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第三章 灰色の対極
3-14 ──何やってんだよ、環ィ??
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◇
灰色が、すべての心を、感情を占有する。劣等感が、己こそ自分自身であると証明するように、あらゆる行動を劣等感が──。
◆
──支配した。
「みつけた」
長い時間、待っていた甲斐があったというものだ。ここまで環に行動させていてよかった。俺ではたどり着くことはできなかったかもしれない。だから、こいつには感謝が尽くせない。
目の前にはあの女がいる。白い空間に独り佇むように、特に何もしないように、ただただそこにいる。
俺は、──ナイフを取り出した。
「──環?」
葵が不安そうな声を出すけれど、心配はない。お前が嫉妬心を抱く原因となったものを排除するだけだ。俺が存在するために必要な要素を生み出すだけだ。その行為によって、俺が肯定される世界を選ぶだけだ。それだけなのだから、お前が心配する必要などはない。
──意識が加速する。
魔法使いは殺さなければいけない。殺すことが俺の使命でしかない。
現実を上書きする現実喰いなど殺さないrと仕方がないってものだ。どこまでも醜い非現実を現実に上書きするのだから、それを清めなければ、浄化しなければ、この世界は救われない。
俺は、──駆けだした。
あの女は俺に気づいていない。だからこそ、今以上に殺す機会など存在しないだろう。俺はここであの女を殺すのだ。殺すしかないのだ。興奮して仕方がない。
彼女の柔肌に刃を貫くときが楽しみでしようがない。彼女の肉が柔く弾ける感触が妖艶に思えて仕方ない。彼女の白い肌を分離したくて仕方がない。関節すべてを切り分けてあげたい。それを元の状態に並べて人形にしてあげたい。これは”退魔衝動”とは別に彼女に抱く劣情のようなものだ。だから、これは俺の”趣味”でしかない。
「──天音さん!!」
後方から声が聞こえてくる。葵が俺に対して違和感を察して行動したのだろうが、それはあまりにも遅すぎる。
彼女が振り向く。振り向くならそちらの方が殺しやすい。人間の挙動というものは不思議なもので、一瞬視界に入れてしまえば、最初の認知が触れるまで行動をすることができない。だから天音はこのまま俺のナイフに身をゆだねるしかない。
手を、足を、首を、腹を、頭蓋を、脳を、唇を、目を、耳を、心臓を。あらゆるものをあらゆるもので分離して確実に殺す。
──彼女が俺を見た。
戸惑うような、──信じられないような表情で。
──お前は俺を知っているのだろう?だから、別にそれがおかしいわけじゃないことを知っているくせに、そんな表情を取るのが、俺にはそれが不思議で仕方ないよ。
刃を振りかざす。彼女の肉に届くまで、四、三──、最初は首に突き立ててしまおう。首から背中にかけて思考の縄が解けるように。二──、その後はやりたいようにしよう。犯してしまっても構わない。誰も止める者はいない。葵が止めたとしたならば、それも殺してしまえばそれでいいだろう。
一、──。
「──何やってんだよ、環ィ??」
──聞き覚えのある声。
そうして、刃先が触れる瞬間に、なにかがそれに衝突して、その刃先の進行を許してはくれない。
「──邪魔すんなよ朱音ェ!」
──俺の姉である朱音が、槍でそれを防いだ。
□
私の声が響いても、むなしくそれが彼女に伝わることはない。違和感を覚えたときに行動をするべきだったのだろうが、そんな後悔はもう遅い。
環は刃を振り下ろそうとする。──確実な殺意をもって。
──以前も感じたことがある、彼の異質な何か。模擬戦闘の時にはわからなかったけれど、あの時のことを振り返ってみれば、確実に環は雪冬くんを殺そうとしていた。
今の、この状況と同じように。
きっと、このままでは彼女は環に刺される。そのとき、私はどうすればよかったのだろう。そして、私はなぜそれを止めているのだろう。
よくわからない。天音さんを助けるためなのだろうか。それは私の真意なのだろうか、よくわからない。でも、きっとそんな善意みたいなものは私にはなくて、環に誰かを殺してほしくはない、という願望だけが渦巻いてそれを止めたいという衝動に駆られているのだ。
──でも、もう遅い。
ここから魔法を詠唱していたら、その間に彼女は死ぬという確信がある。魔法使いの回復力でもどうにもならないほどにバラバラにされる想像がどこか心に這いよってくる。
それならば彼に対して走り出して止めればいいのかもしれない。でも、普段の彼とは想像できないほどに俊敏に動く彼を、魔法も使わずに追いかけることなどできやしない。
──終わる、終わる、終わる。
彼女の命が、──終わる。
そんな時に聞こえてくる、状況をつかめない音。
ガキン、と何かが衝突する音が聞こえて、そうして改めて目の前にある光景を認識する。
「──何やってんだよ、環ィ??」
──左手に槍を持った女が、環の刃を止めている。
ひどく背の高い女、髪はどこか非現実的な雰囲気を思わせる水色。そして、どうしようもなく認識してしまう左手の──環と同じ紋章。
──なんで彼女が、環と同じ紋章を?
「──邪魔すんなよ朱音ェ!」
環から環ではないような声が聞こえてくる。そんな言葉づかい、今の今まで聞いたことがない。
──それよりも、あの水色の髪の女が気になって仕方がない。
──紋章は、基本的に右手に宿り、その形や色についてはそれぞれで異なる。
環に関しては、魔法使いになって左手に発現するというイレギュラーもあったけれど、それは後天的に魔法使いになった、という原因があるものだと思っていた。
結局それで環は自分自身が魔法使いではない、と思ったようだけれど、私はまだそれを信じられない気持ちでいた。
──でも、あの女の左手の紋章が、環と全く同じである、ということは、魔法使いではないことを証明するようなものだ。
だから、気づきたくはないことに気づいてしまう。
──環は、魔法使いではないのだ。
灰色が、すべての心を、感情を占有する。劣等感が、己こそ自分自身であると証明するように、あらゆる行動を劣等感が──。
◆
──支配した。
「みつけた」
長い時間、待っていた甲斐があったというものだ。ここまで環に行動させていてよかった。俺ではたどり着くことはできなかったかもしれない。だから、こいつには感謝が尽くせない。
目の前にはあの女がいる。白い空間に独り佇むように、特に何もしないように、ただただそこにいる。
俺は、──ナイフを取り出した。
「──環?」
葵が不安そうな声を出すけれど、心配はない。お前が嫉妬心を抱く原因となったものを排除するだけだ。俺が存在するために必要な要素を生み出すだけだ。その行為によって、俺が肯定される世界を選ぶだけだ。それだけなのだから、お前が心配する必要などはない。
──意識が加速する。
魔法使いは殺さなければいけない。殺すことが俺の使命でしかない。
現実を上書きする現実喰いなど殺さないrと仕方がないってものだ。どこまでも醜い非現実を現実に上書きするのだから、それを清めなければ、浄化しなければ、この世界は救われない。
俺は、──駆けだした。
あの女は俺に気づいていない。だからこそ、今以上に殺す機会など存在しないだろう。俺はここであの女を殺すのだ。殺すしかないのだ。興奮して仕方がない。
彼女の柔肌に刃を貫くときが楽しみでしようがない。彼女の肉が柔く弾ける感触が妖艶に思えて仕方ない。彼女の白い肌を分離したくて仕方がない。関節すべてを切り分けてあげたい。それを元の状態に並べて人形にしてあげたい。これは”退魔衝動”とは別に彼女に抱く劣情のようなものだ。だから、これは俺の”趣味”でしかない。
「──天音さん!!」
後方から声が聞こえてくる。葵が俺に対して違和感を察して行動したのだろうが、それはあまりにも遅すぎる。
彼女が振り向く。振り向くならそちらの方が殺しやすい。人間の挙動というものは不思議なもので、一瞬視界に入れてしまえば、最初の認知が触れるまで行動をすることができない。だから天音はこのまま俺のナイフに身をゆだねるしかない。
手を、足を、首を、腹を、頭蓋を、脳を、唇を、目を、耳を、心臓を。あらゆるものをあらゆるもので分離して確実に殺す。
──彼女が俺を見た。
戸惑うような、──信じられないような表情で。
──お前は俺を知っているのだろう?だから、別にそれがおかしいわけじゃないことを知っているくせに、そんな表情を取るのが、俺にはそれが不思議で仕方ないよ。
刃を振りかざす。彼女の肉に届くまで、四、三──、最初は首に突き立ててしまおう。首から背中にかけて思考の縄が解けるように。二──、その後はやりたいようにしよう。犯してしまっても構わない。誰も止める者はいない。葵が止めたとしたならば、それも殺してしまえばそれでいいだろう。
一、──。
「──何やってんだよ、環ィ??」
──聞き覚えのある声。
そうして、刃先が触れる瞬間に、なにかがそれに衝突して、その刃先の進行を許してはくれない。
「──邪魔すんなよ朱音ェ!」
──俺の姉である朱音が、槍でそれを防いだ。
□
私の声が響いても、むなしくそれが彼女に伝わることはない。違和感を覚えたときに行動をするべきだったのだろうが、そんな後悔はもう遅い。
環は刃を振り下ろそうとする。──確実な殺意をもって。
──以前も感じたことがある、彼の異質な何か。模擬戦闘の時にはわからなかったけれど、あの時のことを振り返ってみれば、確実に環は雪冬くんを殺そうとしていた。
今の、この状況と同じように。
きっと、このままでは彼女は環に刺される。そのとき、私はどうすればよかったのだろう。そして、私はなぜそれを止めているのだろう。
よくわからない。天音さんを助けるためなのだろうか。それは私の真意なのだろうか、よくわからない。でも、きっとそんな善意みたいなものは私にはなくて、環に誰かを殺してほしくはない、という願望だけが渦巻いてそれを止めたいという衝動に駆られているのだ。
──でも、もう遅い。
ここから魔法を詠唱していたら、その間に彼女は死ぬという確信がある。魔法使いの回復力でもどうにもならないほどにバラバラにされる想像がどこか心に這いよってくる。
それならば彼に対して走り出して止めればいいのかもしれない。でも、普段の彼とは想像できないほどに俊敏に動く彼を、魔法も使わずに追いかけることなどできやしない。
──終わる、終わる、終わる。
彼女の命が、──終わる。
そんな時に聞こえてくる、状況をつかめない音。
ガキン、と何かが衝突する音が聞こえて、そうして改めて目の前にある光景を認識する。
「──何やってんだよ、環ィ??」
──左手に槍を持った女が、環の刃を止めている。
ひどく背の高い女、髪はどこか非現実的な雰囲気を思わせる水色。そして、どうしようもなく認識してしまう左手の──環と同じ紋章。
──なんで彼女が、環と同じ紋章を?
「──邪魔すんなよ朱音ェ!」
環から環ではないような声が聞こえてくる。そんな言葉づかい、今の今まで聞いたことがない。
──それよりも、あの水色の髪の女が気になって仕方がない。
──紋章は、基本的に右手に宿り、その形や色についてはそれぞれで異なる。
環に関しては、魔法使いになって左手に発現するというイレギュラーもあったけれど、それは後天的に魔法使いになった、という原因があるものだと思っていた。
結局それで環は自分自身が魔法使いではない、と思ったようだけれど、私はまだそれを信じられない気持ちでいた。
──でも、あの女の左手の紋章が、環と全く同じである、ということは、魔法使いではないことを証明するようなものだ。
だから、気づきたくはないことに気づいてしまう。
──環は、魔法使いではないのだ。
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