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欲望に支配された獣からは逃れられない
しおりを挟むルネリクスはアロルフの欲情の気にあてられ、めまいを覚えた。
「あ……」
足元がふらついて籠を落としてしまい、倒れかけたところを、アロルフが腰に豪腕を回して抱きとめる。
鎧越しでもわかる筋骨隆々とした肉体に、ルネリクスは息を飲み、目を見開いた。
視線が交わると腕を掴まれ、寝室へと引きずり込まれてしまい、寝台に放り投げられてしまった。
「あう!?」
寝台が勢いで軋み、じりじりと歩み寄ってくる欲望に支配された獣を見上げた。
鎧を脱ぎ捨て、覆い被さってくる。
「ひいい!」
「そう怯えるな神官殿。悪いようにはせん」
「……い、いや」
――やはり、私を辱めるつもりなんだ……!
危機感に焦燥に駆られ、寝台から這い出ようともがくが、ローブに手を掛けられてしまい、びりびりと破かれていく。
背筋が恐怖で震え上がり、悲鳴をあげる事しかできない。
「いやあ! やめ、やめてくださいいい!!」
「女のようにわめくな。少しは男としていや、神官として気丈にふるまえ? 犯されたとしても孕むことなどないのだからな」
「け、穢されたら私は神官ではいられなくなります!! どいて下さい!! どいて!!」
もはや大神官に告げ口をされるだとかはどうでも良くなっていた。
触手と交わったのは、あくまでも神託を受けたからだ。
こんな形で男と繋がり穢れてしまえば、神託を守る力がなくなってしまうかもしれない。
それだけは避けなくては!!
ルネリクスの想いは欲情しきったケダモノには通用せず、身体を丸太のような腕と大きな手によって押さえつけられてしまえば、身動きできなくなってしまった。
荒い吐息が頬に当たり、男クサさに鼻腔がひくつく。
数多の戦場を駆け抜けてきた戦士のニオイだ。
「や、やめてください」
――もう逃げられない。
小さな声にはそんな絶望が滲んでいる。悟ったアロルフが愉悦の笑みを浮かべて、舌なめずりをする。
「想像通りのうまそうな身体だ、触手にやるなんてもったいない!!」
アロルフが顔を近づけて、突き出した分厚い舌で頬をべろりとなめあげた。
「くひ?」
生々しい肉の感触に、大げさなほどに身体が跳ねて変な声をあげてしまう。
恥じらっている余裕などなく、ただただこれから受ける屈辱の時間を思い、絶望に苛まれる。
――神よ、お救いください。私は、神託を守り抜きたいのです!!
「た、たすけてください」
「まだ観念してないか? いや、もうわかっているのだろう? 俺からは逃げられん!!」
「ど、どうしてこんな真似を」
「美しい自分を呪え!!」
「そ、んな……」
ケダモノが牙をむく様を見つめ、ルネリクスはもう反抗する気力がわかなかった。
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