代価は マルタの鷹が一羽 病院騎士団（聖ヨハネ・ロドス・マルタ騎士団）

酒場での騒ぎと・・

酒場での喧嘩　よろけた男が貴婦人に勢いよく倒れ掛かる
「きゃああ」身を固くした貴婦人　そこにひょいと庇うように支えた
「気をつけて・・マダム」ヴァレッタ隊長の一言

「流石ですレデイの扱いに慣れているフランスの騎士のヴァレッタ隊長」
シオンの一言であった。
「私もフランス人だが？」リダラン総長　「ですよね～～うふっ」シオン
「アンジェロ・ド・オランジェヌ騎士さまの義妹フランソワーズ嬢、
うら若いすこぶる美人の寡婦」シオン

「偶然、亡くなったご主人がマルタ島に移住して
こちらに住んでいたので、そのまま住まわれているとか
此処には手紙を預けにきたようですよ」
何故か事情を良く知っているシオンの言葉だった。

そうして、どうにか喧嘩の方は納まりつつある‥
だが、まだ互いの拳の打ち合いにワインの瓶が割れる音が響いていた。

シオンの背中の袋から鶏の鳴き声にそれから　やや、暴れていたりする
「シオン、その鶏は我ら騎士団の大事な食料だろう？」リラダン総長
「返して欲しいですか？」シオン「当たり前だ」しごく当然の顔をするリラダン総長

「僕が日干しにした分の鶏も？」シオン「…それはやる」リラダン

「有難うございます　干し肉も美味しいですよ」シオンはニコニコ顔だ

「ああ、そうだ」シオンが思い出したかのように言う「何だ？」
「騎士団の船から降ろしている最中に鶏や兎の半分が降りから逃げ出しましたから
捕まえた方がいい･･ああ、殆どが地元の人達が捕まえて持って行ったようですけど」
港の方を見ながらのシオンの言葉

「あ‥何故それを先に言わない！シオン！」「聞かなかったから　うふふっ」

「手すきの者達、港で我らの食料が脱走中だ　急ぎ港に戻り　
我らの食料を確保するように！」
今度はヴァレタ隊長に
「あ、ヴァレッタ君、ジャンはその麗しいレデイを送って行ってやれ」リラダン総長
「了解」

「リラダンさま、いいですか？」シオン、一瞬だけ見せた暗い笑み　
魔物の笑みを見せた
「んつ？」リラダン総長

「ゴソ島の哀れな島民たちがイスラム、アフリカのチュニスから来た者達
海賊の餌食になってますけど」金色に輝くシオンの瞳がそこにあった