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第1部 婚約破棄&処刑されて転生しましたけれど、家族と再会し仲間もできて今はとっても幸せです
非業の死、のち第二の生(2)
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それから、二十一年の年月が経ったんだ、ということに気が付いた。
それも、唐突に。
「ラーラ、どうしたの? 伯爵家住み込みのメイドよ、いいお話だと思うんだけれど」
「……シスター・カーラ。もう一度、その家名を教えてくれませんか?」
「サーフォネス伯爵家よ。といっても、二十年前に隣国のセントライト王国から亡命して来られて、我が国に帰化してからは国王陛下から新しい家名を賜って、今はプレモロジータ伯爵と名乗っているの。
この辺りの辺境地を治めていらっしゃるんだけれど、伯爵の統治になってから、税が収穫に見合った割合になって、水路や街道が整備されたおかげで、とても住みやすくなったのよ。
伯爵夫人は領地の福祉に熱心で、孤児の養子縁組活動に精を出されているそうよ。
ご令息は三十九歳で未婚らしいけれど、明るくて気さくで、評判のいい方よ」
――お父様、お母様、お兄様!
サーフォネスという言葉を聞いた瞬間だ。
すべてを、思い出した。
処刑されて終わった一回目の私の人生。
まさか、新しい命をもらって、もう一度蘇っていたなんて……。
「ラーラは誰に教わるでもなく言葉遣いが丁寧だし、身のこなしも他の子と違うから、あなたに合うんじゃないかと思って、一番に声をかけたのよ」
「シスター・カーラ、私行きます!」
今更ながら腑に落ちる。
私は孤児でありながらも、自然とお祈りの言葉を覚え、聖書を習うことが少しも苦ではなかった。
他の子たちが文字が読めなかったり、じっとして説教を聞いていられないがどうしてなのかと、不思議に思うくらいに……。
もう知っていたからなんだ。
でも、どうしてこんな不思議なことが?
けれど、そんなことはどうでもいい!
生きてまた、お父様とお母様とお兄様に会えるなんて!
それも、唐突に。
「ラーラ、どうしたの? 伯爵家住み込みのメイドよ、いいお話だと思うんだけれど」
「……シスター・カーラ。もう一度、その家名を教えてくれませんか?」
「サーフォネス伯爵家よ。といっても、二十年前に隣国のセントライト王国から亡命して来られて、我が国に帰化してからは国王陛下から新しい家名を賜って、今はプレモロジータ伯爵と名乗っているの。
この辺りの辺境地を治めていらっしゃるんだけれど、伯爵の統治になってから、税が収穫に見合った割合になって、水路や街道が整備されたおかげで、とても住みやすくなったのよ。
伯爵夫人は領地の福祉に熱心で、孤児の養子縁組活動に精を出されているそうよ。
ご令息は三十九歳で未婚らしいけれど、明るくて気さくで、評判のいい方よ」
――お父様、お母様、お兄様!
サーフォネスという言葉を聞いた瞬間だ。
すべてを、思い出した。
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まさか、新しい命をもらって、もう一度蘇っていたなんて……。
「ラーラは誰に教わるでもなく言葉遣いが丁寧だし、身のこなしも他の子と違うから、あなたに合うんじゃないかと思って、一番に声をかけたのよ」
「シスター・カーラ、私行きます!」
今更ながら腑に落ちる。
私は孤児でありながらも、自然とお祈りの言葉を覚え、聖書を習うことが少しも苦ではなかった。
他の子たちが文字が読めなかったり、じっとして説教を聞いていられないがどうしてなのかと、不思議に思うくらいに……。
もう知っていたからなんだ。
でも、どうしてこんな不思議なことが?
けれど、そんなことはどうでもいい!
生きてまた、お父様とお母様とお兄様に会えるなんて!
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