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第38話 雨のコンビニ④
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「灰谷先輩、楽しんでますかねえ」
黙っているのにもさすがに飽きたのか脚をブラブラさせながら友樹がいう。
昨夜灰谷から電話があった。
「ワリぃ、明日迎えに行けなくなった。徒歩で行ってくれ」
「なん?どした」
「バイトも休みもらったから」
何事?と聞いてみれば少年サッカーをやっていた頃の友達に試合に誘われたのだという。
中学の時、足にケガをしてやめてから、ボールを蹴っている姿を見たことは一度もない。
見たかったなオレも。
灰谷がピッチを走り回る姿はホントにカッコ良かったから。
まあでもな、クラブメンバーと親しげな様子を見てるのはちょっとヤケたけどな。
ああいう戦友みたいな絆って幼なじみとかとは別物じゃん。
「どうだろうな。この天気じゃな。朝から行くつってたからもう終わってんじゃねえか」
「マコせんぱ~い。灰谷先輩いなくてさびしいでしょ?」
からかうような友樹の声。
「あのなあ~」と、見れば友樹の顔がすぐそばにあった。
キスまで三秒の距離。
オレの目をのぞきこんで人懐っこい顔でニコニコ笑っている。
あまりの近さにオレは首を後ろに引き、「んなわけあるか。友樹、顔近い」と額をちょんと人差し指で突いた。
友樹はそのまま動かず、なおも目尻を下げて面白そうな顔で見つめてくる。
目をそらしたら負けだと思うからそのまま持ちこたえてると見つめ合うカタチになってしまった。
ああ…友樹の瞳にオレが映ってる…。
「マコ先輩って、キレイな顔してますよね」
少しかすれた声で友樹がささやく。
は?キレイ?
「お肌もツルツルだし」
ああ。肌ね。何もしてないけど…って。
!!!
思わずビクリとカラダが反応してしまう。
友樹が手を伸ばし、オレの左頬をさわさわと撫でる。
その手は可愛らしい顔には似合わず大きく、そしてすらりと指が長い。
「メイク映えしそう」
?メイク?
そう言う友樹の方こそお肌ツルツルでキレイな整った顔してるんだけど。
オレみたいな奥二重じゃねえし、目なんかも大きくてパッチリ、キュートなネコみたい……ってなんなのこの不自然な距離感。
いたたまれねえんだけど……。
よし!
オレは頬を撫でていた友樹の手首をグッとつかみ、「友樹、キスすんぞ」って真面目な顔を作ってみた。
これで引くだろうと思ったら友樹のヤツ、「いいっすよ」って静かに目を閉じやがった。
おおぅ。キス顔。ナイスですね~。
赤く小さく、フチが少しクイッと上がって誘うような唇。
ヤローのくせになんてキュートさだ。
オレはつかんでない方の手の人差し指をそっと友樹の唇に押し当ててみる。
チュって友樹の唇が応えてきた。
「…ってバカ!やりすぎだろ」
オレのツッコミに友樹はパチリと目を開け、この指止まれみたいにその人差し指をぎゅっと握ってきた。
思いもかけぬ行動と強い力にドキッとする。
またも見つめ合うオレたち。
何このシチュエーション。
「先輩……好きです」
熱い吐息混じりの声で友樹はつぶやくと上目遣いでチワワみたいに目をうるうるさせた。
え?え?
うるうるうるうる。
水分をたたえた友樹の瞳が揺れる。
え?え?
ホントに?
オレの頭は一瞬パニック。
いつも冗談めかしてオレのことカワイイカワイイ言ってたけど、あれってマジだったの?
オレ……どうしよう?
「と…友樹…あの……オレ……」
オレの声が震えている。
とその時、ふいに友樹が下を向いた。
黙っているのにもさすがに飽きたのか脚をブラブラさせながら友樹がいう。
昨夜灰谷から電話があった。
「ワリぃ、明日迎えに行けなくなった。徒歩で行ってくれ」
「なん?どした」
「バイトも休みもらったから」
何事?と聞いてみれば少年サッカーをやっていた頃の友達に試合に誘われたのだという。
中学の時、足にケガをしてやめてから、ボールを蹴っている姿を見たことは一度もない。
見たかったなオレも。
灰谷がピッチを走り回る姿はホントにカッコ良かったから。
まあでもな、クラブメンバーと親しげな様子を見てるのはちょっとヤケたけどな。
ああいう戦友みたいな絆って幼なじみとかとは別物じゃん。
「どうだろうな。この天気じゃな。朝から行くつってたからもう終わってんじゃねえか」
「マコせんぱ~い。灰谷先輩いなくてさびしいでしょ?」
からかうような友樹の声。
「あのなあ~」と、見れば友樹の顔がすぐそばにあった。
キスまで三秒の距離。
オレの目をのぞきこんで人懐っこい顔でニコニコ笑っている。
あまりの近さにオレは首を後ろに引き、「んなわけあるか。友樹、顔近い」と額をちょんと人差し指で突いた。
友樹はそのまま動かず、なおも目尻を下げて面白そうな顔で見つめてくる。
目をそらしたら負けだと思うからそのまま持ちこたえてると見つめ合うカタチになってしまった。
ああ…友樹の瞳にオレが映ってる…。
「マコ先輩って、キレイな顔してますよね」
少しかすれた声で友樹がささやく。
は?キレイ?
「お肌もツルツルだし」
ああ。肌ね。何もしてないけど…って。
!!!
思わずビクリとカラダが反応してしまう。
友樹が手を伸ばし、オレの左頬をさわさわと撫でる。
その手は可愛らしい顔には似合わず大きく、そしてすらりと指が長い。
「メイク映えしそう」
?メイク?
そう言う友樹の方こそお肌ツルツルでキレイな整った顔してるんだけど。
オレみたいな奥二重じゃねえし、目なんかも大きくてパッチリ、キュートなネコみたい……ってなんなのこの不自然な距離感。
いたたまれねえんだけど……。
よし!
オレは頬を撫でていた友樹の手首をグッとつかみ、「友樹、キスすんぞ」って真面目な顔を作ってみた。
これで引くだろうと思ったら友樹のヤツ、「いいっすよ」って静かに目を閉じやがった。
おおぅ。キス顔。ナイスですね~。
赤く小さく、フチが少しクイッと上がって誘うような唇。
ヤローのくせになんてキュートさだ。
オレはつかんでない方の手の人差し指をそっと友樹の唇に押し当ててみる。
チュって友樹の唇が応えてきた。
「…ってバカ!やりすぎだろ」
オレのツッコミに友樹はパチリと目を開け、この指止まれみたいにその人差し指をぎゅっと握ってきた。
思いもかけぬ行動と強い力にドキッとする。
またも見つめ合うオレたち。
何このシチュエーション。
「先輩……好きです」
熱い吐息混じりの声で友樹はつぶやくと上目遣いでチワワみたいに目をうるうるさせた。
え?え?
うるうるうるうる。
水分をたたえた友樹の瞳が揺れる。
え?え?
ホントに?
オレの頭は一瞬パニック。
いつも冗談めかしてオレのことカワイイカワイイ言ってたけど、あれってマジだったの?
オレ……どうしよう?
「と…友樹…あの……オレ……」
オレの声が震えている。
とその時、ふいに友樹が下を向いた。
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