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■第1章 突然の異世界サバイバル!
017 魔法の呪文
しおりを挟む食事の片づけを終え、ピーズの仕分け状況を確認する。まだ未仕分けの素材が半分くらいあるが、日が落ちるまでにはなんとか片付きそうだ。
「休憩や野営準備をしながらの素材収集はもちろんだけど、移動しながらも収集と仕分けができればといいよね。ブーンズが僕たちの都合で作業を止めずにずっと動いていられるように作業環境を整えられれば、エンファに着くまでにそれなりの量を集めらると思うんだ」
「うん、新しいメンバーのキネコもピーズもすごく頼りになるし、素材でなにができるのかが楽しみ。私、ピーズがインベントリの中で仕分け作業ができるように考えてみるね」
「お頭、俺は兄貴と一緒にもうひと働きしてきますから、チューリンとクリンを貸してくだせぇ」
銀河と美怜の仲間に残りたくて、さっきの挽回をしていようとしているらしい。モンスターを倒すのは楽でも、やはり小さな魔石を拾い集めるというのはカクラにも苦労のようだ。
「カクラがみれちゃんの好感度を上げようと必死なんだけど、どうする?」
「魔石を増やしてくれるのはありがたいと思うけど、魔石はMPがHPより高い状態で仕留めないと出てこないんでしょう? スライムはただの水になって消えちゃうからまだいいけど、カワミーは肉体が残るよね。ヒシャラはまだ食べられる? それか魔石になるカワミーだけ見わけらればいいけど」
「俺は六、七割がたわかりますぜ。カワミーは食料としたらまあまあなほうなんで、これからはこいつもアイテムボックスの中に入れとくってのはどうですかい? 焼いたらこーんな小さく縮んじまうんで、食べごたえはあまりねぇですが」
「ヒエッ……」
美怜の引きつった声を聞いて、カクラが顔色を変えた。この様子、上げるどころか好感度の急降下だ。このことはヒシャラの伝達にはなかったらしい。ヒシャラは隣で我関せずとばかりにあくびをしている。
「わ、悪く思わねぇでくだせぇ。お嬢を怖がらせようと思って言ったわけじゃねぇんです。でも、カワミーはどこにでもいてすぐ捕まるから、低ランク冒険者の基本食材ですし、スライムは水がない場所での最も手軽な水分補給ですぜ。そんなことも知らねぇなんて、お嬢は本当にどこかいいとこのお嬢様なんですかい?」
ますます青ざめ、目に涙まで浮かべた美怜を見て、カクラは今度こそアワアワとうろたえた。小さく縮んだ巨大ミミズのソテーが盛り付けられたお皿を目の前に出され、チリトマト味とかグレイビーソースなどの味付けまでされている様子を想像してしまった美怜。味付けがどんなに地球的でも、無理なものは無理。銀河を見る美怜の目が助けを求めるようにうるうるしていた。
「銀ちゃん、私……この世界でやってけないかも……」
「だ、大丈夫だよ……! カワミーなんか食べなくても、僕達今日まで生きてこれたんだから!」
袖で目じりを拭く美怜をなだめて、銀河はカクラをジロッとねめつけた。
(余計なこというんじゃないよ、もう)
(カワミーを食べたことないなんて間違いなく箱入りですぜ……)
カクラの中で無言のうちに美怜のお嬢様認定がされたあと、銀河は美怜の背中をなでて落ち着かせながら、やや強引に話をそらした。
「あ、そうだ、カクラの魔法のこと教えてよ。グレゴのときに唱えていた呪文、あれなんていってたんだ?」
「えっ、ああ。俺は身体強化の基本的な魔法ぐらいしか……。まあその、あとは風属性の速さの強化ですな……」
これまで常に饒舌だったカクラの歯切れが突然悪くなった。
「つまり……『力よ、我が脚に宿れ、我を助けよ。色なき蝶よ、疾風の加護を与え給え』……とまあ、詠唱補助の文様を入れているにもかかわらず、符牒呪文さえ使えねぇ……。俺の魔法はそんなもんなんで、いやもう、お頭だってわかっているでしょうに、人が悪ぃですなぁ」
まるでわかりきったことを聞いてくれるなという素振りだ。どうやらカクラにとって魔法は苦手分野らしい。短い付き合いではあるがカクラの性格を思うに、早飲み込みで、あまり深く考えない。ひょっとすると、基本的な魔法しか身に着けていないというのは、それ以上の魔法の習得や修練ができなかった、あるいはしたくなかったのかもしれない。詠唱補助の足首の文様は、それを補うためのものだったらしい。
符牒というのはいわゆる合言葉のことだろう。例えばゲームで言ったら『ファイヤーボール』とか『アイスニードル』とかのキーワードだけの呪文の形のことを差すものと思われる。言葉を使った魔法には、それなりに長い詠唱呪文とキーワードだけの符牒呪文の区別があるようだ。無論、カクラの話しぶりから推測するに符牒呪文のほうが高度なのだろう。
(そういえば、僕はまだそういう呪文を一度も試したことがなかったな。ひょっとしたら、僕にも攻撃魔法……、いやMPじゃないくてBPだから、魔法とは言わないかもしれないけど、そういうスキルがあるかしれない!)
ゲーム好きの銀河が思い立ったら試してみずには置けるはずがない。手の平を掲げて、炎の柱や風の盾なんかを作りだせたら、カッコイイに決まっている。地球なら中二病と笑われても、この世界なら間違いなく「勇者様ステキ~」の称号がもらえるはずなのだ。銀河はトイレに行くと嘘をついてその場を離れた。
美怜に声が届かない距離を見計らって場所を定めると、銀河は手を重ねて、前に突き出してみた。この辺の手振りは異世界ラノベのアニメのイメージだ。でもこういうのはきっと、心のイメージこそが大事なはず! 銀河は息を整えて、頭の中に燃える火をじっくりと思い浮かべた。しばらくそのイメージを保ち続ける。集中が高まって来て、だんだんいけそうな気がしてくる。銀河はこの高揚感こそが、力の源のように思えてきた。
(もっと、もっとだ……!)
なんとなく体全体が熱くなってきて、両方の手の平に力が集まってくるような気がする。にわかに額の汗を感じる。自分でも、ものすごく集中しているのがわかる。それでいて体はリラックス状態で、いつでもすばやく動き出せるような感覚がして、体中に気が巡りとても温まっている。世に言う、ゾーンに入った。多分、その感覚だ。これなら絶対いける。銀河はそう思って、素早く息を吸い、呪文を唱えた!
「ファイヤー!」
その瞬間、銀河の後ろから美怜の声がした。
「銀ちゃん、なにしてるの?」
「うわあっ!!」
死ぬほどの驚きで勢いよく前につんのめっていた。振り返ると、美怜がカクラと一緒にきょとんとして立っている。
(えっ、えっ、魔法は? 僕のファイヤーは……!?)
残念ながら、銀河渾身のファイヤーからは、なにも生まれていなかった。残ったのは、恥ずかしい呪文を大声で叫んでいるところを、好きな女の子にがっつり見られていたという事実だけ。銀河の顔が一瞬でゆでだこに変わる。死ぬほど恥ずかしい。いけそうな気がするとか本気で思っていた自分が、マジで死ぬほど恥ずかしい銀河の、焦りで口が回らない。
「あばっ、あぼ、ぼぼ、ぼば……っ!」
「あんまりにも遅いから心配して来てみたんだけど。ファイヤーって、魔法の呪文?」
「ははぁ、お頭も符牒呪文の習得に苦戦してるたちですな? 俺はどんなにやってもとんと無理で、早いうちにあきらめましたですぜ」
カクラは腕を組んでしみじみとしている。美怜が興味津々とした目で隣にやってきた。
「銀ちゃん、なんで教えてくれなかったの? 練習するなら私も誘って欲しいよ」
「えっ、え……!?」
痛い奴の烙印が確定、と思っていたのに、意外にも美怜が魔法の訓練へ乗り気な態度を表す。一瞬銀河にはなにが起こったのかわからなかった。だが、この世界が自分の想像を超える場所だということについては、美怜も受け止めて納得しているのだろう。さらにこれまでの銀河への信頼感とユニークスキルの経験則が相まって、銀河がやろうとすることなら、きっとできるはずという刷り込みが、いつの間にか美玲に生まれているようだ。
「それで、どうやればいいの、銀ちゃん?」
「え……、いや、ぼ、僕もまだぜんぜん……」
「そっか。私使いたい魔法があるんだ。えっとね、えーっと……」
美怜がしばらく斜め上を見上げ、ぱっとひらめいたような顔つきになったすぐあと、銀河に倣って両手を突き出した。
「マイミー」
……しばらくの沈黙。そのあと、なにも起こっていないことを銀河と美怜が互いに認識し合った。
「あれ、だめみたい……」
「う、うん……」
「呪文が違ったかなぁ?」
「ちなみに、みれちゃんのそれ、なんの呪文?」
マイミーというのは、ゲーム好きの銀河にも聞きなじみがない。ひょっとしたら戦うプリンセスかなんかの呪文なのだろうか。
「回復の呪文だよ、ほらあの。あっ、思い出した! マイミーじゃなかった」
美怜がまた、ぱっとひらめいた顔をして、手を突きだした。
「スイミー」
やはりなにも起こらない手の平を眺めて美怜が首をかしげる。回復魔法と聞いて銀河もようやくピンときた。
(ホIミのことか……?)
子どもの頃、銀河がドラクEをプレイしている傍らに美怜がいたことを思い出し、銀河は吹き出しそうになるのを必死にこらえた。美怜が手を掲げ、指をめいっぱいに広げ、なんどもなんども真剣にスイミーを唱えている。銀河は震えた。
(みれちゃんが……、かわいすぎる……!)
「あれぇ、だめぇ? もう一回、スイミー!」
(だめだ、耐えろ僕……! ここで笑ったらもみれちゃんが……っ)
「んー……? やっぱりマイミーだったけ、銀ちゃん」
マイミーでもスイミーでも、恐らくきっと魔法は成功しないと思われる。だが、戦うプリンセスよりも戦えない美怜のほうが、百倍かわいかった。
「んっ、ん゛ん゛っ……。み、みれちゃん……、そ、それってさ……、ん゛んっ……」
「お嬢も訓練中でしたか~。回復系は人気が高いですからなぁ。でも、お嬢の場合は自分の身を守る、それこそ攻撃系の魔法をひとつかふたつは持っておきたいところですぜ」
「そうかなあ……。えっと、じゃあ……」
美怜が幼い日の記憶をたどって思い出した呪文を唱えた。
「メガ!」
「――ぶっはっ!」
ついに銀河が吹いた。美怜の魔法が成功すれば、もしかしたらメガ級の炎がもたらされたかもしれなかったが、残念ながら、実際に起こったのは銀河のメガ級の破顔だった。お腹を抱えて銀河がよじれる。
「ははははっ! み、みれちゃん、ち、ちが……っうはははっ!」
「え~。メガじゃなかったけ? ……あ、メタ?」
「うっははははっ!」
「うーん……、あっ、わかった! ベラだ! ベラ~!」
「だはははははっ!」
たった二文字のそれが言えない美怜が、さらに百倍おもしろかった。
そんなわけで、ドラクEの正しい呪文がわかっても、全く成果が上がらなかった銀河と美怜は、出来ないことを出来るようになるより、まずは今できる能力を伸ばすことに力を注ぐことにした。日暮れが近づいたころ、ピーズの仕分けが終わった。それらをすべてインベントリに入れた後、いよいよ頃合いのよさそうな、地下焼きを掘り出してみることにした。掘り返してみる、土の中はまだかなりの高温で、葉っぱからの水蒸気と共に美味しそうな匂いが漂ってきた。あちあち、と言いながら、四人分の包みをお皿の上に乗せる。葉っぱの包みを開けると、ふっくらと蒸し焼きされた芋と魚の凝縮された香りが、ぶわっと広がった。【※70】
「うわぁ、うまそう! いただきまーすっ!」
「ヒシャラはフーフーして食べてね。いただきまーすっ」
「フンス! ふぶぉっ、ぶふうっ!」
「うおおっ、こんな上等な食事、いつぶりだ~っ! はぐっ! はふはふっ! うっうめーっ!」
しっとりほくほくの芋の甘みと、ふんわりやわらかな魚の身と、全体にいきわたった魚の油、そして絶妙な塩加減。すべてが合わさると、とんでもなく美味だった。食事が終わって寝床の準備をしていたら、カクラがいそいそと提案をしてきた。
「俺が火の番をしますから、お頭とお嬢は先に休んでくだせぇ。俺の次は兄貴、兄貴の次はお頭を起こしますんで」
「えっ、火の番をしてくれるのか? ヒシャラまで?」
「フム」
ヒシャラがタカラコマの先輩としてカクラに影響を与えているように、カクラもパーティで培った集団行動などの影響をヒシャラに与えているらしい。まさに、同じ釜の飯を食った仲間意識が生まれてきている。
「それは本当に助かるよ!」
「負担が二分の一から、一気に四分の一だもん。ありがとう、カクラ! ヒシャラ!」
「へっへっへ!」
少しは挽回できたと思ったらしいカクラが愛想よく笑って見せた。
下記について、イラスト付きの詳細情報がご覧いただけます! ブラウザご利用の場合は、フリースペースにある【※ 脚注 ※】からご覧いただけます。アプリをご利用の場合は、作者マイページに戻って「GREATEST BOONS+」からお楽しみください。
【※70】山芋の地下焼き …… 情報403
* お知らせ-1 * 便利な「しおり」機能を使っていただくと読みやすいのでお勧めです。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です。ぜひご活用ください!
引き続きお楽しみください!
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