世界一の彼女として、愛してくれますか?──俺は求めてないのだが、ラブコメ展開になるのはどうしてだろうか?

R.K.

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一章

週末は、妹とラブラブ遊園地のはずだった……2

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「えっと、たしか、赤里あかり、さん......?だったけ?」

 あおいは彼女の名前を確かめるように、赤里の名前を呼ぶ。

「はい、そうです......。私は、赤里鈴音あかりすずねといいます」

 おいっ......!
 さっき俺と話してたときと、言葉遣いが随分と違うじゃねぇか......!

 まあ、俺に対して取り繕う必要がないからか......。
 実際、赤里の秘密を俺は知ってるわけだし、赤里が俺に取り繕う必要があるわけがない。
 それに、そんなことをされても実際、気持ち悪い。

 まあ、他の人にしてても少しは思うんだけどな。
 ただ、そんなことよりも、かわいいという化けの皮があるから、なにをしてもかわいいというのはある。

「えっと、赤里さん、は、悠くんのお友達、なんだよ、ね......?」

 葵の謎すぎるその質問に、「はっ......?」と、俺は思わずそう言葉をもらしてしまった。

 というか、葵にそんなことは関係ないはず。
 それに、俺と赤里の関係なんて、友達以外になにがあるというんだろう。
 そんなことを俺が思ってると、



 今度は、赤里からの突拍子な答えに、俺はまた「はっ......?」と、思わず声がでてしまった。
 けど、それは葵も同じようで、ポカンとした顔で、驚きを隠せていないという感じの反応だった。

「え、えっと、そ、それ、それは、ど、どういう、こと、なの、かな......?」

 葵は赤里のその答えに、完全に動揺して、上手く言葉を発することができていなかった。
 というか、その答えを聞きたくないという感じで、顔は深刻そうな顔つきだった。
 そんな葵に、赤里は平然とした様子で、こう言った。

「ただの、です」

「いや、それは無理があるだろっ...!」

 俺は、赤里のストレートな発言に、心をグサグサ刺されるような思いをしながら、ツッコム。
 そんな俺に、赤里は『余計なこと言ってるんじゃないわよ!とりあえずあんたは、静かにしてなさい』と、睨みながら、目で伝えてきた。
 正確なことはわからんけど、たぶんそんなことだろう。
 そんなわけで、俺は言われた通り、静かにすることにする。

 けれど、葵はどこか安心したような表情をみせる。
 しかし、すぐにまた深刻そうな顔に戻った。

 俺は、そんな葵の様子に、少しだけ引っかかりを覚える。
 ただ、気にすることでもないことだなと思い、気にしないことにした。

 そして、深刻そうな顔つきのまま、葵はこう言った。

「知り合いにしては、仲が良かったようだけども?」

 思ってた通り、赤里は葵にそんな質問をしていた。
 俺もそう思う。
 というか、思わずツッコンでしまったし。

「そう、ですか......?まあ、そう感じたのでしたら、これから友達になっていく段階だから、かもしれません......。そういうことなので、お互いのことを知るために、少しお話をしていただけですよ」

 けど、赤里は俺のときは違い、相変わらずの清楚な声で、平然そう言ってのけた。

 知り合いが友達になっていく段階は、そんなに仲がいいとは思えないんだが?
 いや、まあ、余計なことを言ったら、また赤里に睨まれるだろうし、それに赤里がそう言うのだから、そうなのだろう。
 とりあえず、そういうことにしよう。

「そういう、もん、なの............?」

 葵はというと、俺と似たようなことを思ったのか、つぶやくようにそう言った。
 まあ、よくわからないという感じなのだろう。
 だから、そのあとは、葵はそのことについて、それ以上聞いてくることはなかった。


 あれから俺は、不幸なことに、響鬼と会ってしまった。
 いま一番会いたくないから、会わないよう願っていたのだが、運が悪いことに遭遇したのだ。

 もしかしたら、会わないよう願っていたのが悪かったのかもしれない。
 そして、響鬼と会った瞬間に、思った通りのことを言われた。

「悠はモテモテみたいだね。まさに、両手に花じゃないか......。悠に彼女ができるのも時間の問題といった感じ、なのかな......?」

「いや、そんなことがあるわけないだろ!」

 響鬼がふざけたことを言うので、いつもの調子でツッコム。

「それにしても、どっちを選ぶつもりなんだい?二人もいるようだし、どっちも美少女じゃないか」

 そんな、わけのわからないことを響鬼は言う。
 そのあと、「悠はロリコンなのか、それとも大きいのが好きなタイプなのか......」そんなことをつぶやいていた。

 というか、なぜかこの空間が、急にピリついた雰囲気になったような気がする。
 たぶん、気のせいだろう......。

「いや、たしか悠には妹がいたね。つまり、そういうことなのかな?」

 誰が見てもわかるほどのイケメンの響鬼は、爽やかな声でそう言った。

 その内容は全くもって、何一つあっていない。

 というか、間違っていることしかない......。

 それに、響鬼が妹、と言う言葉を発した瞬間に、俺の近くにいる二人の美少女の目の色が、明らかに変わった気がする。
 気のせいだと、信じたいのだが......?

「おっと、僕はお邪魔みたいだね。そういうことだから、僕は先に行くことにするよ。それじゃ、また後でね、悠。それと、僕でよければ、いつでも相談にのるよ?」

 響鬼はそう言い残すと、学校までの坂道を、走って登っていってしまった。

 この場をかき乱すだけかき乱して、なんとも無責任なやつだ......。

 響鬼が行ったあと、学校までの少しの坂道は、なんともいえない気まずい空間が続いたのだった。
 短いはずの時間は、世界でここだけ時間が止まってしまったのかと思ってしまうぐらいには、長く感じられた。


 今は、昼休みも終わり、5時間目の授業である体育も終え、6時間目の日本史の授業を受けている。
 が、俺はいま、授業どころじゃなかった。
 なぜなら、今、とてもなくねむい。
 今までの疲れがどっと押し寄せてきたという感じだ。
 実際、今日は金曜日なので、そうなのかもしれない。
 そんなわけで、ねむすぎる。
 ただ、俺は一番の原因はわかってる。

 俺は、ここ最近、忙しかったのだ。
 そのせいで、徹夜でいろいろやっていたというわけで......。
 つまり、そのせいで寝不足というわけだ。
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