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第71話 わからない
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中学生の桜子ちゃんには門限があるって事で、佐藤と中田そして杏子桜子姉妹が先に帰って行った。
「はあ~静かになった。さてと。オレらはどうする?結衣ちゃんはまだ大丈夫?」
「うん」
「灰谷たちは?DVDでも見る?」
「明日美もまだ大丈夫でしょ?」
「うん。灰谷くんも」
「ああ」
「つうかお菓子もいっぱい残ってるけど。アイス食べたくない?オレだけ?」
焼き肉の後ってアイスが食べたくなる。
「あっ。食べた~い」
「あたしも」
「んじゃオレ、コンビニで買ってくるよ」
「あ、いいよ。 明日美、二人で行こ」
「うん」
「ん?なんで?」
「今日は真島くんちにお世話になったんだし。あたしと明日美で行ってくる」
「ちょっと待っててね」
二人はなぜかキャッキャしながら行ってしまった。
女の子同士のなんか…あるんだろうな、きっと。
灰谷と二人、残される。
気まずいんですけど…。
――。
――。
灰谷はソファにドカリと腰を下ろしてテレビをつけた。
気まずいのはあっちも同じか。
「オレ、上からDVD持ってくるわ」
「ああ」
一応灰谷に声をかけて二階に上がり自分の部屋へ。
オレはベッドに腰を下ろす。
はあ~。
灰谷と二人。
いつ以来だ?
ああ、海からの帰り道以来だな。
結衣ちゃんたち早く帰って来ねえかな。
帰ってくるまで上に。
いや、それじゃまるで負けたみてえじゃねえか。
――さっき、灰谷と目が合ったな。
花火もやらないで明日美ちゃんと話してるから、すんごい気になっちゃって、つい。
やっぱ、どこからどう見てもお似合いなんだよな。
改めて確認したりして。
それにしても灰谷と二人。
ん~気まずい。
あ、そうだ。
こういう時は……。
オレはテキトーに何枚かDVDを引っつかんで下に降りた。
「こんなんしかなかったけど」
灰谷の前にポイ。
「ん~」
灰谷はパッケージを手にとった。
オレは冷蔵庫開けてオヤジの缶ビールをプシュー。
ゴクゴク。
あとで買って戻しときゃ大丈夫だろう。
ビールはノドで飲む。
城島さんに教わった。
ウマイ。
プハー。
灰谷と目が合った。
「なんだよ」
「オマエ、ビールとか飲むなよ」
「なんでだよ」
「酒、弱いだろ」
「弱いけど。いいじゃん。オマエも飲めば」
冷蔵庫から一本取り出し灰谷に放る。
受け取った灰谷の顔は眉間にシワが寄っていた。
あらら、不機嫌。
そっちがそうなら……。
「あ、灰谷オマエ知ってる?ビールはノドごし。味わうんじゃなくてさ。ノドん中に流しこむイメージでさ」
ゴクゴク。
オレは喉を鳴らして飲んでみせる。
「プハー。うめえ」
「知らねえよ」
灰谷がビールを投げ返してきた。
「危ねえ」
なんとかキャッチした。
「危ないだろ」
「……」
返事なしかよ。
「固いな~。そんなんじゃ明日美ちゃんに嫌われるぞ」
「……」
灰谷は見てもいないくせに腕組みしてテレビの画面を見つめている。
オレは灰谷の隣りに座り、残っていたビールをぐびぐびと飲み干すと、缶をグシャリと手の中で潰し、テーブルの上に置いた。
「今日だってなんだよ。明日美ちゃん、せっかくエプロンつけてカワイイのにちゃんと見てやれよ。カワイイって言ってやればいいじゃん」
「んなの、人前でしなくてもいいだろ」
「あ~そうか、オマエはムッツリだから影でこっそりがいいんだよな」
「……」
また返事なしな。
オレは灰谷が投げ返したビールの缶を開けた。
プシュッと泡が飛び散って灰谷の腕に少しかかってしまった。
灰谷がオレを睨む。
「だからやめろってビール」
そばに合ったティッシュで泡を拭いながら灰谷が言う。
オレはグビグビと飲んで、プハーッと息を吐く。
「あ~ウマっ。夏のビール最高!」
「……どこでもかしこでも」
「あ?」
「イチャイチャベタベタしやがって。目障りなんだよ」
あら?半ギレ?
「目障りだったら見なきゃいいだろ」
「いやでも目に入ってくんだろうが。わざとらしいんだよ」
「はあ?何が」
「まるで見せつけてるみたいによ」
見せつけてるんだよ。
「何が~?なんでオレが灰谷に見せつけなきゃなんないわけ?自分もアスミルクとよろしくやればいいじゃん」
「アスミルクって言うなや!」
突然声が大きくなった。
「何キレてんの?意味わかんねえ。結衣ちゃん紹介したの灰谷じゃん。オレが結衣ちゃんと仲良くしてなんでお前がキレんだよ」
一瞬、灰谷が黙った。
そしてオレの目を見て言った。
「――オマエ、ホントにあの子のこと好きなの?」
「好きだよ。カワイイじゃん」
「そんな風に見えねえけど」
ああ。やっぱり灰谷にはバレてるんだな。
でもさ。
「人の気持ちなんてそう簡単にわかんねえよ。オレがいつも何考えてるかだって灰谷にはわかんないだろ」
灰谷が視線を外した。
「……最近のオマエはわからない」
「オレもオマエがわかんねえよ」
灰谷が黙りこんだ。
「そうだっけ。余計なことは聞きたくない、だっけ。だったらオマエもオレに余計なこと言うなよ!」
黙るとか。なんでもいいからなんか言えよ。
オレは上を向いてビールを一気に飲み干した。
「プハー。ああうめえ。なんでもいい。誰でもいい。穴があいてりゃ男でも女でもいいよ」
「オマエふざけんなよ!」
突然、灰谷に胸ぐらをつかまれた。
オレたちはそのまま睨み合う。
「はあ~静かになった。さてと。オレらはどうする?結衣ちゃんはまだ大丈夫?」
「うん」
「灰谷たちは?DVDでも見る?」
「明日美もまだ大丈夫でしょ?」
「うん。灰谷くんも」
「ああ」
「つうかお菓子もいっぱい残ってるけど。アイス食べたくない?オレだけ?」
焼き肉の後ってアイスが食べたくなる。
「あっ。食べた~い」
「あたしも」
「んじゃオレ、コンビニで買ってくるよ」
「あ、いいよ。 明日美、二人で行こ」
「うん」
「ん?なんで?」
「今日は真島くんちにお世話になったんだし。あたしと明日美で行ってくる」
「ちょっと待っててね」
二人はなぜかキャッキャしながら行ってしまった。
女の子同士のなんか…あるんだろうな、きっと。
灰谷と二人、残される。
気まずいんですけど…。
――。
――。
灰谷はソファにドカリと腰を下ろしてテレビをつけた。
気まずいのはあっちも同じか。
「オレ、上からDVD持ってくるわ」
「ああ」
一応灰谷に声をかけて二階に上がり自分の部屋へ。
オレはベッドに腰を下ろす。
はあ~。
灰谷と二人。
いつ以来だ?
ああ、海からの帰り道以来だな。
結衣ちゃんたち早く帰って来ねえかな。
帰ってくるまで上に。
いや、それじゃまるで負けたみてえじゃねえか。
――さっき、灰谷と目が合ったな。
花火もやらないで明日美ちゃんと話してるから、すんごい気になっちゃって、つい。
やっぱ、どこからどう見てもお似合いなんだよな。
改めて確認したりして。
それにしても灰谷と二人。
ん~気まずい。
あ、そうだ。
こういう時は……。
オレはテキトーに何枚かDVDを引っつかんで下に降りた。
「こんなんしかなかったけど」
灰谷の前にポイ。
「ん~」
灰谷はパッケージを手にとった。
オレは冷蔵庫開けてオヤジの缶ビールをプシュー。
ゴクゴク。
あとで買って戻しときゃ大丈夫だろう。
ビールはノドで飲む。
城島さんに教わった。
ウマイ。
プハー。
灰谷と目が合った。
「なんだよ」
「オマエ、ビールとか飲むなよ」
「なんでだよ」
「酒、弱いだろ」
「弱いけど。いいじゃん。オマエも飲めば」
冷蔵庫から一本取り出し灰谷に放る。
受け取った灰谷の顔は眉間にシワが寄っていた。
あらら、不機嫌。
そっちがそうなら……。
「あ、灰谷オマエ知ってる?ビールはノドごし。味わうんじゃなくてさ。ノドん中に流しこむイメージでさ」
ゴクゴク。
オレは喉を鳴らして飲んでみせる。
「プハー。うめえ」
「知らねえよ」
灰谷がビールを投げ返してきた。
「危ねえ」
なんとかキャッチした。
「危ないだろ」
「……」
返事なしかよ。
「固いな~。そんなんじゃ明日美ちゃんに嫌われるぞ」
「……」
灰谷は見てもいないくせに腕組みしてテレビの画面を見つめている。
オレは灰谷の隣りに座り、残っていたビールをぐびぐびと飲み干すと、缶をグシャリと手の中で潰し、テーブルの上に置いた。
「今日だってなんだよ。明日美ちゃん、せっかくエプロンつけてカワイイのにちゃんと見てやれよ。カワイイって言ってやればいいじゃん」
「んなの、人前でしなくてもいいだろ」
「あ~そうか、オマエはムッツリだから影でこっそりがいいんだよな」
「……」
また返事なしな。
オレは灰谷が投げ返したビールの缶を開けた。
プシュッと泡が飛び散って灰谷の腕に少しかかってしまった。
灰谷がオレを睨む。
「だからやめろってビール」
そばに合ったティッシュで泡を拭いながら灰谷が言う。
オレはグビグビと飲んで、プハーッと息を吐く。
「あ~ウマっ。夏のビール最高!」
「……どこでもかしこでも」
「あ?」
「イチャイチャベタベタしやがって。目障りなんだよ」
あら?半ギレ?
「目障りだったら見なきゃいいだろ」
「いやでも目に入ってくんだろうが。わざとらしいんだよ」
「はあ?何が」
「まるで見せつけてるみたいによ」
見せつけてるんだよ。
「何が~?なんでオレが灰谷に見せつけなきゃなんないわけ?自分もアスミルクとよろしくやればいいじゃん」
「アスミルクって言うなや!」
突然声が大きくなった。
「何キレてんの?意味わかんねえ。結衣ちゃん紹介したの灰谷じゃん。オレが結衣ちゃんと仲良くしてなんでお前がキレんだよ」
一瞬、灰谷が黙った。
そしてオレの目を見て言った。
「――オマエ、ホントにあの子のこと好きなの?」
「好きだよ。カワイイじゃん」
「そんな風に見えねえけど」
ああ。やっぱり灰谷にはバレてるんだな。
でもさ。
「人の気持ちなんてそう簡単にわかんねえよ。オレがいつも何考えてるかだって灰谷にはわかんないだろ」
灰谷が視線を外した。
「……最近のオマエはわからない」
「オレもオマエがわかんねえよ」
灰谷が黙りこんだ。
「そうだっけ。余計なことは聞きたくない、だっけ。だったらオマエもオレに余計なこと言うなよ!」
黙るとか。なんでもいいからなんか言えよ。
オレは上を向いてビールを一気に飲み干した。
「プハー。ああうめえ。なんでもいい。誰でもいい。穴があいてりゃ男でも女でもいいよ」
「オマエふざけんなよ!」
突然、灰谷に胸ぐらをつかまれた。
オレたちはそのまま睨み合う。
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