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第49話 夏を楽しむ①
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「みんなで海行かねえ?」
サトナカマジハイで佐藤んちに集まってダラダラしてたら佐藤が言う。
「オレらと女の子たちみんなで」
「海やだよ」
「なんでだよ真島。夏だよ、海だよ、水着だよ」
「オマエ、彼女と順調なのな?」
「へへへへ」
佐藤は嬉しそうに微笑んだ。
「だからさ、桜子ちゃんみんなに紹介がてら、ね?」
「海いいな」
「だろ中田。だから中田と杏子ちゃんだろ。灰谷はアスミルク連れてきなよ」
「え~ああ、聞いてみるわ。つうかアスミルクやめろ」
「爆乳。くくく」
「オマエそれ目的だろ」
「ちがうって。なんかさ、うれし~んだよ。オマエらに彼女紹介できるのとかさ。ホントにいい子だから。オレ、好きなんだよね桜子ちゃんのこと」
佐藤は本当に嬉しそうだった。
好きな人を好きだと言える喜びに満ちあふれていた。
「んでも、真島があぶれちゃうな」
「だから、オレ行かねえって」
「なんだよ。付き合い悪いな。行こうぜ~真島~」
「海なんて暑いし、焼けるし、人多いし。なんの……」
♪~♪~
電話の着信音。
オレのだ。
スマホに飛びつく。
画面に『城島』の文字。
城島さん!
城島さんから電話かかってくるの初めてだ。
オレは立ち上がる。
「なんだよ真島、電話出ねえの?」
「んあ?ちょと……」
オレは廊下に出る。
佐藤が部屋のドアから顔を出す。
「おっ、なんだなんだ女からか?」
「ちがうよバカサト」
佐藤の顔をドアの向こうに押しこんで閉める。
呼吸を整えて電話に出る。
「もしもし?」
『真島くん、いま話しても大丈夫?』
「大丈夫です。どうぞ」
『あのね、急なんだけど、出張に行くことになったんだ』
「はい」
『一週間ぐらいかな。だからその間ちょっと会えなくなるし、連絡もつきにくいかもしれない』
そんなに?もしかして……。
声をひそめて聞く。
「このままフェードアウトとか?」
『ちがう。だったら連絡せずに消えるよ。そうだろ』
「そうですね」
『心配するといけないから電話した。帰ったらまた連絡するよ』
「うん」
『じゃ、夏を楽しんでね真島くん』
「はい。電話ありがとうございました」
『うん』
城島さんの声はいつもと同じあったかくて優しいトーンだった。
ウソはないように思った。
それにしても一週間か……。
長いな。
全然会えてないのにな。
って……そういう仲じゃないけどさ。
ドアを開けると佐藤が倒れこんできた。
「盗み聞きやめろ」
「何何?女女?」
「誰でもいいだろ」
「オレらに聞かせられない話って誰よ」
「親戚だよ」
「親戚~?あっ、この間のホテルの人?」
「ホテルの人じゃねえし。いいだろ別に。それよりオレ、行かねえからな海とか」
「なんでだよ~。桜子ちゃんに会いたくねえのかよ~」
ん?視線を感じる。
見れば灰谷。
あれ?やっぱこの間、中田が言ったみたいにオレって灰谷に見られてるの?
「なんだよ」
「なんでもねえよ」
怒ったような灰谷の顔。
「つうかなんだよ」
「なんにも言ってねえじゃん」
「ヘンなやつ。顔になんかついてっか?」
「なんもついてねえよ。自意識過剰」
「はあ~?」
「ジャレるなマジハイ」
中田が言う。
「ジャレてねえよ」
「そうだ。真島にイイ子いるわ。明日美の親友で結衣ちゃんって言うんだけど」
今なんでそんな話?
つうか、明日美って下の名前で呼び捨てにすんの初めて聞いた。
高梨さんって呼んでたのに。
あ、そのあとすぐに明日美ちゃんになったか。
で、今度は明日美か。
距離が縮まった感ハンパねえな。
胸がチクッとする。
「何それ。そんな子いんの。いいじゃん真島。一緒に行こうよ。明日美ちゃんも友達いたほうがいいだろうし。杏子ちゃんと桜子ちゃん姉妹だしね。女ってイロイロあんでしょ。女同士のやつが。それに真島、オマエにも出会いが必要だって」
「だから行かねえって。女めんどくせえし」
「真島~そこがいいんじゃないの。何考えてるかわかんなくて。もうカ~ワイイ。キュンキュンするわ」
「わかんねえ~」
「真島にはわかんねえだろうな」
灰谷が口をはさむ。
「は?」
なんだ?何絡んでんの?
「灰谷く~ん。童貞いじめないでよ~」
「童貞はオマエだろ佐藤」
「あら、灰谷くんたら、今日はキツイ。ご機嫌斜め?オレたちチェリーボーイズにひどいぞ」
「チェリーはオマエだけみたいだけどな佐藤」
またしても灰谷が口を挟む。
「え?真島、オマエまさか」
「誰かさんは、ズビズバハメまくって、首の後ろにキスマークつけてたなんて言わねえし」
「言ってんじゃねえか」
さっきからホントなんなの灰谷のやつ。
「真島~マジか。いつ?誰?」
佐藤のテンションが上がる。
「言わねえ」
「言えよ~」
「それより灰谷オマエな~」
「あれ?セフレの話ってしちゃダメだったっけ」
シラッとした顔で灰谷は言う。
「セフレ!!」
「うるせえぞ佐藤。興奮しすぎ」
中田が佐藤をたしなめる。
「つうかなんなの灰谷オマエ」
「別にいいじゃん。なんかやましいことでもあんのか?」
「ねえよ!」
「うお~セフレか~。うらやましい~」
つうか灰谷こいつなんなの。
なんかオレのこと煽ってねえ?
「灰谷、オマエさ……」
サトナカマジハイで佐藤んちに集まってダラダラしてたら佐藤が言う。
「オレらと女の子たちみんなで」
「海やだよ」
「なんでだよ真島。夏だよ、海だよ、水着だよ」
「オマエ、彼女と順調なのな?」
「へへへへ」
佐藤は嬉しそうに微笑んだ。
「だからさ、桜子ちゃんみんなに紹介がてら、ね?」
「海いいな」
「だろ中田。だから中田と杏子ちゃんだろ。灰谷はアスミルク連れてきなよ」
「え~ああ、聞いてみるわ。つうかアスミルクやめろ」
「爆乳。くくく」
「オマエそれ目的だろ」
「ちがうって。なんかさ、うれし~んだよ。オマエらに彼女紹介できるのとかさ。ホントにいい子だから。オレ、好きなんだよね桜子ちゃんのこと」
佐藤は本当に嬉しそうだった。
好きな人を好きだと言える喜びに満ちあふれていた。
「んでも、真島があぶれちゃうな」
「だから、オレ行かねえって」
「なんだよ。付き合い悪いな。行こうぜ~真島~」
「海なんて暑いし、焼けるし、人多いし。なんの……」
♪~♪~
電話の着信音。
オレのだ。
スマホに飛びつく。
画面に『城島』の文字。
城島さん!
城島さんから電話かかってくるの初めてだ。
オレは立ち上がる。
「なんだよ真島、電話出ねえの?」
「んあ?ちょと……」
オレは廊下に出る。
佐藤が部屋のドアから顔を出す。
「おっ、なんだなんだ女からか?」
「ちがうよバカサト」
佐藤の顔をドアの向こうに押しこんで閉める。
呼吸を整えて電話に出る。
「もしもし?」
『真島くん、いま話しても大丈夫?』
「大丈夫です。どうぞ」
『あのね、急なんだけど、出張に行くことになったんだ』
「はい」
『一週間ぐらいかな。だからその間ちょっと会えなくなるし、連絡もつきにくいかもしれない』
そんなに?もしかして……。
声をひそめて聞く。
「このままフェードアウトとか?」
『ちがう。だったら連絡せずに消えるよ。そうだろ』
「そうですね」
『心配するといけないから電話した。帰ったらまた連絡するよ』
「うん」
『じゃ、夏を楽しんでね真島くん』
「はい。電話ありがとうございました」
『うん』
城島さんの声はいつもと同じあったかくて優しいトーンだった。
ウソはないように思った。
それにしても一週間か……。
長いな。
全然会えてないのにな。
って……そういう仲じゃないけどさ。
ドアを開けると佐藤が倒れこんできた。
「盗み聞きやめろ」
「何何?女女?」
「誰でもいいだろ」
「オレらに聞かせられない話って誰よ」
「親戚だよ」
「親戚~?あっ、この間のホテルの人?」
「ホテルの人じゃねえし。いいだろ別に。それよりオレ、行かねえからな海とか」
「なんでだよ~。桜子ちゃんに会いたくねえのかよ~」
ん?視線を感じる。
見れば灰谷。
あれ?やっぱこの間、中田が言ったみたいにオレって灰谷に見られてるの?
「なんだよ」
「なんでもねえよ」
怒ったような灰谷の顔。
「つうかなんだよ」
「なんにも言ってねえじゃん」
「ヘンなやつ。顔になんかついてっか?」
「なんもついてねえよ。自意識過剰」
「はあ~?」
「ジャレるなマジハイ」
中田が言う。
「ジャレてねえよ」
「そうだ。真島にイイ子いるわ。明日美の親友で結衣ちゃんって言うんだけど」
今なんでそんな話?
つうか、明日美って下の名前で呼び捨てにすんの初めて聞いた。
高梨さんって呼んでたのに。
あ、そのあとすぐに明日美ちゃんになったか。
で、今度は明日美か。
距離が縮まった感ハンパねえな。
胸がチクッとする。
「何それ。そんな子いんの。いいじゃん真島。一緒に行こうよ。明日美ちゃんも友達いたほうがいいだろうし。杏子ちゃんと桜子ちゃん姉妹だしね。女ってイロイロあんでしょ。女同士のやつが。それに真島、オマエにも出会いが必要だって」
「だから行かねえって。女めんどくせえし」
「真島~そこがいいんじゃないの。何考えてるかわかんなくて。もうカ~ワイイ。キュンキュンするわ」
「わかんねえ~」
「真島にはわかんねえだろうな」
灰谷が口をはさむ。
「は?」
なんだ?何絡んでんの?
「灰谷く~ん。童貞いじめないでよ~」
「童貞はオマエだろ佐藤」
「あら、灰谷くんたら、今日はキツイ。ご機嫌斜め?オレたちチェリーボーイズにひどいぞ」
「チェリーはオマエだけみたいだけどな佐藤」
またしても灰谷が口を挟む。
「え?真島、オマエまさか」
「誰かさんは、ズビズバハメまくって、首の後ろにキスマークつけてたなんて言わねえし」
「言ってんじゃねえか」
さっきからホントなんなの灰谷のやつ。
「真島~マジか。いつ?誰?」
佐藤のテンションが上がる。
「言わねえ」
「言えよ~」
「それより灰谷オマエな~」
「あれ?セフレの話ってしちゃダメだったっけ」
シラッとした顔で灰谷は言う。
「セフレ!!」
「うるせえぞ佐藤。興奮しすぎ」
中田が佐藤をたしなめる。
「つうかなんなの灰谷オマエ」
「別にいいじゃん。なんかやましいことでもあんのか?」
「ねえよ!」
「うお~セフレか~。うらやましい~」
つうか灰谷こいつなんなの。
なんかオレのこと煽ってねえ?
「灰谷、オマエさ……」
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