53 / 154
第53話 海①
しおりを挟む
数日後、結局断りきれずに海に行くことになってしまった。
駅で待ち合わせて電車に乗って海まで。
男4女4のカップリング。
その朝も灰谷はいつも通り、なんでもない顔をしてチャリでオレを家まで迎えに来た。
オレもなんてことない顔をして後ろにまたがる。
これも幼なじみのなせるワザってやつなのだろうか。
あれから灰谷とは話をしていない。
今日だってほとんど顔を見ずに「ウイッス」ぐらいのもん。
つうか、律儀すぎて涙が出るよ、与えられた役割はこなしますA型男灰谷。
外は暑い。
ギラギラ太陽。
こりゃ海、暑いぞ……。
自転車を漕ぐ灰谷の背中。
Tシャツにはもう汗が滲んでいる。
灰谷……あくまでもいつも通りってわけか。
いつも通りなわけない。
あれから色々考えてみたけど……。
結局オレ、どうしたかったんだろう。
どうして欲しかったんだろう。
受け入れて欲しかったのかな。
男と寝るオレも。
そして……オマエのことを好きでいるオレも。
丸ごと全部。
望みすぎなんだきっと。
望みすぎて、壊した。
いや、まだ壊れてはいないか。
ヒビが入った。
それはまだ小さな亀裂で。
どうにかなるかもしれない。
どちらにせよ灰谷は悪くない。
悪くない。
わかっちゃいるけど……。
「ふう~」
深いため息が出た。
*
真島のため息を背中で聞きながら、灰谷は思う。
迎えに行った方がいいのか行かない方がいいのか、今まで通りに接していいのか悪いのか、これでも逡巡した。
口から出てしまった言葉は取り消せない。
真島がオレの言葉をどう受け止めたにせよ。
オレの嫉妬心。
情けないオレの嫉妬心。
それをオレは真島にだけは知られたくない。
そんなやつだったのかと思われたくない。
「はあ~」
もう~。
暑い~。
なんも考えらんねえ。
なんも考えたくねえ~。
海。海か。
海でちょっとは気分が変わればいい。
真島もオレも……。
駅で待ち合わせて電車に乗って海まで。
男4女4のカップリング。
その朝も灰谷はいつも通り、なんでもない顔をしてチャリでオレを家まで迎えに来た。
オレもなんてことない顔をして後ろにまたがる。
これも幼なじみのなせるワザってやつなのだろうか。
あれから灰谷とは話をしていない。
今日だってほとんど顔を見ずに「ウイッス」ぐらいのもん。
つうか、律儀すぎて涙が出るよ、与えられた役割はこなしますA型男灰谷。
外は暑い。
ギラギラ太陽。
こりゃ海、暑いぞ……。
自転車を漕ぐ灰谷の背中。
Tシャツにはもう汗が滲んでいる。
灰谷……あくまでもいつも通りってわけか。
いつも通りなわけない。
あれから色々考えてみたけど……。
結局オレ、どうしたかったんだろう。
どうして欲しかったんだろう。
受け入れて欲しかったのかな。
男と寝るオレも。
そして……オマエのことを好きでいるオレも。
丸ごと全部。
望みすぎなんだきっと。
望みすぎて、壊した。
いや、まだ壊れてはいないか。
ヒビが入った。
それはまだ小さな亀裂で。
どうにかなるかもしれない。
どちらにせよ灰谷は悪くない。
悪くない。
わかっちゃいるけど……。
「ふう~」
深いため息が出た。
*
真島のため息を背中で聞きながら、灰谷は思う。
迎えに行った方がいいのか行かない方がいいのか、今まで通りに接していいのか悪いのか、これでも逡巡した。
口から出てしまった言葉は取り消せない。
真島がオレの言葉をどう受け止めたにせよ。
オレの嫉妬心。
情けないオレの嫉妬心。
それをオレは真島にだけは知られたくない。
そんなやつだったのかと思われたくない。
「はあ~」
もう~。
暑い~。
なんも考えらんねえ。
なんも考えたくねえ~。
海。海か。
海でちょっとは気分が変わればいい。
真島もオレも……。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
つまりは相思相愛
nano ひにゃ
BL
ご主人様にイかないように命令された僕はおもちゃの刺激にただ耐えるばかり。
限界まで耐えさせられた後、抱かれるのだが、それもまたしつこく、僕はもう僕でいられない。
とことん甘やかしたいご主人様は目的達成のために僕を追い詰めるだけの短い話です。
最初からR表現です、ご注意ください。
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる