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仁ある所に全ての徳集まる(1)

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 十三歳の初秋、二度目の生を受けて初めてお茶会に招かれた。

 コルテジア伯爵家。

 アブソルート王家がそうだったようにアッチェッターレ王家にも屋台骨を支える有力貴族たちがいる。

 そのひとつであるコルテジア家から招待を受けるということは、貴族界にプレモロジータ家が認められた証。

 しかも、私と歳近いご令嬢がいらっしゃるそうで、いいお友達になれたら……と密かに心弾ませている。

 お庭に案内されると、すでにたくさんの人が勢ぞろい。

 お父様とお母様、お兄様とお姉様がいろんな方と挨拶を交わす。

 その間、私は側で微笑み、自己紹介をして、丁寧なお辞儀を繰り返す。



「さすがは伯爵家ですな。教育が行き届いていらっしゃる」

「落ち着いた物腰ですわねぇ。まだ十三歳? あらまぁ」



 元皇太子の婚約者として受けてきた正妃教育のたまもの。

 それに中身は実質的には十八歳。

 大人たちが子どもにはわからないだろうと思って漏らすあれこれも、私にはすっかり理解できる。

 ただ、私はなにも知らないふりして微笑むだけ。

 人波の向こうにひときわ華やかな夫妻が見えた。

 夫妻の側に立つ女の子と、ぱっと目が合った。

 コルテジア伯爵と夫人、そのご令嬢かしら。



「やあ、ようこそ、よく来てくださった、プレモロジータ伯爵」

「コルテジア伯爵、素晴らしい会に呼んで下さりありがとう存じます。

 紹介します、妻のニーナ。息子のヒューとその妻のアウローラ。そして、娘のミラです」

「ああ、君が。私の娘を紹介しよう。アルベルティーナ、もうすぐ十四歳だ」

「はじめまして、ミラ様。アルベルティーナよ」



 柔らかな茶色の髪をぴっちりと結い上げて、ヘーゼルカラーの明るい瞳。

 目眉はきりっと涼しくて、口元には隙が無い。

 しかも、お辞儀が完璧な角度。



「お会いできて光栄ですわ、アルベルティーナ様」



 私も倣ってお辞儀の角度を意識して挨拶を返した。



「あら……! あなた、できるわね」

「え?」

「コルテジア家の礼儀作法に敵う者はそうはいなくてよ。大人でもそうなんですもの、子どもではなおさら」

「それで、アルベルティーナ様は角度が完璧なのですね」



 その瞬間、彼女の明るい瞳がきらっと光った。



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