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歪んだ快楽の果てに
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クロヴィスに斬りかかったオルトが後方に吹き飛び、兵士達へ突っ込む。
「ぐあっ」
「雑魚が」
腕を振りあげたクロヴィスの手の平から魔力が放たれる。
紫の光が部屋を包み込み、その力に兵士達は圧倒されていた。
「クロヴィス!」
怒声と共にサンドロがクロヴィスの頭をめがけて剣を振りかざす。
片腕で剣撃をかわしたその隙をつかれ、リアムの元に兵士達がなだれ込んできた。
リアムは恐怖に震え上がる。
「わああっ」
「縛られてるんだったらちょうどいい、このまま運べ!」
「おう」
兵士の見事な連携でリアムは肩に担がれてしまい慌てて声を上げた。
「赤ちゃん!」
リアムの声に反応するかのように、息子達の声が大きくなる。
更に巻き付いていた触手が暴れだそうとその身を膨張させたが、兵士の一撃で動かなくなってしまう。
「退けサンドロ!」
「断る! お前の態度が変わらないからこうなるんだぞ!」
クロヴィスの魔力とサンドロの剣がぶつかり合い周囲の空気を震わせている。
兵士達がリアムを担いで部屋の外へと飛び出そうとすると、扉がその残骸で瞬く間に塞がり始め、オルトが部屋に滑り込んでくる。
皆、この部屋に閉じ込められた。
オルトがリアムの元へ走り寄り、胸元から石を取り出す。
虹色に輝くそれは結界を張る結界石だ。
オルトが兵士からリアムを引き剥がすとそのまま周りに結界が張られる。
「オルト、どうしてこんな事を」
オルトに抱きしめられ、その腕の中で身じろぐと、リアムの身体から触手が枯れ落ちた。
「お前を助ける為だ」
オルトのまっすぐな目にリアムは狼狽えてしまう。
自分を助けるとはどういう意味なのか。
未だクロヴィスとサンドロは対峙しており、いつ戦いが激しくなるのか分からない。
「二人ともやめて!」
「サンドロもお前を助けに来たんだ」
「何言ってるの? 僕は自分の意思で奴隷になったのに!」
「違うだろ」
オルトの腕に力が込められて呼吸が苦しくなる。
そのぬくもりに鼓動が早まる。
「オルト?」
「お前は、こんな目にあうべきじゃない。お前には幸せになって欲しいんだ」
「んう」
唇に口づけをされて口腔内を舌でまさぐられる。
熱い舌にリアムは四肢を震わせた。
――オルト。
「ふあ」
ようやく唇を離されたかと思えば、オルトが耳元に囁いてくる。
「愛してる」
「……っ」
愛の囁きにリアムは息を飲んで硬直した。
「あいつも、サンドロも兵士達も、お前の事を愛してるんだ」
「な、なにそれ」
そんな事があるのだろうか。
サンドロはなんとなく分かっていたので、胸が痛むが、兵士達が何故リアムを愛するというのだろう。
何も言えないリアムはオルトの言葉を待つことしかできなかった。
「お前の慈愛が、兵士達の心を動かしたんだ」
「慈愛?」
「まあ、俺は昔から知ってたけどな、ごめんな」
何に謝っているのか。オルトが声を震わせてリアムを放そうとしない。
視線を結界の外へと向けると、クロヴィスと視線があう。
どうやら言葉は聞こえているようだ。
子供が泣き止まない。
「おい、落ち着け」
「何だと?」
「ガキをリアムに見させろ」
「……」
サンドロはクロヴィスに剣を向けたままだが、その言い分を聞いてくれたようだ。
クロヴィスが子供達に腕を翳すと、二人の身体は光に包まれ、瞬時にリアムの元へ飛ばされる。
「よしよし」
「おわっ」
片方はオルトが抱きとめてくれたので助かった。
リアムにあやされた弟の方は、すぐに泣き止むと笑顔で親指をしゃぶり始める。
対してオルトが抱く兄の方は泣き止んだものの、ぶすっとしてしまっている。
「はあ。結界の意味ないな」
「この中あたたかいから、二人とも気持ちよさそうだよ」
「そうか?」
オルトは照れくさそうに頭をかく。
結界の外ではクロヴィスとサンドロを取り巻いて兵士達が警戒していた。
そっとクロヴィスが腕を降ろすとサンドロもやっと剣を降ろしてくれた。
それだけで少し安心はできるが油断はできない。
リアムは二人を見守る。
ふとクロヴィスがリアムを見やる。
その赤い目には熱が込められているのを感じて、リアムの胸がときめく。
いつもとは違う意図を感じた。
「サンドロ、お前は」
「ん?」
「俺が恋をして、やがて愛した事を笑っていたな」
リアムはその言葉にどきりとする。
――そうか。クロヴィス、そんな人がいたんだ。
もう百年は生きているのだし、考えてみれば過去に愛した人がいても何もおかしくはない。
リアムは勝手に思い込んでいた事が恥ずかしくなった。
「自覚してるくせに認められなくて、ただ反応をみたい為だけに無駄な行動ばかりしてたからなあ」
サンドロが剣をしまうと腰に手を当てて笑う。
「未だにそうだもんなあ、結婚までした癖によ」
――え?
リアムはサンドロの言葉に何か予感を覚えて、心臓がどんどんうるさくなるのを感じた。
クロヴィスが舌打ちをすると、リアムに背を向けて話しかけてきた。
「おい、神官、聞け」
「は、はい」
「お前は……俺に、どう愛されたいのか選べ」
「え」
リアムは何を言われているのか理解できず、子供を抱きかかえたまま浅い呼吸を繰り返す。
クロヴィスの背中を見つめていた。
「女みたいに優しくされたいのか、それとも今まで通りに支配されたいのか」
「なんでその二択なんだ」
「黙れ緑肌」
クロヴィスがゆっくりと振り返り、リアムに歩み寄ってくる。
視線が交わるとそらす事ができない。
一体何が起こっているのだろう。
この人は何を言っているのだろう。
結界越しに見つめ合った。
「選べ」
「……っ」
リアムの胸は切なく疼いて鼓動は早くなるばかりだった。
脳裏にはクロヴィスから受けた様々な仕打ちが蘇り――リアムの心と体を蹂躙していく。
そっと口を開いた。
「支配されたい」
*
あの一件以来、リアムの事をオルトは心配してくれて、サンドロは度々不満をクロヴィスにぶつけ、兵士達は欲望に負けて結局リアムを犯している。
子供達は教育係に任せた。リアムが母親である事、王子である事は二人が成人してから話すつもりだ。
魔王との戦いが激化している為の処置の意味もある。
リアムは今日も首輪をつけられて、鎖で街中を引っ張り回されている。
広場の中心に磔にされてクロヴィスに突かれながら〝奴隷妻であり正妻となった"旨を叫ぶ。
――クロヴィスに優しく愛されたいって思う僕もいる。でも。
――僕は、クロヴィスに蹂躙されることが……好きだ。
「本当に淫乱な野郎だ」
民への正妻宣言を終えて地に降ろされると、クロヴィスに嗤われた。
裸のまま抱きしめられる。
クロヴィスもまだ上半身と性器を露出している状態だ。
「こんな、身体にしたのは、貴方でしょ」
「確かにな。しかし、性奴隷のままでいいなんて、とんだ変態だな」
「……変態でもいい。だから、ずっと僕に酷いことして」
リアムは愛しい魔族の主に抱きつく。
その硬いイチモツをしゃぶりながら幸福を感じていた。
「いいぞ。お前が望むなら存分にいたぶってやるよ、お前を愛してるからな」
頭を撫でられて、口の中に熱い白濁を注ぎ込まれ、懸命に飲み込む。
「んぶううっ♡」
リアムは心の中で何度も叫んでいた。
――ああっ、クロヴィス、好き、好き、好きぃっ♡
「んふああっ♡ しゅきぃっ♡ クロヴィスぅっ」
飲みきれないクロヴィスの精液を顔で受けながら、リアムは快楽に泣き叫ぶ。
かつて汚れなき神官だった青年は、その身も心も魔族の主に蹂躙されて快楽に溺れた。
「もっとだ! もっと乱れろ!」
「あっ! はあっう♡」
性奴隷として、妻として、愛しい魔族の男の激し過ぎる欲望と愛を全身で受けとめた。
「ぐあっ」
「雑魚が」
腕を振りあげたクロヴィスの手の平から魔力が放たれる。
紫の光が部屋を包み込み、その力に兵士達は圧倒されていた。
「クロヴィス!」
怒声と共にサンドロがクロヴィスの頭をめがけて剣を振りかざす。
片腕で剣撃をかわしたその隙をつかれ、リアムの元に兵士達がなだれ込んできた。
リアムは恐怖に震え上がる。
「わああっ」
「縛られてるんだったらちょうどいい、このまま運べ!」
「おう」
兵士の見事な連携でリアムは肩に担がれてしまい慌てて声を上げた。
「赤ちゃん!」
リアムの声に反応するかのように、息子達の声が大きくなる。
更に巻き付いていた触手が暴れだそうとその身を膨張させたが、兵士の一撃で動かなくなってしまう。
「退けサンドロ!」
「断る! お前の態度が変わらないからこうなるんだぞ!」
クロヴィスの魔力とサンドロの剣がぶつかり合い周囲の空気を震わせている。
兵士達がリアムを担いで部屋の外へと飛び出そうとすると、扉がその残骸で瞬く間に塞がり始め、オルトが部屋に滑り込んでくる。
皆、この部屋に閉じ込められた。
オルトがリアムの元へ走り寄り、胸元から石を取り出す。
虹色に輝くそれは結界を張る結界石だ。
オルトが兵士からリアムを引き剥がすとそのまま周りに結界が張られる。
「オルト、どうしてこんな事を」
オルトに抱きしめられ、その腕の中で身じろぐと、リアムの身体から触手が枯れ落ちた。
「お前を助ける為だ」
オルトのまっすぐな目にリアムは狼狽えてしまう。
自分を助けるとはどういう意味なのか。
未だクロヴィスとサンドロは対峙しており、いつ戦いが激しくなるのか分からない。
「二人ともやめて!」
「サンドロもお前を助けに来たんだ」
「何言ってるの? 僕は自分の意思で奴隷になったのに!」
「違うだろ」
オルトの腕に力が込められて呼吸が苦しくなる。
そのぬくもりに鼓動が早まる。
「オルト?」
「お前は、こんな目にあうべきじゃない。お前には幸せになって欲しいんだ」
「んう」
唇に口づけをされて口腔内を舌でまさぐられる。
熱い舌にリアムは四肢を震わせた。
――オルト。
「ふあ」
ようやく唇を離されたかと思えば、オルトが耳元に囁いてくる。
「愛してる」
「……っ」
愛の囁きにリアムは息を飲んで硬直した。
「あいつも、サンドロも兵士達も、お前の事を愛してるんだ」
「な、なにそれ」
そんな事があるのだろうか。
サンドロはなんとなく分かっていたので、胸が痛むが、兵士達が何故リアムを愛するというのだろう。
何も言えないリアムはオルトの言葉を待つことしかできなかった。
「お前の慈愛が、兵士達の心を動かしたんだ」
「慈愛?」
「まあ、俺は昔から知ってたけどな、ごめんな」
何に謝っているのか。オルトが声を震わせてリアムを放そうとしない。
視線を結界の外へと向けると、クロヴィスと視線があう。
どうやら言葉は聞こえているようだ。
子供が泣き止まない。
「おい、落ち着け」
「何だと?」
「ガキをリアムに見させろ」
「……」
サンドロはクロヴィスに剣を向けたままだが、その言い分を聞いてくれたようだ。
クロヴィスが子供達に腕を翳すと、二人の身体は光に包まれ、瞬時にリアムの元へ飛ばされる。
「よしよし」
「おわっ」
片方はオルトが抱きとめてくれたので助かった。
リアムにあやされた弟の方は、すぐに泣き止むと笑顔で親指をしゃぶり始める。
対してオルトが抱く兄の方は泣き止んだものの、ぶすっとしてしまっている。
「はあ。結界の意味ないな」
「この中あたたかいから、二人とも気持ちよさそうだよ」
「そうか?」
オルトは照れくさそうに頭をかく。
結界の外ではクロヴィスとサンドロを取り巻いて兵士達が警戒していた。
そっとクロヴィスが腕を降ろすとサンドロもやっと剣を降ろしてくれた。
それだけで少し安心はできるが油断はできない。
リアムは二人を見守る。
ふとクロヴィスがリアムを見やる。
その赤い目には熱が込められているのを感じて、リアムの胸がときめく。
いつもとは違う意図を感じた。
「サンドロ、お前は」
「ん?」
「俺が恋をして、やがて愛した事を笑っていたな」
リアムはその言葉にどきりとする。
――そうか。クロヴィス、そんな人がいたんだ。
もう百年は生きているのだし、考えてみれば過去に愛した人がいても何もおかしくはない。
リアムは勝手に思い込んでいた事が恥ずかしくなった。
「自覚してるくせに認められなくて、ただ反応をみたい為だけに無駄な行動ばかりしてたからなあ」
サンドロが剣をしまうと腰に手を当てて笑う。
「未だにそうだもんなあ、結婚までした癖によ」
――え?
リアムはサンドロの言葉に何か予感を覚えて、心臓がどんどんうるさくなるのを感じた。
クロヴィスが舌打ちをすると、リアムに背を向けて話しかけてきた。
「おい、神官、聞け」
「は、はい」
「お前は……俺に、どう愛されたいのか選べ」
「え」
リアムは何を言われているのか理解できず、子供を抱きかかえたまま浅い呼吸を繰り返す。
クロヴィスの背中を見つめていた。
「女みたいに優しくされたいのか、それとも今まで通りに支配されたいのか」
「なんでその二択なんだ」
「黙れ緑肌」
クロヴィスがゆっくりと振り返り、リアムに歩み寄ってくる。
視線が交わるとそらす事ができない。
一体何が起こっているのだろう。
この人は何を言っているのだろう。
結界越しに見つめ合った。
「選べ」
「……っ」
リアムの胸は切なく疼いて鼓動は早くなるばかりだった。
脳裏にはクロヴィスから受けた様々な仕打ちが蘇り――リアムの心と体を蹂躙していく。
そっと口を開いた。
「支配されたい」
*
あの一件以来、リアムの事をオルトは心配してくれて、サンドロは度々不満をクロヴィスにぶつけ、兵士達は欲望に負けて結局リアムを犯している。
子供達は教育係に任せた。リアムが母親である事、王子である事は二人が成人してから話すつもりだ。
魔王との戦いが激化している為の処置の意味もある。
リアムは今日も首輪をつけられて、鎖で街中を引っ張り回されている。
広場の中心に磔にされてクロヴィスに突かれながら〝奴隷妻であり正妻となった"旨を叫ぶ。
――クロヴィスに優しく愛されたいって思う僕もいる。でも。
――僕は、クロヴィスに蹂躙されることが……好きだ。
「本当に淫乱な野郎だ」
民への正妻宣言を終えて地に降ろされると、クロヴィスに嗤われた。
裸のまま抱きしめられる。
クロヴィスもまだ上半身と性器を露出している状態だ。
「こんな、身体にしたのは、貴方でしょ」
「確かにな。しかし、性奴隷のままでいいなんて、とんだ変態だな」
「……変態でもいい。だから、ずっと僕に酷いことして」
リアムは愛しい魔族の主に抱きつく。
その硬いイチモツをしゃぶりながら幸福を感じていた。
「いいぞ。お前が望むなら存分にいたぶってやるよ、お前を愛してるからな」
頭を撫でられて、口の中に熱い白濁を注ぎ込まれ、懸命に飲み込む。
「んぶううっ♡」
リアムは心の中で何度も叫んでいた。
――ああっ、クロヴィス、好き、好き、好きぃっ♡
「んふああっ♡ しゅきぃっ♡ クロヴィスぅっ」
飲みきれないクロヴィスの精液を顔で受けながら、リアムは快楽に泣き叫ぶ。
かつて汚れなき神官だった青年は、その身も心も魔族の主に蹂躙されて快楽に溺れた。
「もっとだ! もっと乱れろ!」
「あっ! はあっう♡」
性奴隷として、妻として、愛しい魔族の男の激し過ぎる欲望と愛を全身で受けとめた。
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