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戸惑いと喜び

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 久しぶりに見たヴァロゼは、憂鬱そうな顔つきをしていたので驚いた。
 隣には恋人がいるというのに……何故、そんな目をしているのだろう。
 
 アンデルはヴァロゼの腕に絡みつき、卑猥な衣装を着て出迎えたルナンに微笑んだ。

「久しぶりだね、調子はどう?」
「……べつに」
「そっけないなあ。ねえ、ヴァロゼ?」
「……」

 ヴァロゼは暗い目つきでルナンを睨み付けると、顔を背けてしまう。
 明らかに様子がおかしい。
 アンデルが席を外した隙に、そっと聞いてみた。

「気分が悪いみたいだけど、どうしたんだ?」
「どうもしない」
「もしかして……アンデルの事なんじゃ? やっぱり命が……?」
 
 ルナンにはある疑問があった。
 それは、蘇ったアンデルが、果たしてどれほど生きれるのかという疑問である。
 ヴァロゼはきっと、大切な恋人を再び喪う可能性を憂いているに違いない。
 
 ルナンはこの特別室の天井を仰ぐと、ゆっくりと息を吐き出して椅子から腰を上げた。

 卓を挟んで座っているヴァロゼの隣に進み出て、ある提案を告げる。

「俺の命が必要なんだろ?」
「なんだと?」
「俺の命を、全てアンデルに捧げればいい」
「何を言っている?」
「その代わり、条件がある」

 ルナンは自分の命と引き換えに、人間達の待遇の改善を求めた。
 しばしの間、ヴァロゼは驚愕したように目を見開いて、無言でいたが、やがて頷いた。

「考えてやろう」
「ありがとう! アンデルにも伝えるから」
「それはいい!! 俺が後で話す!!」
「え!? あ、うん……?」

 ヴァロゼの剣幕に驚いて口を仕方無く閉ざしたが、ずっと落ち着かない様子で気になって仕方無い。
 アンデルが戻ってくる気配がないので、呼びに行こうかとおもっていたら、突然ヴァロゼが立ち上がって手首を掴んできた。
 
 ――え!?

 引き寄せられて力強く抱きしめられた。
 その肉体の感触に四肢が火照り、心臓が高鳴って呼吸が苦しくなる。
 喉が渇いて身体が震えてきた。

「ヴァ、ヴァロゼ?」
「可愛がってやる」

 ルナンは状況についていけず、ただヴァロゼに翻弄されるまま、部屋の隅に置かれた寝台に放り投げられた。
 すっかり火照っていた四肢はむき出しにされて、すでに硬くなっている性器にむしゃぶりつかれる。

 じゅぶじゅぶという水音が聞こえるくらいに強く吸われて、ルナンは激しく腰を跳ねさせた。

「やああああ~~っ♡ だ、だめえええっ♡」

 容赦のないヴァロゼの舌使いに追い詰められていく。
 全身がぞくぞくと快感に飲まれ、射精が我慢できない。

 ――う、うそおおっ♡ もおっ♡ いっぐううっ♡

「はなしてえええっ!! ヴァロゼっ!!」

 懸命にヴァロゼの頭を引き剥がそうと両手で掴むが、力が入らずに無駄に終わる。
 熱い舌で睾丸や先端をべちゃべちゃ♡ と舐められて、強く吸われ――腰を痙攣させて、ルナンはヴァロゼの口の中にザーメンをぶちまけた。

「いぐうううううっ♡」

 ぶしゅっ♡ ぶびゅうううううっ♡

「はひぃいいい~~っ♡」

 射精している最中にペニスを舌で虐められて、たまらない快感にルナンは目の前がチカチカして、舌を突き出して完全に脱力した。
 背中を寝台に押しつけてぼんやりしていると、ヴァロゼが顔を寄せてきて――唇を塞がれる。

 舌を絡める口づけをされている事実を受け入れられず、困惑した。

「んむううううっ!?」

 恋人がいるというのに、こんなに激しく優しい口づけをされるなんて。
 ルナンの胸の内は虚しさと喜びが渦巻いて、気付けば涙を流していた。  


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