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本編 殺す覚悟はもうできた
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あのあと、彼はこう言った。
「殺せるものなら殺してみろ。お前にできるならな」
そして、私がその言葉になにも返せないでいると、彼はなにを勘違いしたのか、満足そうな顔で、
「そういうわけだ。それじゃ、話は終わりだ。これで、婚約破棄は決定だ」
そう言い切ると、いかにも機嫌良さそうに行ってしまった。
わたし一人を残して。
ポツンと残された私。
急になにかを失ったことによる、大きな喪失感がわたしの心を支配する。
そして、その後には憎悪。
彼が憎い。許せない。いや、許さない。
絶対に殺してやる。
彼を、絶対に殺す。
『殺す、殺す殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す─...殺す殺す殺す...!』
わたしの頭の中では、もはや彼を殺すことしか考えられなくなってたそのとき、急に冷静になる。
もしかしたら、彼は私の本当の気持ちを確かめようとしてるだけなのかも知れない。
もしかしたら、なにかサプライズがあるのかも知れない。
そう思うと、急に胸がキュンキュンしてくる。
あ~、幸せ~!
彼が出ていった扉に手をかけ、私は彼を追いかけるように部屋をでる。
そして、すぐに彼の声は聞こえてきた。
けど、それは私の想像していたものとは違っていた。
だって、
「ねえ、ちゃんと婚約破棄してきた?私と結婚するからって...!」
「もちろんだ。君と結婚できるんだから......。お前は姉と違って、胸も大きいし、優しい。俺はお前と結婚した方が幸せになれる」
「もう~!で・も、嬉しい。お姉ちゃんにはいつも負けてばっかりだったから」
「なにを言ってるんだ。胸の大きさは段違いだ」
「もう~!胸のことばっかり...!」
私の妹の声とさっきまで婚約破棄の話をしていた彼の声と全く同じ声が聞こえてきたのだから。
このとき、私のなかでなにかが切れるのがわかった。
ああ、憎い。
そうだ、殺そう。それがいい。
私はそう決意する。
それは、簡単にとけるような決意なんかじゃない。
天地がひっくり返されても、たとえ私が死んだとしても揺るぐことのないほどの決意。
私と彼との結婚式はもう過ぎた。
結局、彼とはあのあと会っていない。
私の妹の方はといえば、何食わぬ顔で『残念だったね......。お姉ちゃんだったら、きっともっといい人が見つかるよ』そんなことを言っていた。
あんたが私から彼を奪ったくせに。
そう思うが、そこでそんなことを気にしても変わることなんてなにもない。
あれからずっと計画していた彼を殺す計画を成功させる方がよっぽど大切だ。
そうして、私は実行することにする。
結果は、失敗に終わった。
私の用意していた計画は、妹のよって彼に伝わっていたのだった。
それによって、私の計画は全てバレており、即刻わたしは捕まった。
私は彼を残酷にいたぶったあと殺す予定だったから、私の処遇は死刑。
当たり前だ。
それだけのことをしようとしていたのだから。
それぐらいの自覚はある。
だって、それだけのことをしたいからたてた計画だから。
「お前っ...!今日が死刑実行日だ!とっとと出てこい!」
私はハサミギロチンで殺されるらしい。
ああ、憎い。
彼が、妹が憎い。
殺したい。殺してやりたい!
絶対に許さない!
そして、大きな刃が私の首を切った。
その瞬間、切られたのだとわかってすぐ、痛みを感じる前に私は死んだ。
「殺せるものなら殺してみろ。お前にできるならな」
そして、私がその言葉になにも返せないでいると、彼はなにを勘違いしたのか、満足そうな顔で、
「そういうわけだ。それじゃ、話は終わりだ。これで、婚約破棄は決定だ」
そう言い切ると、いかにも機嫌良さそうに行ってしまった。
わたし一人を残して。
ポツンと残された私。
急になにかを失ったことによる、大きな喪失感がわたしの心を支配する。
そして、その後には憎悪。
彼が憎い。許せない。いや、許さない。
絶対に殺してやる。
彼を、絶対に殺す。
『殺す、殺す殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す─...殺す殺す殺す...!』
わたしの頭の中では、もはや彼を殺すことしか考えられなくなってたそのとき、急に冷静になる。
もしかしたら、彼は私の本当の気持ちを確かめようとしてるだけなのかも知れない。
もしかしたら、なにかサプライズがあるのかも知れない。
そう思うと、急に胸がキュンキュンしてくる。
あ~、幸せ~!
彼が出ていった扉に手をかけ、私は彼を追いかけるように部屋をでる。
そして、すぐに彼の声は聞こえてきた。
けど、それは私の想像していたものとは違っていた。
だって、
「ねえ、ちゃんと婚約破棄してきた?私と結婚するからって...!」
「もちろんだ。君と結婚できるんだから......。お前は姉と違って、胸も大きいし、優しい。俺はお前と結婚した方が幸せになれる」
「もう~!で・も、嬉しい。お姉ちゃんにはいつも負けてばっかりだったから」
「なにを言ってるんだ。胸の大きさは段違いだ」
「もう~!胸のことばっかり...!」
私の妹の声とさっきまで婚約破棄の話をしていた彼の声と全く同じ声が聞こえてきたのだから。
このとき、私のなかでなにかが切れるのがわかった。
ああ、憎い。
そうだ、殺そう。それがいい。
私はそう決意する。
それは、簡単にとけるような決意なんかじゃない。
天地がひっくり返されても、たとえ私が死んだとしても揺るぐことのないほどの決意。
私と彼との結婚式はもう過ぎた。
結局、彼とはあのあと会っていない。
私の妹の方はといえば、何食わぬ顔で『残念だったね......。お姉ちゃんだったら、きっともっといい人が見つかるよ』そんなことを言っていた。
あんたが私から彼を奪ったくせに。
そう思うが、そこでそんなことを気にしても変わることなんてなにもない。
あれからずっと計画していた彼を殺す計画を成功させる方がよっぽど大切だ。
そうして、私は実行することにする。
結果は、失敗に終わった。
私の用意していた計画は、妹のよって彼に伝わっていたのだった。
それによって、私の計画は全てバレており、即刻わたしは捕まった。
私は彼を残酷にいたぶったあと殺す予定だったから、私の処遇は死刑。
当たり前だ。
それだけのことをしようとしていたのだから。
それぐらいの自覚はある。
だって、それだけのことをしたいからたてた計画だから。
「お前っ...!今日が死刑実行日だ!とっとと出てこい!」
私はハサミギロチンで殺されるらしい。
ああ、憎い。
彼が、妹が憎い。
殺したい。殺してやりたい!
絶対に許さない!
そして、大きな刃が私の首を切った。
その瞬間、切られたのだとわかってすぐ、痛みを感じる前に私は死んだ。
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