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第47話 モヤモヤの濃度
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「灰谷く~ん」
灰谷が声のする方を振り返れば真島の母、節子だった。
パート帰りだろうスーパーのビニール袋をいくつも手に提げている。
「節子」
「灰谷く~ん。あら?もしかして彼女?」
節子は興味津々といった感じで明日美を見つめた。
「ああ。うん。明日美ちゃん。明日美ちゃん、こっちは真島のお母さん。節子」
「はじめまして。高梨明日美です」
「あらあ、カワイイ~。あの子なんにも言わないから~。最近灰谷くんあんまり来ないわねって言っても、知らねえしか言わないし。だからだったのね。夏休みだっていうのにバイトしてるか寝てるか。それでたまにフラッと夜に灰谷くんちに遊びに行っちゃうでしょ。迷惑じゃない?」
夜フラッとオレんちに来る?そんな事一度も……。
「そういえば佐藤くんも中田くんもこの間、来たきりね。さびしいから、もっとみんなで遊びに来てね」
「あ、うん。はい」
「ええと、明日美さんもよかったらいっしょにどうぞ」
「ありがとうございます」
「じゃあデートの邪魔しちゃ悪いからあたし行くわね」
話すだけ話すと節子はセカセカと離れていく。
「灰谷くん、あれ」
節子がビニール袋を一つ落としていた。
灰谷は拾って追いかける。
「節子、これ落としてる」
「あらやだ。ありがとう灰谷くん。ちょっと、カワイイ子じゃない」
「え?ええまあ」
「美男美女でお似合いねえ~。嫉妬しちゃうわ」
そうだ節子に聞いてみればいいと灰谷は思った。
「いま、親戚のお兄さんが遊びに来てるんすよね?」
「え?誰?」
「なんか転勤になるから家探してるとか」
「?ヒロちゃんの事かな。転勤の話があったけど地元離れたくないからっ断ったってあの子に話したんだけど。あの子が言ってた?ヒロちゃんの転勤が決まったって?」
「ヒロちゃんって人かどうかはわからないけど……」
「何勘違いしてるのかしら。人の話聞いてないわねあの子」
話が噛み合わなかった。
「あ、灰谷くん、彼女待たせちゃダメよ」
節子は明日美に向かって笑顔で手を振った。
「じゃあね。また遊びに来てね。節子待ってるから」
「はい」
「明るくてカワイイお母さんだね」
気がつけば明日美がそばに立っていた。
「うん」
「真島くんにそっくり。お母さん似なんだね」
「そうだね」
「でも灰谷くん、なんで真島くんのお母さんを節子って呼ぶの?」
「ああ、喜ぶから。呼び捨てってなんか嬉しいらしい。特別な感じがして」
「ふうん。いいなあ呼び捨て」
「え?」
「いいな」
明日美が灰谷を甘えたように見つめた。
「う~んと、明日美ちゃんもその方がいい?」
「うん」
「わかった」
「で?」
「ん?」
「呼んで?」
「明日美?」
「はい。嬉しい」
「……行こっか」
「うん」
明日美と腕を組んで歩きながらも灰谷は頭の一方で考え続けていた。
あの城島って男は親戚ではない。
夜フラッとオレのうちに遊びに来たことなんて夏休みに入って一度もない。
セフレ=城島。
そんな公式がポンッと灰谷の頭の中に浮かんだ。
じゃなきゃなんでオレにわざわざウソつく必要がある?
やっぱりウソか。
いや、オレがつかせたのか。
どこまでが……。
あいつってやっぱ……。
灰谷のモヤモヤがカタチをかえて濃度を増した。
灰谷が声のする方を振り返れば真島の母、節子だった。
パート帰りだろうスーパーのビニール袋をいくつも手に提げている。
「節子」
「灰谷く~ん。あら?もしかして彼女?」
節子は興味津々といった感じで明日美を見つめた。
「ああ。うん。明日美ちゃん。明日美ちゃん、こっちは真島のお母さん。節子」
「はじめまして。高梨明日美です」
「あらあ、カワイイ~。あの子なんにも言わないから~。最近灰谷くんあんまり来ないわねって言っても、知らねえしか言わないし。だからだったのね。夏休みだっていうのにバイトしてるか寝てるか。それでたまにフラッと夜に灰谷くんちに遊びに行っちゃうでしょ。迷惑じゃない?」
夜フラッとオレんちに来る?そんな事一度も……。
「そういえば佐藤くんも中田くんもこの間、来たきりね。さびしいから、もっとみんなで遊びに来てね」
「あ、うん。はい」
「ええと、明日美さんもよかったらいっしょにどうぞ」
「ありがとうございます」
「じゃあデートの邪魔しちゃ悪いからあたし行くわね」
話すだけ話すと節子はセカセカと離れていく。
「灰谷くん、あれ」
節子がビニール袋を一つ落としていた。
灰谷は拾って追いかける。
「節子、これ落としてる」
「あらやだ。ありがとう灰谷くん。ちょっと、カワイイ子じゃない」
「え?ええまあ」
「美男美女でお似合いねえ~。嫉妬しちゃうわ」
そうだ節子に聞いてみればいいと灰谷は思った。
「いま、親戚のお兄さんが遊びに来てるんすよね?」
「え?誰?」
「なんか転勤になるから家探してるとか」
「?ヒロちゃんの事かな。転勤の話があったけど地元離れたくないからっ断ったってあの子に話したんだけど。あの子が言ってた?ヒロちゃんの転勤が決まったって?」
「ヒロちゃんって人かどうかはわからないけど……」
「何勘違いしてるのかしら。人の話聞いてないわねあの子」
話が噛み合わなかった。
「あ、灰谷くん、彼女待たせちゃダメよ」
節子は明日美に向かって笑顔で手を振った。
「じゃあね。また遊びに来てね。節子待ってるから」
「はい」
「明るくてカワイイお母さんだね」
気がつけば明日美がそばに立っていた。
「うん」
「真島くんにそっくり。お母さん似なんだね」
「そうだね」
「でも灰谷くん、なんで真島くんのお母さんを節子って呼ぶの?」
「ああ、喜ぶから。呼び捨てってなんか嬉しいらしい。特別な感じがして」
「ふうん。いいなあ呼び捨て」
「え?」
「いいな」
明日美が灰谷を甘えたように見つめた。
「う~んと、明日美ちゃんもその方がいい?」
「うん」
「わかった」
「で?」
「ん?」
「呼んで?」
「明日美?」
「はい。嬉しい」
「……行こっか」
「うん」
明日美と腕を組んで歩きながらも灰谷は頭の一方で考え続けていた。
あの城島って男は親戚ではない。
夜フラッとオレのうちに遊びに来たことなんて夏休みに入って一度もない。
セフレ=城島。
そんな公式がポンッと灰谷の頭の中に浮かんだ。
じゃなきゃなんでオレにわざわざウソつく必要がある?
やっぱりウソか。
いや、オレがつかせたのか。
どこまでが……。
あいつってやっぱ……。
灰谷のモヤモヤがカタチをかえて濃度を増した。
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