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海賊船の甲板にいる魔物の少女

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海賊船の甲板にいる者達

「だ、誰か・・ああ、神さま」「・・・ううっ」涙ぐむ者達 
か弱い女性や幼い子供が多い 

男達の多くは 農園に鉱山 、ガレー船などの労働力として使われるので
きつく縄で縛り上げられている

また、貴族階級などを含め
中には身代金などと引き換えに戻れる者達もいる

「今回も収穫は大漁だった」「想像以上に金品も得られたぞ」
海賊達はご機嫌である

「・・マーニャ?」囚われて縄に縛られいたリヒター修道僧は 
顔見知り茶髪の少女に声をかけた
「あ、リ、リヒター様!」涙を流しながら マーニャはリヒターに答えた

そんな二人を見ている幼い姿の少女がいた
年頃は10歳前後だろうか?

同じく攫われた者達の中にいるが、落ち着き払い平然としている
親らしき姿はない
黒髪の長い髪に青い瞳 服装からして、貴族の娘のようだった。

トコトコと
リヒター修道僧とマーニヤのすぐ傍に行き、嘆きあう二人の頭を撫でる
「大丈夫よ うふふ」幼い少女が声をかけた

「え?」きょとんとする二人

幼い少女が話だした
「まだリヒター修道僧の『運命の時間』じゃない
それにマーニャのお爺様には恩があるから うふふっ」

「マーニヤ、お爺様によろしくね スペインの地でお世話になったの」

「シャラ・・じゃなかった 私はサラ 魔物の娘 くすくすっ」

少女がそう言うと 青い瞳を大きく見開き 
小さな足で思い切り、少し離れた甲板の床を足でドンを踏みならした。

ドゴオオン 大きな爆発音をさせて 甲板の床には大きな穴が開く

「なんだあ!」「敵の大砲か!」海賊達が大騒ぎとなり 右往左往しながら
中には火縄、マスケット銃を構えた

くるんと廻ると少女は16歳前後の姿に変わる

それから 青い瞳は異様な輝きを放ち
口元の牙が見えて・・口から零れたの歌の旋律

小さな声で そっと・・

教会の聖歌として謳われるもの・・
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