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最終章 世界の理は変わらない

私が魔王?……っ、そんなわけないでしょ……!7

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「覚えて、ないんですね。私は、だいたい、こんなことを、言ったと思います。『魔王様、やっと目を、覚ましたんですね』」

 その言葉で、私は思い出す。
 インクプスがそう言ったあと、私はこう言ったんだ。

「私は魔王なんかじゃないから……」

「思い、出したん、ですね」

 インクプスは嬉しそうな笑みを浮かべる。
 それ以上に辛いはずなのに。

「魔王、様。あなたは、魔王です」

 私はインクプスの思いの籠もったその言葉が、なにを意味してるのかすぐに理解した。

「私が、私が魔王?……っ、そんなわけ、ないでしょ……!」

「ふふふ。そう、ですね。魔王が、そんなに、お優しい、だなんて、ありま、せんから」

「私は、インクプスを助けられ──」

「魔王、が、泣いては、威厳に、かけます、よ。魔王、様。どうか、後悔の、ない、選択、を」

 インクプスはそう言い切ると、幸せそうな笑みで目を閉じた。
 最後の最後まで辛かったはずなのに、そんな様子は一切見せなかった。

「今のは、私も予想外のことだからね。それじゃ、次こそ決着をつけるよ!」

 後悔のない選択。
 私にとって、一番の選択。
 きっと、それは勇者を倒すこと。
 インクプスの死を無駄にせず、勇者を倒すことだ。
 けど、私には勇者は倒せない。

 勇者がお姉ちゃんであることを知ったから。
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