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抗う者

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港では沢山の船に青い大空を舞うカモメたち
マルタ島の季節の時間 
北アフリカからの熱風 余計に熱く感じる
「シロッコ程の熱風ではないが大丈夫かな?マリア姫」
「リヒター修道僧さま 大丈夫です うふふ」苦笑して答えるマリア

「イスラムの海賊に襲われた船 
私達を庇い、皆を助けて幼馴染のマルコは一人残りました」マリア
短いくせ毛の銀の髪が揺れる 
固い決意の瞳が大きく見開かれて 宣言でもするかのようにきっぱりと言う

「金持ちのイスラムの商人の元にいると聞きました 今の名はイヴァン
どうしても会いたいのです」マリア
マリアを見る リヒター修道僧 

若い二人 私の恋は引き裂かれたが 彼女は運命に抗うのか
そんな事を思いながら 自分の切ない想いも入り混じりながらも マリアを見ている

「船に乗り込まなくては では参りましょう」マリア

頷く リヒター修道僧
「マリア姫 貴方さまに大いなる救い、祝福と加護が在りますことを」


 
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