27 / 47
# ランドセル いらない
しおりを挟むいや~な夢を見た。
巨大なランドセルがあって、まるで洞穴。
入ったら二度と出られないみたいな闇。
熱くも寒くもない、ざわざわした風。
あたし、絶対入りたくない!
「来週から1年生でしょ? しっかりしなきゃ」
ママにあたしの気持ちなんてわからないんだ。
こんなに嫌がってるのに、どうして行かせようとするの?
その夜、ランドセルでできたお城の夢を見た。
何千、何万それかもっとのランドセルが積み上がっている。
うす気味悪い空から、声が降ってきた。
「お前もランドセルを高く高く積み上げなければならないのだ」
そんなのやだ!
無理だよ!
入学式まであと1日。
昨日は背負ったランドセルがどんどん大きくなって押しつぶされる夢を見た。
あたしはランドセルにころされる。
ランドセルなんてなくなればいいのに。
そうだ、捨てちゃおう。
ううん、燃やちゃおう。
そうだ、燃やしてなくしちゃえばいいんだ!
ランドセルを庭の真ん中において、まわりに燃えそうなものを並べた。
火、火は……。
お家の中を見渡してみたけど見当たらない。
隣のおじさんに聞いてみようかな。
隣のお家の前まできたけど、どうしよう。
たぶん貸してくれない気がする。
その時、道の向こうから眼鏡をかけた女の人が歩いてきた。
あの人に聞いてみよう!
「それならそこの公園に持っていくといいわよ。
あなたと同じで、ランドセルを燃やそうとしている子がいたから、一緒にやったら?」
ほんと!
ランドセルのベルトを掴むと、近くの公園に急いだ。
公園の中央に4人の女の子たちがいた。
みんなそろって真新しいランドセルをしょっている。
知らない子たちだったけれど、勇気を出して話しかけた。
「あ、あたしも、仲間に入れてくれない……?」
「いいよ!」
「紫色のランドセルかわいい!」
「わたしたち一緒のクラスになれたらいいね!」
「ねえ名前なんて言うの?」
あれ……。
「明日お父さん来てくれるかなあ」
「ちょっと緊張しちゃう」
「入学式の服、何色?」
「友達できるかなあ」
みんなとバイバイしたあと、ランドセルをしょってお家に帰った。
その晩も夢を見た。
キラキラキラ!
戦うヒロインキャラクターのあたしたち。
5色のランドセルを背にポーズ!
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
くすぐり奴隷への道 FroM/ForMore
レゲーパンチ
現代文学
この作品は、とある18禁Web小説を参考にして作られたものです。本作品においては性的描写を極力控えた全年齢仕様にしているつもりですが、もしも不愉快に思われる描写があったのであれば、遠慮無く申し付け下さい。
そして本作品は『くすぐりプレイ』を疑似的に体験し『くすぐりプレイとはいったいどのようなものなのか』というコンセプトの元で作られております。
インターネット黎明期の時代から、今に至るまで。
この道を歩き続けた、全ての方々に敬意を込めて。
それでは、束の間の短い間ですが。
よろしくお願いいたします、あなた様。
追伸:身勝手ながらも「第7回ライト文芸大賞」というものに登録させていただきました。
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる