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第141話 乙女? 新しい地獄
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スリスリスリ。
オレはタオルケットをスリスリしながらあれこれ考える。
なんだろう灰谷のやつ。
オマエホントの後、なんだったんだろう。
アホ?自意識過剰?
つうかなんで妙な雰囲気になっちゃったんだろう。
灰谷が泊まるなんていつもの事なのに。
オレのせい?
…だな?
好きだって言っちゃったらなんかもう。
被ってた仮面が剥がれちゃったみたいで。
もう好きが止まんなくて。
家に帰るって言われたら、帰んの?とか言っちゃってるし、泊まって欲しい?なんて言われたら、うん!とか言っちゃいそうだし、いやそこは言わなかったけど。
一緒に布団敷いたり歯を磨いたりしてんのもなんか嬉しいし。
実際泊まってくれて隣りで今寝てんの嬉しいし。
嬉しいの隠すので、もう精一杯……。
なのに母ちゃんがあんな事言うし。
婿だの新婚夫夫だの~~。
でもさ、灰谷にしたら、オレ、キスした前科もあるし、ホントは何されるかわかんないって思われてたらとか思いだしたらもうさ……。
オレってこんなに乙女だったっけ。
まるで恋する乙女だよ~。
キモ~。
オレは足をバタバタさせた。
ハッ。灰谷に聞こえる。
この過剰反応~。
助けて~。
こんな気持ち知られて気持ち悪がられてもツライし。
はあ~どうしたらいいんだオレよ~。
いつも通りいつも通り。
つうか気持ち隠すのがいつもになっちゃってたから、逆にこれはいつもと違ういつもを構築しなければ……って、あ~~。
これが新しい地獄というやつかも。
地獄っぽくないけど地獄……。
ん~。片想いは果てがないな。
まるで蟻地獄……。
まぶし……と思ったら部屋の電気が点いていた。
「何?」
見れば灰谷が自分のカバンを何かゴソゴソやっている。
「灰谷、どうした?」
「真島」
手には小さな手提げ袋。
「真島、コレ」
灰谷が差し出した。
「何これ」
オレは受け取って中をのぞく。
カワイイ小さなリンゴ型のケースが入っていた。
パカッと開いて指輪とか入れとくような。
まるでプロポーズみてえ。
…ってプ、プロポーズ?
これって夢?
「結衣ちゃんからオマエに」
「結衣ちゃん?」
紙袋から出してフタを開けると、中にはピアス。
オレが結衣ちゃんにあげたクロムハーツのピアスが入っていた。
「これ……」
「オマエがいない間に店に来て。真島にとって多分すごく大事なものだから、渡して欲しいって」
「……そっか」
一気に現実に引き戻された。
わざわざケースに入れて、ホントに大事にしてくれてたんだ。
「ワリぃ、中身見ちゃったんだ。母ちゃんが勝手に開けちゃって」
「いいよ。別に」
一瞬浮かれた自分が恥ずかしくなった。
「結衣ちゃん、元気だった?」
「…ああ」
灰谷の顔を見て、そんな事なかったんだろうなと思う。
「そっか」
「自分が言うことじゃないってわかってるけど、真島の事よろしくって頼まれた」
「そっか」
なんて良い子なんだろう。
そんな良い子にオレのしてきた事と言ったら……。
「つけねえの?」
「ん?」
「ピアス」
「ああ……」
もう……オレってホントに……。
「貸せ。オレがつけてやる」
灰谷がオレの手からケースをうばった。
「いいよ」
「つけてやるって」
「いいから」
「つけろよ」
「いいから!」
オレは灰谷の手を払った。
ピアスが床に落ちた。
「……そのピアスつける資格、オレにはない」
灰谷はピアスを拾い上げた。
「そう思うなら、なおさらつけねえとな」
「なんでだよ」
「オマエが結衣ちゃんにした事、そんなオマエに結衣ちゃんがくれた気持ち。その気持ごと引き受けてかねえとな」
「……灰谷」
「泣くな。んで、もう自分にウソをつくな」
オレは涙をギュッとこらえた。
そうだった。
泣いちゃダメだ。
「耳貸せ」
「うん」
オレの右耳に灰谷がピアスをつける。
戻ってきたピアス。
オレと灰谷との、そして結衣ちゃんとの思い出のピアス。
自分にウソをつかない事。
その事で人を傷つけた事を忘れないように。
オレはタオルケットをスリスリしながらあれこれ考える。
なんだろう灰谷のやつ。
オマエホントの後、なんだったんだろう。
アホ?自意識過剰?
つうかなんで妙な雰囲気になっちゃったんだろう。
灰谷が泊まるなんていつもの事なのに。
オレのせい?
…だな?
好きだって言っちゃったらなんかもう。
被ってた仮面が剥がれちゃったみたいで。
もう好きが止まんなくて。
家に帰るって言われたら、帰んの?とか言っちゃってるし、泊まって欲しい?なんて言われたら、うん!とか言っちゃいそうだし、いやそこは言わなかったけど。
一緒に布団敷いたり歯を磨いたりしてんのもなんか嬉しいし。
実際泊まってくれて隣りで今寝てんの嬉しいし。
嬉しいの隠すので、もう精一杯……。
なのに母ちゃんがあんな事言うし。
婿だの新婚夫夫だの~~。
でもさ、灰谷にしたら、オレ、キスした前科もあるし、ホントは何されるかわかんないって思われてたらとか思いだしたらもうさ……。
オレってこんなに乙女だったっけ。
まるで恋する乙女だよ~。
キモ~。
オレは足をバタバタさせた。
ハッ。灰谷に聞こえる。
この過剰反応~。
助けて~。
こんな気持ち知られて気持ち悪がられてもツライし。
はあ~どうしたらいいんだオレよ~。
いつも通りいつも通り。
つうか気持ち隠すのがいつもになっちゃってたから、逆にこれはいつもと違ういつもを構築しなければ……って、あ~~。
これが新しい地獄というやつかも。
地獄っぽくないけど地獄……。
ん~。片想いは果てがないな。
まるで蟻地獄……。
まぶし……と思ったら部屋の電気が点いていた。
「何?」
見れば灰谷が自分のカバンを何かゴソゴソやっている。
「灰谷、どうした?」
「真島」
手には小さな手提げ袋。
「真島、コレ」
灰谷が差し出した。
「何これ」
オレは受け取って中をのぞく。
カワイイ小さなリンゴ型のケースが入っていた。
パカッと開いて指輪とか入れとくような。
まるでプロポーズみてえ。
…ってプ、プロポーズ?
これって夢?
「結衣ちゃんからオマエに」
「結衣ちゃん?」
紙袋から出してフタを開けると、中にはピアス。
オレが結衣ちゃんにあげたクロムハーツのピアスが入っていた。
「これ……」
「オマエがいない間に店に来て。真島にとって多分すごく大事なものだから、渡して欲しいって」
「……そっか」
一気に現実に引き戻された。
わざわざケースに入れて、ホントに大事にしてくれてたんだ。
「ワリぃ、中身見ちゃったんだ。母ちゃんが勝手に開けちゃって」
「いいよ。別に」
一瞬浮かれた自分が恥ずかしくなった。
「結衣ちゃん、元気だった?」
「…ああ」
灰谷の顔を見て、そんな事なかったんだろうなと思う。
「そっか」
「自分が言うことじゃないってわかってるけど、真島の事よろしくって頼まれた」
「そっか」
なんて良い子なんだろう。
そんな良い子にオレのしてきた事と言ったら……。
「つけねえの?」
「ん?」
「ピアス」
「ああ……」
もう……オレってホントに……。
「貸せ。オレがつけてやる」
灰谷がオレの手からケースをうばった。
「いいよ」
「つけてやるって」
「いいから」
「つけろよ」
「いいから!」
オレは灰谷の手を払った。
ピアスが床に落ちた。
「……そのピアスつける資格、オレにはない」
灰谷はピアスを拾い上げた。
「そう思うなら、なおさらつけねえとな」
「なんでだよ」
「オマエが結衣ちゃんにした事、そんなオマエに結衣ちゃんがくれた気持ち。その気持ごと引き受けてかねえとな」
「……灰谷」
「泣くな。んで、もう自分にウソをつくな」
オレは涙をギュッとこらえた。
そうだった。
泣いちゃダメだ。
「耳貸せ」
「うん」
オレの右耳に灰谷がピアスをつける。
戻ってきたピアス。
オレと灰谷との、そして結衣ちゃんとの思い出のピアス。
自分にウソをつかない事。
その事で人を傷つけた事を忘れないように。
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