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いざ入部!

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「頑張るぞ~っ!!!!」

瀬倉せくらはるひはまだ誰もいない美術室で思いっきりガッツポーズをした。

今日はいよいよここ、緑丘みどりおか中学校の美術部の入部式!!!
周りを見渡すと、先輩たちが描いたと思われる絵がたくさんかざられていた。
(やっぱりうまいなぁ、、、)

はるひはイラストを書くことが大好きで、ここ、緑丘中学校の美術部に入部した。

美術部の先輩には体験入部の日に軽くあいさつをして話したけれど、一緒に入部する人に会うのは初めてなのでとてもドキドキする。

美術部のメンバーは2年生4人、3年生3人の7人で構成されている。
部員が少ないって?
そう。緑丘中学校は入学する生徒がまず少なくて、どの部活も部員がすごく少ない。

(でも、部員が少ないからこそ先輩や同級生と仲良くできるのがいいところだよね~)

そんな事を考えていると美術室の木でできた扉がゆっくりと開いた。

「失礼しま~す…って 早いね!」

入ってきたのは2年の先輩、染谷由芽そめやゆめ先輩だった。
由芽先輩は初めてあいさつしたときもとても優しくて、一発ギャグが得意と自慢していた先輩だった。

「とっても楽しみにしてて早く来ちゃいました!」
「それはとてもよいことである」
由芽先輩は実にわかりみが深いとでも言うように深くうなずいた。

すると、他の先輩たちも続々と入ってきた。
「おーっ!由芽!お疲れ~」
「あ、新入部員ちゃん?」
「いらっしゃーい!!」

美術部の先輩はみんなとても優しくてとても明るい。
これも、はるひが美術部に入部したいと思える理由だった。

すると先輩たちの後ろに見たことがない男の子がいた。
(私と同じ新入部員かな)

「はじめまして!」と
はるひが声をかけると、彼はかるく会釈をして私の横を通り過ぎ、無言で椅子に座った。

(なんだよ~感じ悪いなぁ)
はるひはそう思いつつ彼の隣の椅子に座った。



すると
「はい!これから入部式を始めます!」
大きくて明るい声が美術室に響いた。

声の主は部長の鈴木晴帆すずきはるほ先輩だった。
はるひは思わず姿勢を正す。

横に座っている男の子も少し姿勢を正したようだった。

部長は、浅く深呼吸してから話し始めた。

「はじめまして!ようこそここ、緑丘中学校美術部へ!美術部は、見ての通り2年生4人、3年生3人で活動しているよ。詳しいことは後で話すからまずは自己紹介からしようか」

部長から副部長、3年、2年、1年の順番で自己紹介をすることになった。

「はじめまして!美術部部長の鈴木晴帆です。特技はペン回しです。1年間よろしくお願いします!」


「こんにちはぁ!副部長の長月あいるです。これから美術部を最高に盛り上げていきます!一年間よろしく!」

…のように自己紹介をしていき、ついにはるひの順が回ってきた。
(よし、緊張せずに練習したことを言うんだっ)

「よし、じゃあ新入部員いこうか」

(よし!)
はるひは決心して椅子から立ち上がった。

すると
「バァァァァン!!!」
(はぁぁぁっ!?)
勢いよく座っていた椅子が倒れてしまった!

「はひぃ!?す、すみません!!」

はるひは慌てふためいて椅子を直そうとした。
空気が凍りついたのがわかった。

(やばいやばいやばい、、)

すると、横に座っていた男の子がさっと手を伸ばして椅子を立て直してくれた。

「あ、ごめんっ!」
はるひはあわててお礼を言った。
しかし、男の子は相変わらず無口で前に向き直ってしまった。

すると先輩に「はるひちゃん?」と声をかけられた。

はるひはあわてて前を向き直る。
先輩が「どうぞ」とでもいうようにほほえんでくれた。

私は口を開いた。
「は、はじめまして!1年の瀬倉はるひです!絵を書くことが大好きで美術部に入部しました!これからよろしくお願いします!」

言い終わると、先輩たちがほほえみながら拍手をしてくれた。

(なんとか言えた~)

「じゃあ、もうひとりの子もいこうか」
(あ、さっきの男の子の番だ)

はるひは彼に目線を向けた。

彼は相変わらず無表情で話し始めた。
「1年の深町廉ふかまちれんです。よろしくお願いします。」

彼は全く緊張する様子もなくさっさと言い終えてしまった。

先輩は相変わらずほほえんで

「じゃあ美術部はこのメンバーで今年はやっていきます!1年間よろしくお願いします!」
と声をかけた。

『よろしくお願いします』


全員で挨拶をしたあと無事入部式は終わった。

わたしはさっさと帰ろうとしている廉くんにあわてて声をかけた。
「さっきは、椅子、ありがとう」

すると廉くんはたった一言、
「うん」
とだけ言うと美術室から1番に出ていってしまった。

(やっぱ愛想悪いなぁ)
はるひは苦笑いした。

(でも、これからたくさん話せたらいいなぁ)
はるひはこれから始まる美術部での活動に心をおどらせるのだった。





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