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一章
週末は、妹とラブラブ遊園地のはずだった……7
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「お兄さん……。それは、少しずるい答えです」
旭川さんは、どこか呆れてるようだった。
その理由はわかる。
俺が煮えきらない答えを返したから。優柔不断な答えをしたから。
でも、仕方ないんだ。今の俺には、それが限界だから。
「それなら、もしあやちゃんが、誰かと付き合っているんだとしたら、どんな気持ちになりますか?」
「嬉しい、かな。そりゃ、彩華のことを幸せにしてくれるやつじゃなきゃだめだけど、彩華のことを幸せにしてくれるなら、それでいい」
「……っ! すいません、少し意外な言葉だったので、驚いてしまいました」
理由を聞いても、なぜ彼女が驚いたのかはわからない。
なんも、おかしな回答などしてないはずだ。
「ふふふ、でも、そうですか。これは、少し、大変なのかもしれませんね」
「えっ……? 一体なにが?」
「いえ、こちらの話です」
なんのことだかわからないが、彼女の中ではなにかあるのだろう。
全くもって、なんなのかはわからないが……。
でも、そういうもんだ。
だって、俺には心を読むことなんてできない。相手の気持ちを察することも上手じゃない。
それが、俺という人間なのだから。
「お兄さん。ここでいいですよ?」
「えっ? でも、彩華には送ってくるよう言われてるから」
「いえ、もうすぐ家なので、ここまでで大丈夫です。それとも、お兄さんは女子中学生のお家の場所がどうしても知りたい、変態さんなんですか?」
「いや、そういうわけじゃな──」
「それなら、ここまでで大丈夫です。それに、あやちゃんは送るよう言ってただけですし、平気ですよ」
それは確かに。
それに、彼女がそれでいいと言うなら、それでいいだろう。
そんなわけで、俺は一人、妹の待つ家に帰るのだった。
「その、彩華さん。これは、なんの嫌がらせなのでしょうか?」
「なに、お兄ちゃん? なにか問題でもある?」
家に帰ると、食卓には既に、いくつかの料理が並んでいた。
ただ、それとは別に、明らかに異様なものもあった。
そう、なぜか俺が食事をする時に普段使ってるところには、白飯が一膳だけあった。おかず一つなく。
「その、おかずとかは──」
「いらないよね、お兄ちゃんは。もう十分楽しんだでしょ?」
何を言ってるのか全くわからない。
俺の妹が、何を言いたいのかなんとなくわかるけど、わからない! 全くわからない!
「とっとと食べちゃってね。ただでさえ遅くなってるんだから、余計に遅くなっちゃうと困るでしょ」
もしかして、まだ、あのことを怒ってるということなのだろうか?
そんなとき、ふと帰りにコンビニに寄って来たことを思い出す。
そして、まだそれを冷蔵庫にしまっていないことも。
せっかく思い出したわけだし、あとでやろうとして忘れたら困るから、冷蔵庫にしまう為に食卓をあとにする。
「ちょっ……! お兄ちゃん!? 先にご飯を食べてくれる?」
「あっ、その、帰って来る前にコンビニに寄って飲み物を買ってきたの忘れてたから、今からそれを冷蔵庫に入れようと思ってな。お前のもあるぞ」
「私の? てか、なんで飲み物なんか買ったの?」
「ほら、明日は遊園地に行く予定だっただろ?」
そう、いろいろあったせいで、忘れかけていたが、明日は妹の彩華と遊園地に行く予定だったのだ。
「そう、だけど、それがどうしたの?」
いつもなら、これだけでもピンとくるはずなのだが、まだわからないらしい。
でも、それ仕方ないことだ。妹と遊園地に行くこと自体、とんでもないぐらいに久しぶりなのだから。
それに、俺がそんなことをするとは思ってないのかもしれない。
「明日、遊園地に行くときにコンビニに寄ってから行ったら、遊園地で遊ぶ時間が減ると思って」
「えっ……? それって、遊園地で少しでも長く遊べるようにってこと?」
「うん? そうだよ」
俺がそう言い切ると、なぜか彩華はもじもじしてる。
「その、おかず、これなら食べていいよ?」
口を開いたかと思えば、俺は白飯におかずを手に入れた。
理由はちょっとよくわからないが……。
「そ、その、飲み物って、何を買ってきたの?」
「ああ……。えっと、今なにが好きなのかはわからなかったから、午前の紅茶のレモンティーを買ってきた。その、俺が好きなもので」
いちごミルクのことが頭の中を過ぎったことは言わなかった。
てか、その話をしたら、絶対にブチ切れるからだ。
「お兄ちゃんが好きな……」
「その、午前の紅茶のレモンティーは嫌だったか?」
「えっ、嫌じゃないよ」
彩華にそう言われて、なんとなく肩の荷が下りたような気分になった。
そして、とりあえず冷蔵庫に飲み物を入れる。
そして、白飯と彩華からもらった肉じゃがのようなおかずを食べた。
「明日は妹と遊園地か……」
俺は一人、ベットの中でそう呟く。
俺自身、遊園地になんて滅多に行かない。
だから、そもそも遊園地でなにをすればいいのかもわからない。
けど、せっかく遊園地に行くんだし、それなら楽しみたい。
それに、せっかくなら彩華にも楽しんで欲しい。
そう思ったから、俺は明日のことの計画を立てていった。
俺は遊園地の入場口の前で妹を待っている。
理由は簡単だ。現地集合だからだ。
もちろん、同じ家に住んでるんだから、一緒に遊園地に行けばいい。
けど、彩華にこんなことを言われてしまった。
「お兄ちゃんと一緒にいる姿を友人に見られたくないから現地集合ね」
そんなわけで、現地集合になってしまった。
それから、俺は少し待っていると、
「お兄ちゃん」
彩華が来た。
彩華はふわっとした白色のワンピースに、紺色の薄手のカーディガンを羽織って、ブラウン色のショルダーバッグを身に着け、頭にはちょこんと黒色のキャスケットを被ってる。
「かわいい……」
俺は妹のあまりの可愛さに、思わずそう溢してしまった。
「なに、お兄ちゃん。そのニヤケた顔、めちゃくちゃ気持ち悪いんだけど」
いつもなら、ここでキモいと言うはずなのに、気持ち悪いって!
それ、ガチなやつじゃねぇーか! やめろ!
「それじゃ、いつまでもここにいるのも変だし、そろそろ行くか」
そう言って、俺は遊園地の中に入る。
妹の手には、昨日俺の買ってきた午前の紅茶のレモンティーが握られていた。
旭川さんは、どこか呆れてるようだった。
その理由はわかる。
俺が煮えきらない答えを返したから。優柔不断な答えをしたから。
でも、仕方ないんだ。今の俺には、それが限界だから。
「それなら、もしあやちゃんが、誰かと付き合っているんだとしたら、どんな気持ちになりますか?」
「嬉しい、かな。そりゃ、彩華のことを幸せにしてくれるやつじゃなきゃだめだけど、彩華のことを幸せにしてくれるなら、それでいい」
「……っ! すいません、少し意外な言葉だったので、驚いてしまいました」
理由を聞いても、なぜ彼女が驚いたのかはわからない。
なんも、おかしな回答などしてないはずだ。
「ふふふ、でも、そうですか。これは、少し、大変なのかもしれませんね」
「えっ……? 一体なにが?」
「いえ、こちらの話です」
なんのことだかわからないが、彼女の中ではなにかあるのだろう。
全くもって、なんなのかはわからないが……。
でも、そういうもんだ。
だって、俺には心を読むことなんてできない。相手の気持ちを察することも上手じゃない。
それが、俺という人間なのだから。
「お兄さん。ここでいいですよ?」
「えっ? でも、彩華には送ってくるよう言われてるから」
「いえ、もうすぐ家なので、ここまでで大丈夫です。それとも、お兄さんは女子中学生のお家の場所がどうしても知りたい、変態さんなんですか?」
「いや、そういうわけじゃな──」
「それなら、ここまでで大丈夫です。それに、あやちゃんは送るよう言ってただけですし、平気ですよ」
それは確かに。
それに、彼女がそれでいいと言うなら、それでいいだろう。
そんなわけで、俺は一人、妹の待つ家に帰るのだった。
「その、彩華さん。これは、なんの嫌がらせなのでしょうか?」
「なに、お兄ちゃん? なにか問題でもある?」
家に帰ると、食卓には既に、いくつかの料理が並んでいた。
ただ、それとは別に、明らかに異様なものもあった。
そう、なぜか俺が食事をする時に普段使ってるところには、白飯が一膳だけあった。おかず一つなく。
「その、おかずとかは──」
「いらないよね、お兄ちゃんは。もう十分楽しんだでしょ?」
何を言ってるのか全くわからない。
俺の妹が、何を言いたいのかなんとなくわかるけど、わからない! 全くわからない!
「とっとと食べちゃってね。ただでさえ遅くなってるんだから、余計に遅くなっちゃうと困るでしょ」
もしかして、まだ、あのことを怒ってるということなのだろうか?
そんなとき、ふと帰りにコンビニに寄って来たことを思い出す。
そして、まだそれを冷蔵庫にしまっていないことも。
せっかく思い出したわけだし、あとでやろうとして忘れたら困るから、冷蔵庫にしまう為に食卓をあとにする。
「ちょっ……! お兄ちゃん!? 先にご飯を食べてくれる?」
「あっ、その、帰って来る前にコンビニに寄って飲み物を買ってきたの忘れてたから、今からそれを冷蔵庫に入れようと思ってな。お前のもあるぞ」
「私の? てか、なんで飲み物なんか買ったの?」
「ほら、明日は遊園地に行く予定だっただろ?」
そう、いろいろあったせいで、忘れかけていたが、明日は妹の彩華と遊園地に行く予定だったのだ。
「そう、だけど、それがどうしたの?」
いつもなら、これだけでもピンとくるはずなのだが、まだわからないらしい。
でも、それ仕方ないことだ。妹と遊園地に行くこと自体、とんでもないぐらいに久しぶりなのだから。
それに、俺がそんなことをするとは思ってないのかもしれない。
「明日、遊園地に行くときにコンビニに寄ってから行ったら、遊園地で遊ぶ時間が減ると思って」
「えっ……? それって、遊園地で少しでも長く遊べるようにってこと?」
「うん? そうだよ」
俺がそう言い切ると、なぜか彩華はもじもじしてる。
「その、おかず、これなら食べていいよ?」
口を開いたかと思えば、俺は白飯におかずを手に入れた。
理由はちょっとよくわからないが……。
「そ、その、飲み物って、何を買ってきたの?」
「ああ……。えっと、今なにが好きなのかはわからなかったから、午前の紅茶のレモンティーを買ってきた。その、俺が好きなもので」
いちごミルクのことが頭の中を過ぎったことは言わなかった。
てか、その話をしたら、絶対にブチ切れるからだ。
「お兄ちゃんが好きな……」
「その、午前の紅茶のレモンティーは嫌だったか?」
「えっ、嫌じゃないよ」
彩華にそう言われて、なんとなく肩の荷が下りたような気分になった。
そして、とりあえず冷蔵庫に飲み物を入れる。
そして、白飯と彩華からもらった肉じゃがのようなおかずを食べた。
「明日は妹と遊園地か……」
俺は一人、ベットの中でそう呟く。
俺自身、遊園地になんて滅多に行かない。
だから、そもそも遊園地でなにをすればいいのかもわからない。
けど、せっかく遊園地に行くんだし、それなら楽しみたい。
それに、せっかくなら彩華にも楽しんで欲しい。
そう思ったから、俺は明日のことの計画を立てていった。
俺は遊園地の入場口の前で妹を待っている。
理由は簡単だ。現地集合だからだ。
もちろん、同じ家に住んでるんだから、一緒に遊園地に行けばいい。
けど、彩華にこんなことを言われてしまった。
「お兄ちゃんと一緒にいる姿を友人に見られたくないから現地集合ね」
そんなわけで、現地集合になってしまった。
それから、俺は少し待っていると、
「お兄ちゃん」
彩華が来た。
彩華はふわっとした白色のワンピースに、紺色の薄手のカーディガンを羽織って、ブラウン色のショルダーバッグを身に着け、頭にはちょこんと黒色のキャスケットを被ってる。
「かわいい……」
俺は妹のあまりの可愛さに、思わずそう溢してしまった。
「なに、お兄ちゃん。そのニヤケた顔、めちゃくちゃ気持ち悪いんだけど」
いつもなら、ここでキモいと言うはずなのに、気持ち悪いって!
それ、ガチなやつじゃねぇーか! やめろ!
「それじゃ、いつまでもここにいるのも変だし、そろそろ行くか」
そう言って、俺は遊園地の中に入る。
妹の手には、昨日俺の買ってきた午前の紅茶のレモンティーが握られていた。
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