とりあえず部屋に戻ってもらって、私はマリアと一対一で対峙すると、こう言った。

「それじゃ、話をしよう」