134 / 154
第134話 オレ、告白したからな。
しおりを挟むズビーッ。
トイレから灰谷が持ってきてくれたトイレットペーパーでオレは鼻をかんだ。
「きったねえな」
「しょうがねえだろうが……」
泣きすぎたオレの声は少し枯れていた。
オレたちは壁を背にして並んで座っていた。
「オマエが……」
また涙がこみ上げそうになったのを必死でこらえた。
「……ヘンな事、言わすから」
「おう」
「はぁ~」
「ため息つくな」
「つくわ!……つうかなんでわかったんだよ」
「あ?」
「ここ」
「さあな。テレパ……」
「電波系かっつうの」
灰谷は静かな声で言った。
「オマエが呼んでる気がしたんだよ。んで……オレが、オマエに……会いたいと思ったんだよ。したら、わかったんだよ」
会いたい……灰谷がオレに?
灰谷もそう思ってくれてたんだ。
「……なんだそれ電波系か」
ついついそんな風に言ってしまうオレ。
「オマエ……まあいいや」
灰谷が少し呆れたような顔で、でも、口元をゆるませた。
「真島」
「ん?」
「オマエの気持ちはわかった」
「うん」
「嬉しい、と、思う」
「うん」
「オレも好きだよ」
さらりと灰谷が言った。
え?
オレは灰谷を見た。
灰谷の顔は珍しく少し赤くなっているように見えた。
「だ~っ、恥ずかしい。言わせるなこんな事」
テレる灰谷を見てオレまで恥ずかしくなって来た。
「おう」
「ただ、オマエの好きと同じかどうかは、ハッキリ言っていま、わかんねえ」
「うん」
「だから、オレがわかるまで、時間が欲しい」
「うん」
「その時は、どういう結果だったとしても、オマエに言うから。きちんと言うから。それまで待ってて欲しい」
「うん」
そう。これが灰谷だった。
いつだってキチンとオレと向き合ってくれる。
「んで、これだけは言っておくけど」
「おお」
「もしオレが、オマエの気持ちを受け入れられないとしても」
「うん」
「オレたちは死ぬまでツレだから。おっさんになってもジジイになっても、それは変わらねえから」
「わかった」
「逆にオマエの気持ちがオレからなくなっても、それだけは変わらねえから」
「そんな事絶対にないけど。わかった」
オレたちは顔を見合わせた。
「なんか恥ずかしいわ」
「オレも」
二人、テレたまましばらく黙っていた。
「灰谷」
オレは灰谷の名を呼ぶ。
「ん?」
「灰谷」
「なんだよ」
灰谷がオレを見つめた。
オレも灰谷を見つめた。
オレを見る優しい顔。
ガキの頃から近くで見てきた男前の顔。
オマエのこの顔、オレ、忘れない。
「目の上になんか付いてるぞ」
「え?どこ」
「取ってやるから目、閉じてみ?」
「うん」
灰谷が素直に目を閉じた。
チュッ。
オレはすばやく唇を奪った。
灰谷が目を見開く。
「オマっ…」
「いただき」
「…それ、反則……」
「オレ、告白したからな。これからは全力で行く。油断すんなよ」
オレは高らかに宣言した。
1
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
【R18】孕まぬΩは皆の玩具【完結】
海林檎
BL
子宮はあるのに卵巣が存在しない。
発情期はあるのに妊娠ができない。
番を作ることさえ叶わない。
そんなΩとして生まれた少年の生活は
荒んだものでした。
親には疎まれ味方なんて居ない。
「子供できないとか発散にはちょうどいいじゃん」
少年達はそう言って玩具にしました。
誰も救えない
誰も救ってくれない
いっそ消えてしまった方が楽だ。
旧校舎の屋上に行った時に出会ったのは
「噂の玩具君だろ?」
陽キャの三年生でした。
叔父を愛している話
神谷 愛
BL
急に両親がいなくなった。ほかに頼れる人もいなかった僕は叔父のもとに引き取られることになった。妻もいないという叔父は優しく僕を受け入れてくれた。一緒に暮らしているうちに自分の中に親愛とはことなる感情が生まれていることを言い出せないまま数年を過ごしていた。
ラガー少年緊縛特訓
龍賀ツルギ
BL
ラグビー部の高校生塚本マモルが監督の今村秀雄にマゾ調教される話。
たまにはサッカー少年ではなく精悍なラグビー少年の調教話を書きたくなりました。
いつも華奢な美少年ばかりを餌食にしておりますので😅
ローズバットNightにもマモルと言う名のラグビー青年が出てきますが関連は有りません。
この作品ではハイソックスをラグビーソックスと表記いたします❗
僕の作品ですのでマモルもラグビーソックスを履いて緊縛調教されます。
短篇で書いていくつもりです😺
目標10000字を超えずにまとめること‼️
SODOM7日間─異世界性奴隷快楽調教─
槇木 五泉(Maki Izumi)
BL
冴えないサラリーマンが、異世界最高の愛玩奴隷として幸せを掴む話。
第11回BL小説大賞51位を頂きました!!
お礼の「番外編」スタートいたしました。今しばらくお付き合いくださいませ。(本編シナリオは完結済みです)
上司に無視され、後輩たちにいじめられながら、毎日終電までのブラック労働に明け暮れる気弱な会社員・真治32歳。とある寒い夜、思い余ってプラットホームから回送電車に飛び込んだ真治は、大昔に人間界から切り離された堕落と退廃の街、ソドムへと転送されてしまう。
魔族が支配し、全ての人間は魔族に管理される奴隷であるというソドムの街で偶然にも真治を拾ったのは、絶世の美貌を持つ淫魔の青年・ザラキアだった。
異世界からの貴重な迷い人(ワンダラー)である真治は、最高位性奴隷調教師のザラキアに淫乱の素質を見出され、ソドム最高の『最高級愛玩奴隷・シンジ』になるため、調教されることになる。
7日間で性感帯の全てを開発され、立派な性奴隷(セクシズ)として生まれ変わることになった冴えないサラリーマンは、果たしてこの退廃した異世界で、最高の地位と愛と幸福を掴めるのか…?
美貌攻め×平凡受け。調教・異種姦・前立腺責め・尿道責め・ドライオーガズム多イキ等で最後は溺愛イチャラブ含むハピエン。(ラストにほんの軽度の流血描写あり。)
【キャラ設定】
●シンジ 165/56/32
人間。お人好しで出世コースから外れ、童顔と気弱な性格から、後輩からも「新人さん」と陰口を叩かれている。押し付けられた仕事を断れないせいで社畜労働に明け暮れ、思い余って回送電車に身を投げたところソドムに異世界転移した。彼女ナシ童貞。
●ザラキア 195/80/外見年齢25才程度
淫魔。褐色肌で、横に突き出た15センチ位の長い耳と、山羊のようゆるくにカーブした象牙色の角を持ち、藍色の眼に藍色の長髪を後ろで一つに縛っている。絶世の美貌の持ち主。ソドムの街で一番の奴隷調教師。飴と鞭を使い分ける、陽気な性格。
いくら仲良しでも適度な距離は必要です。
蒼乃 奏
BL
「俺、考えたんだけど。悠太は俺と付き合ってる事にしよう」
「………え?何言ってんの?」
幼なじみの訳の分からない説得に混乱する俺。
「もう無理だから。選択肢はないから」
何が無理なのか知らないけど、お前と付き合うとか無理なんですけど。
とりあえず、その際どい所を触ってる手を離してもらえませんかね?
幼なじみとの適度な距離って?
甘いBLです。本番は※をつけます。
R18なので苦手な方はスルーしてください。
とろけてなくなる
瀬楽英津子
BL
ヤクザの車を傷を付けた櫻井雅(さくらいみやび)十八歳は、多額の借金を背負わされ、ゲイ風俗で働かされることになってしまった。
連れて行かれたのは教育係の逢坂英二(おうさかえいじ)の自宅マンション。
雅はそこで、逢坂英二(おうさかえいじ)に性技を教わることになるが、逢坂英二(おうさかえいじ)は、ガサツで乱暴な男だった。
無骨なヤクザ×ドライな少年。
歳の差。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる