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プレモロジータ伯爵家(5)
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その晩、ふと思い立って、ルームメイトのダーチャさんが寝静まってから私は『誓い』を暗唱した。
文言を、絶対王からお父様たちに変えてみることを思いついたのだ。
一日でも、一瞬でもいい。
昔みたいな穏やかな日々を取り戻して差し上げたい。
笑顔にしたい。
笑わせたい。
悲しみを忘れて人生を心地いいものにして欲しい。
そのためなら、どんなことでも、役に立ちたい。
私が前世の記憶を持って生まれ変わってこれたのは、きっとこのためなのだわ。
ここに導かれたのはきっと、神様がそうせよとチャンスを下さったのだわ。
きっとそうに違いない。
いまこそ、本当の心を捧げるとき。
今私の中にあるすべての真心。
そのすべてを、お父様とお母様とお兄様に差し上げたいの……。
「我ラーラは、旦那様、奥様、若旦那様を生涯の主として忠誠を誓う。
我が真心は、人を愛し思いやる心。
この心を持って身を捧ぐは、この土地の平穏のため。
プレモロジータ伯爵家は永久に人を愛し思いやる心を失わず、この土地の領主としてあり続けるだろう」
光がふわふわと立ち昇る。
けれど、どこへも行かず私の胸にとどまった。
予想はしていたけれど……。
やっぱり『誓い』は絶対王へでないと効果が出ないのね……。
主と従者という立場は同じなのに。
……思ったようにはいかないものね。
がっかりだけれど、仕方ないわ。
私はいつものお祈りを済ませて、そのままベッドにもぐりこんた。
まさか、隣のベッドで寝ているはずのダーチャさんが一部始終を見ていたなんて、思いもせずに……。
その晩、ふと思い立って、ルームメイトのダーチャさんが寝静まってから私は『誓い』を暗唱した。
文言を、絶対王からお父様たちに変えてみることを思いついたのだ。
一日でも、一瞬でもいい。
昔みたいな穏やかな日々を取り戻して差し上げたい。
笑顔にしたい。
笑わせたい。
悲しみを忘れて人生を心地いいものにして欲しい。
そのためなら、どんなことでも、役に立ちたい。
私が前世の記憶を持って生まれ変わってこれたのは、きっとこのためなのだわ。
ここに導かれたのはきっと、神様がそうせよとチャンスを下さったのだわ。
きっとそうに違いない。
いまこそ、本当の心を捧げるとき。
今私の中にあるすべての真心。
そのすべてを、お父様とお母様とお兄様に差し上げたいの……。
「我ラーラは、旦那様、奥様、若旦那様を生涯の主として忠誠を誓う。
我が真心は、人を愛し思いやる心。
この心を持って身を捧ぐは、この土地の平穏のため。
プレモロジータ伯爵家は永久に人を愛し思いやる心を失わず、この土地の領主としてあり続けるだろう」
光がふわふわと立ち昇る。
けれど、どこへも行かず私の胸にとどまった。
予想はしていたけれど……。
やっぱり『誓い』は絶対王へでないと効果が出ないのね……。
主と従者という立場は同じなのに。
……思ったようにはいかないものね。
がっかりだけれど、仕方ないわ。
私はいつものお祈りを済ませて、そのままベッドにもぐりこんた。
まさか、隣のベッドで寝ているはずのダーチャさんが一部始終を見ていたなんて、思いもせずに……。
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