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テオンとクロエが神聖国に移住して半年が経った。

 オラクルム神聖国のガルシア侯爵家では、母娘がバルコニーでティータイムを楽しんでいた。

「クロエ、義息子がかなり仕事ができるみたいでイサクが喜んでいたわよ」
「うん、なんだか生き生きしてるように思う。すごく仕事が楽しいみたい」

 辣腕宰相であるイサクの元で、テオンもまた様々なアイディアを出して折衝にあたり、オラクルム神聖国は急速な変化を遂げていた。クーデターがあったとは思えないほど安定した治世は、国の将来を憂いた新幹部たちの必死なかじ取りのおかげでもある。

「私、テオン様のお顔を見る度に、冷たいお顔で部下に大量の仕事を命じる姿が目に浮かぶんだ……」

 夜の鬼畜ぶりは身をもって知っているクロエ。昼間も麗しい顔を傾げながら、驚くような仕事量を何でもないことのように振っているのだろう。美人で頭が切れる人って迫力があるのよね、とクロエは独り言つ。

 ジョスティーヌは腕を組みながら目を細めた。

「クロエ、もしかして私の未来視を受け継いだんじゃない?」
「え? 今までそんなの視えたことないよ?」
「聖女の力は純潔ではなくなることで失われるけど……未来視は大人になることで発現するのかもね?」
「ど、どうしよう、お母さん」
「ふふっ、大丈夫よ。私もいるし、あなたには最高の旦那様がいるじゃない。頭の切れるテオンがなんとかしてくれるわよ」


 ◇ ◇ ◇


 その日の夜──

「ああ、クロエ。少しだけ遅くなってしまったよ、ごめん」

 ガルシア侯爵家にはイサクとジョスティーヌが住む本邸の隣に、テオンとクロエが住む別邸があった。
 エントランスホールでぎゅうぎゅうとクロエを抱きしめるテオン。使用人たちも慣れた景色に表情を変えることはない。

「おかえりなさい、テオン様」

 吸い込まれそうなペールブルーの瞳が嬉しそうにクロエを見下ろしている。その時、クロエの脳裏に見たことがない景色が広がった。

「っ!」


 ……

 ……


『さあ、クロエ。四つん這いになって』

 生まれたままの姿で胸と大切なところを隠しながらもじもじとするクロエ。上半身裸のテオンがさあ、さあと嬉しそうにクロエを追い詰めている。

 折れないテオンにクロエは諦め、おずおずとベッドに上ると四つん這いになった。どこからか、シュルシュルという音がする。

『ああっ! テオン様! な、何を!?』

 テオンはクロエに肘をつくように言うと、手に持っていた赤いシルクのリボンでクロエの両手首をぐるぐる巻きにした。顔を上げさせ、その唇を何度も貪ると、クロエの背後に回った。

 ぷりんとしたお尻をさわさわと撫で、テオンは尻肉を掴んで広げる。小さな窄まりがキュッと締まる様子にほくそ笑みながら、舌を押しつけ舐め回した。周囲を丸く丁寧に舐めあげ、クロエの声が拒絶から歓喜に変わるのを見計らい、固く閉ざされた中心を舌でつつく。

『はぅっ……あぁ、そこは、やだぁ、あっ、んんっ』
『ふふ、クロエ、上のお口は嘘つきだなぁ。下のお口はこんなに素直なのに』

 隘路にずぷりと差し込まれた指がぐちゃぐちゃと音を立てる。

『あぁ、そんな、んっ、あぁ』
『あれ? いやいやしてるの? お尻の穴を舐められてこんなに感じているのに? ほんと、素直じゃないんだから……それじゃあ今日は、ここに挿れてくださいって言うまで感じさせてあげるね』

 ツンツンと薄紅色の窄まりをつつくテオンにクロエは鳥肌が立った。

『え? そこは出すところであって、テ、テオン様が挿れるのはその、……先ほど指を入れられていた所では……?』
『ああっ、クロエはなんてかわいいんだ……! そうか、その程度の知識しかないのか。クロエ、悪いけど後ろのこの孔も俺のものだ』
『あうっ、んんっ、や、あっ、あぁ、ん、……』

 花芽を捏ねられ、舌と手で隘路と窄まりを散々嬲られた頃。

 喘ぎ過ぎてぐったりしているクロエの目の前に、テオンは小さな小瓶をぶら下げた。

「これ、頂き物なんだけど、破瓜の傷みを和らげるために使われる媚薬なんだって。じわじわと熱くなって、挿れて欲しくてたまらなくなるらしい。ねえ、クロエ、狂ってよ? ふふっ。愛らしい窄まりに塗ってあげるね」
「ひっ! や、やだっ、テオン様! や、やめてぇ、塗らないでぇ!」

 ……

 ……


(え、これが未来視? な、なんて破廉恥な……)

 真っ赤になったクロエはペールブルーの瞳から目を逸らし、俯いた。

 その様子を見て、テオンが顔を覗き込む。

「どうかした? 具合が悪い?」
「あ……、心配させてごめんなさい。ううん、何でもないです」

 疲れて帰ってきた優しいテオンを心配させてはいけないと思ったクロエだったのだが。

「そう? 体調が悪いんじゃないなら良かった。そういえば、魔道具課がこちらにもあってね、結婚祝いをもらったんだ。新婚向けのお祝いの品らしいんだけど」

 はい、とクロエの手に小さな箱が載せられた。

 見覚えのある赤いシルクのリボン。クロエは思わずキュッと太ももを擦り合わせた。


 クロエの初めての未来視が現実になったのは、それから二日後のことだった。


 こうして、やはりクロエにも未来視が受け継がれたことが判明したのだが。

 辣腕宰相とその補佐役によって、その秘密は永遠に流出することはなかったそうだ。


 Fin.
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