ゲームを始めたはずの私は、なぜか異世界で勇者《最弱職》になりました

一章 異世界で勇者《最弱職》になりました

中央都市へ行くわよ！39

　日をまたいでから、だいたい一時間が経過した頃、私は今日寝る予定の部屋についているベランダにでていた。

　マギアに解放されてから、私は自分の部屋にすぐに移動し寝ようとしたのだが、自分の部屋に来るまでの間でなんとなく目が覚めてしまい、ベランダにでて夜風にあたっていた。
　私の肌を撫でる風は少し肌寒く、元いた世界でいうと春に近い気候だと感じる。
　することもなく夜風にあたっていただけなので、なんとはなしに空を見上げていた。
　夜空には、無数のほし星が輝いており、どの星もとても綺麗だった。
　そんなとき、私は謎の懐かしさにかられ、ふと元いた世界のことを思い出す。
　楽しいようでつまらない日常を無駄に過ごしてただけの日々。
　けど、私は元いた世界でこんなふうに夜空を見上げたことなんてなかったなと思う。
　いや、一度だけあった。
　今の今まで忘れていたけど、一度だけでもあったから懐かしさにかられたのだと思った。
　私は柄にもないことをしてるなぁ～と、思いながらも、その時間をつまらないとは感じなかった。
　どこか、心地良さまで覚えてるほどだった。
　私はそんなふうに安心しきったことによって、急に今までの分の眠気がどっと押し寄せてくる。
　その眠気に誘われるようにして、私はベットで眠りについた。

　翌日、目を覚ますと目の前には──

　ミリアがいた。