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後日談<エルフの長の願い>
しおりを挟むエルフの森がフリオとサビーノを受け入れて百年の月日が流れた頃、長の元に新たな外の者が訪ねてきた。
獣人王、オディロンである。
長は、彼を客人として招き入れて、件の二人についてはそっと日記を差し出した。
獣人王は分厚い本のような日記を見つめて目を丸くすると、長に視線を向ける。
「見ていいのか」
「ええ。フリオが書いた日記ですが、最後の頁はサビーノが書き込んでいます」
「……」
そっと頁を捲るその毛深い手指を、長は見守った。
日記には二人が過ごした日々が事細かに書かれている。
何よりも衝撃的なのは、サビーノが書き込んだ日記だろう。
獣人王は息を飲むと日記を卓に落として、頭を振ってため息をついた。
やはり驚いたか……。
「なんじゃ、これは」
「ほほほほほ。驚かれましたかな?」
「そりゃあもうなあ……まさか、死んだフリオの肉体から、フリオの生まれ変わりが誕生するなんて」
「ええ。これも、あの胎の副作用ではあったのですが」
「生まれ変わったフリオの名前はリネってのか」
「フリオにそっくりな可愛らしい子でしたよ、この森を出て行ってからはきっと、楽しい日々を過ごしている筈です」
「……こいつらはどこに」
「分かりません。でもきっと、どこかで幸せに暮らしている筈です」
「なんていうか、これはこれでうらやましいかもな」
「はい?」
「俺が愛した人間も、どこかで生まれ変わってねえかなって……」
「……きっと、出会えますよ獣人王」
その長の言葉に獣人王は頬を緩めると、日記を置いて、そっと森を去って行った。
長はその背中を見送り――瞳を閉じて意識を集中させる。
ある光景が脳裏に広がっていった。
サビーノとあの子――青年となったリネが、たくさんの動物達と川辺で戯れている姿だった。
強力な魔力を内包して生まれたリネは、その身は不老長寿であり、後百年は生きるサビーノと共に、生を終えるであろう。
リネは笑いながらサビーノに抱きつくと、サビーノも優しい目で笑う。
『我は我の罪を、オマエの罪を忘れはしない』
その言葉は、サビーノが何もかもを思い出したという意味であった。
長は意識を現実に戻すと、祈りを込めて森の木々を見つめる。
――どうか、二人が……光の世界でその生を全うできますようにと。
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玄野さん最後までお読み下さってありがとうございます☺️ ご感想まで本当にありがとうございます😊 文章誉めてもらえたのが感激です!!
それに、親しみやすい展開だったとの事で、良かったです😍 応援ありがとうございます‼️
今後ともよろしくお願いいたします☺️
連載完結おめでとうございます。お疲れ様でした。攻め溺愛系が好きなのでこの作品も良かったです(*^^*)
さらに触手神官の続きを心待にしております。高潔騎士の続きも楽しみにしてます( 〃▽〃)
徒然丸さん、感想ありがとうございます。最後までお読み頂いてありがとうございます!!
触手神官と高潔騎士の更新も頑張ります~!!
ありがとうございます(^^)