50 / 154
第50話 夏を楽しむ②
しおりを挟む
灰谷はオレの言葉を無視して、電話をかけはじめた。
「あ、明日美?オレ。みんなで海行かないかって言ってんだけど……うん。
で、結衣ちゃんもいっしょにどうかな。真島も来るし……行ける?」
つうか行くって言ってねえぞオレ。
「うん……うん……わかった。じゃ、あとで。はい。大丈夫だって海。結衣ちゃんも」
「うお~じゃ、みんなで行こうぜ。海海」
佐藤が盛り上がる。
「つうか何勝手に決めてんだよオレ行かねえって」
「それより真島、セフレって」
「言わねえ」
「秘密主義~」
「オマエがあけっぴろげすぎんの」
あ~なんだ灰谷のやつ、マジむかつく!
「つうかなんだよ。オレだけノケモノかよ。どうせオレはラスト童貞だ!!」
「ってオマエ、ラストサムライみたいに」
「おっ、中田のツッコミめずらしい」
言うだけ言うとすました顔で灰谷はマンガを読み始めた。
なんなんだろう。いつもならこんなこと言うやつじゃないんだけどな。
こいつ何を考えてるんだ。
突然オレに女紹介するとか。
自分がうまくいってるから、オレにもあてがおうってわけか?
チクショー。
「海海~。夏を楽しまなきゃだぜ、真島!」
佐藤に肩を叩かれた。
夏を楽しむ……か。
城島さんも同じこと言ってたな。なんであんなこと言ったんだろ。
城島さんが夏を楽しむ――。
あの人はそもそも人生を楽しもうって感じがない人だ。
一人で抱えて、自分に厳しくて。
そして……オレに甘い。
甘くて甘くて溺れてしまいそうになる。
離れられなくさせる。
でも……それもリセットしたいのかもしれない。
オレとのことを再設定しなおしたいのかもしれない。
その為に時間が必要なのかも。
そんな気がする……。
城島さん。
眠れる森の美女のように。
何もかも捨てて、空っぽの部屋で目を閉じて夢を見ている。
その夢はものスゴイ悪夢だけれど。
いつか王子が現れてそのキスで目覚めることはできるのだろうか。
その可能性は多分、極めて低い。
でも信じてるんだ、きっと。
0.00001%の確率でもゼロじゃないから。
そういう奇跡みたいな瞬間を探してる人なんじゃないかって気がする。
究極のロマンティストなのか。狂ったMなのか。
しばらく、城島さんがいない。
夏休みはまだ終わらない。
それにしても灰谷のやつ……。
「あ、明日美?オレ。みんなで海行かないかって言ってんだけど……うん。
で、結衣ちゃんもいっしょにどうかな。真島も来るし……行ける?」
つうか行くって言ってねえぞオレ。
「うん……うん……わかった。じゃ、あとで。はい。大丈夫だって海。結衣ちゃんも」
「うお~じゃ、みんなで行こうぜ。海海」
佐藤が盛り上がる。
「つうか何勝手に決めてんだよオレ行かねえって」
「それより真島、セフレって」
「言わねえ」
「秘密主義~」
「オマエがあけっぴろげすぎんの」
あ~なんだ灰谷のやつ、マジむかつく!
「つうかなんだよ。オレだけノケモノかよ。どうせオレはラスト童貞だ!!」
「ってオマエ、ラストサムライみたいに」
「おっ、中田のツッコミめずらしい」
言うだけ言うとすました顔で灰谷はマンガを読み始めた。
なんなんだろう。いつもならこんなこと言うやつじゃないんだけどな。
こいつ何を考えてるんだ。
突然オレに女紹介するとか。
自分がうまくいってるから、オレにもあてがおうってわけか?
チクショー。
「海海~。夏を楽しまなきゃだぜ、真島!」
佐藤に肩を叩かれた。
夏を楽しむ……か。
城島さんも同じこと言ってたな。なんであんなこと言ったんだろ。
城島さんが夏を楽しむ――。
あの人はそもそも人生を楽しもうって感じがない人だ。
一人で抱えて、自分に厳しくて。
そして……オレに甘い。
甘くて甘くて溺れてしまいそうになる。
離れられなくさせる。
でも……それもリセットしたいのかもしれない。
オレとのことを再設定しなおしたいのかもしれない。
その為に時間が必要なのかも。
そんな気がする……。
城島さん。
眠れる森の美女のように。
何もかも捨てて、空っぽの部屋で目を閉じて夢を見ている。
その夢はものスゴイ悪夢だけれど。
いつか王子が現れてそのキスで目覚めることはできるのだろうか。
その可能性は多分、極めて低い。
でも信じてるんだ、きっと。
0.00001%の確率でもゼロじゃないから。
そういう奇跡みたいな瞬間を探してる人なんじゃないかって気がする。
究極のロマンティストなのか。狂ったMなのか。
しばらく、城島さんがいない。
夏休みはまだ終わらない。
それにしても灰谷のやつ……。
0
★『アキノワルツ ~親友へ決死の告白をした高校生男子・真島くんのその後~
『ナツノヒカリ』続編です。
★〈はじめて〉の話。~片思いしていた同級生が深夜に訪ねてきた、からはじまる初体験の話~
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
頭良すぎてバカになる
さとう たなか
BL
田舎の高校1年生、後呂美空(うしろ みう)は小学校からの幼馴染(男)にファーストキスを奪れた。
そのせいで男子との距離感がわからなくなり同じクラスの友人、仲村風馬(なかむら かずま)以外とは上手く接する事が出来なくなってしまった。そんな中、美空は顔は良いが間抜けな先輩、前川睦(まえかわ むつ)に出会う。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
幼馴染みとアオハル恋事情
有村千代
BL
日比谷千佳、十七歳――高校二年生にして初めて迎えた春は、あっけなく終わりを告げるのだった…。
「他に気になる人ができたから」と、せっかくできた彼女に一週間でフられてしまった千佳。その恋敵が幼馴染み・瀬川明だと聞き、千佳は告白現場を目撃することに。
明はあっさりと告白を断るも、どうやら想い人がいるらしい。相手が誰なのか無性に気になって詰め寄れば、「お前が好きだって言ったらどうする?」と返されて!?
思わずどぎまぎする千佳だったが、冗談だと明かされた途端にショックを受けてしまう。しかし気づいてしまった――明のことが好きなのだと。そして、すでに失恋しているのだと…。
アオハル、そして「性」春!? 両片思いの幼馴染みが織りなす、じれじれ甘々王道ラブ!
【一途なクールモテ男×天真爛漫な平凡男子(幼馴染み/高校生)】
※『★』マークがついている章は性的な描写が含まれています
※全70回程度(本編9話+番外編2話)、毎日更新予定
※作者Twitter【https://twitter.com/tiyo_arimura_】
※マシュマロ【https://bit.ly/3QSv9o7】
※掲載箇所【エブリスタ/アルファポリス/ムーンライトノベルズ/BLove/fujossy/pixiv/pictBLand】
□ショートストーリー
https://privatter.net/p/9716586
□イラスト&漫画
https://poipiku.com/401008/">https://poipiku.com/401008/
⇒いずれも不定期に更新していきます
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
必然ラヴァーズ
須藤慎弥
BL
ダンスアイドルグループ「CROWN」のリーダー・セナから熱烈求愛され、付き合う事になった卑屈ネガティブ男子高校生・葉璃(ハル)。
トップアイドルと新人アイドルの恋は前途多難…!?
※♡=葉璃目線 ❥=聖南目線 ★=恭也目線
※いやんなシーンにはタイトルに「※」
※表紙について。前半は町田様より頂きましたファンアート、後半より眠様(@nemu_chan1110)作のものに変更予定です♡ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる