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第124話 幸せな夢②

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カチン。

ホテルの部屋でシャンパンのグラスを合わせる。

今日はオレと灰谷の記念日だ。
二人で一生一緒にいようと決めて、指輪を交換して、お互いの親に宣言した。
それから……。

「もう一年か。早いな」
「だな」

オレは灰谷の顔を見つめる。
もう何十年も眺め続けてきた大好きな灰谷の顔。

「灰谷」
「ん?なんだチューか?」
「ん」

甘えたオレの声でオレの表情で灰谷はわかってくれる。

オレの頬を優しく撫でる灰谷の手。
オレに向けられる愛しげな眼差し。
そして熱い唇。
口づけを交わす。

「灰谷、好きだ」
「オレもだ真島」

唇を合わせながら息継ぎの合間にオレは言う。

「……好き……好き……」

まるで今まで言えなかった分を取り戻そうとでもするように。
オレを抱きしめる灰谷の腕の力が強くなる。
オレも負けずに力を入れて灰谷にカラダをくっつける。

「真島……真島…」
「灰谷……灰谷……」

オレは灰谷を求める。
早く。早く。
もっともっと。
隙間がなくなるほどもっとピッタリとオマエとくっつきたい。

「オマエ、がっつきすぎ。夜は長い」
「がっつかねえと。夜なんてオレたちならあっという間だろ」

オレの言葉に灰谷が笑う。


広い広いホテルのフカフカのベッドにオレたちはなだれこむ。
笑って、でもキスをくり返しながら互いの服を脱がせ合う。

灰谷がオレを押し倒し、首筋に胸に腹にキスをする。

「灰谷……」

オレは灰谷の首に手を回して顔を引き寄せ、ギュッと抱きしめる。
この重さ。
オレのカラダにかかるこの重さが愛しくてたまらない。

何度抱き合っても心が震える。

そしてキス。
オレの口中を灰谷の舌が動き回る。
オレたちは飽きることなく何度も何度も互いの舌を吸う。

「灰谷……」
「ん……」

灰谷とカラダの上下を入れ替える。見下ろした灰谷の顔は色っぽい。
オレはチュッと口にキスすると胸から下へキスを下ろし、灰谷自身に舌を這わせる。
灰谷のイイところだって知っている。
オレは全体を咥えこんで舌を使って上下に扱く。
優しくオレの髪を撫でる灰谷の手の感触。

「ん……んっ……」

モレ聞こえる灰谷の声がエロい。
口の中で大きく固くなる。
感じてくれてるのが嬉しい。
オレは夢中でしゃぶる。


「真島、もういい……」

灰谷が切羽詰まった声を出す。

押し倒され、足を広げられ、付け根に小さなキスを落とされる。
手で前をしごかれて後ろには灰谷の舌が這う。


「はぁ……や……」

気持ちよさに腰がゆれる。


「ん……灰谷……イッちゃ……から……」

オレの声は甘くかすれる。

舌から開放されるとそこに指が入れられ、出し入れされる。

「あっ…ん……ん……」

腹の裏側を灰谷の指がこする。


「はあぁ……」

オレの前がビクリとはねて、じんわりとあふれだす。

キュウキュウと快感が集まる。

灰谷の口がオレを咥えてスライドさせる。

……気持ち、イイ。

「あッツ……」

耐えきれずにぬるぬるして暖かい灰谷の口の中に出してしまう。


「灰谷……ごめっ……出ちゃった……」

手を伸ばして灰谷を引き寄せれば口元をぬぐう灰谷の顔が男らしくていやらしい。

「真島」

すぐに舌を絡めたキスが来る。


灰谷の首に腕を回してギュっとしがみつく。
灰谷の立ち上がった前がオレの腹にあたる。

「真島……真島……」

耳元でささやかれる低く甘い灰谷の声。

オレは灰谷の頭を抱きしめる。

「灰谷……灰谷……早く……」

熱い灰谷のものが穴にあてがわれた。

期待でオレはぶるりと震える。

灰谷がゆっくりゆっくり入って来る。

「あっ……あっ……んッ……んあッ」

灰谷でオレの中がいっぱいになる。

オレを満たしてくれ。
何も考えられないくらいグチャグチャに溶かしてくれ。

「灰谷……灰谷……」



ハッ……。

もやりとした甘い空気に包まれて、オレは目を覚ました。
すでに日は暮れていて部屋の中は暗かった。


そんな……夢。

妙にリアルな……夢。


はあ~。
オレはため息をついて、熱いカラダを撫でた。



洗面台で履いていたパンツを洗った。

母ちゃんと親父に認められて、オレの部屋で一緒に暮らして。
記念日にホテルでお祝いして。
オレたちは愛し合う。

オレの心の奥深くにしまっていた願望をすべてぶちまけたような最高に幸せな夢だった。


洗ったパンツをベランダに干す。


月が出ていた。
キレイな大きな丸い月が。


灰谷。
灰谷。。
灰谷。。。


オレは心で念じる。


灰谷、見ろ。
空……今すぐ見ろ……。
月、すんげえキレイだ……。
灰谷……月……月……。


小学生の頃みたいに言わねえかな。

『ああ、真島だったのか。なんか誰かが話しかけてんなと思ってさ』って。

灰谷もどこかで見ていたらいいのにと思いながら、オレはしばらく月を眺めていた。
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