上 下
93 / 250
3章 ダンジョンアタック

アルケミーショップ(給湯器屋)

しおりを挟む
 猫耳娘のワトスンが経営するアルケミーショップにやって来た。


「いらっしゃいませー、本日のオススメは給湯器となっておりまーす」


「いつだって給湯器推しじゃねーか!」


 なんでこんなにも給湯器ばかり充実してんだか……。


「あー君かー、大活躍だったみたいだね。 あの後、君の魔道銃と同じものが無いかって問い合わせが何件か来たよ」


「そうか、魔道銃に店の名前でもデカデカと書いておけばもっとたくさん人が来たかもな良かったか?」


「君は天才かー!」


 ワトスンは、それは名案だとばかりに、耳がピンと立ち目を見開いている。
 そう言えばこの店の名前なんだったけな?
 特に看板とか出て無かったはずだが、店の名前を書いて、この店だってわかるのだろうか?


「あーそうそう、ご注文の品はまだ出来て無いよ、やっと機関部が出来たぐらいかな」


「時間がかかるだろってのはわかってるから大丈夫だ。 今日は別件で来たんだ」


「それなら、新型の給湯器があるよー」


「増えたんかい! というか、給湯器ってそんなに売れるのか?」


 俺が要らないだけで、実は密かな人気が出てきたとかか?


「何を言ってるんだ、あんまり売れないからオススメしてるんじゃないかー」


「売れないのに新しい給湯器が増えたのかよ!?」


「携行水作るのに使うからねー、日々効率を考えて新型の制作をしてるのさ。 新しいのが出来たら、前のは使わないわけだからココで売ってるんだよ」


「あれ全部中古だったのかよ!」


 謎は解けたが、ツッコミは止らない。


「それで、どの給湯器を買ってくの?」


「買わねえよ!?」


 あー、でも家貰ったら風呂用と飲食用にに2つくらい買っても良いかもしれないな。


「スタンピードの原因のダンジョンを探す依頼を受けてな、なんか特殊な魔力?だかそういうのを探知する魔道具で発見出来ないかと思ってな」


「なるほど、ダンジョン探しかー。 そういう事であれば、この、アンドレア・ワトスン・ゴールデン・ローゼンタールにおまかせあれだよ」


 また後半の名前が違うけど、もう突っ込まないぞ。


「それで、そのダンジョン探しには、今日すぐに行っちゃう感じなのかな? 流石にダンジョンを探すような物のご用意は無いから今すぐってわけにはいかないよー、それに魔道銃の制作も後回しになっちゃうんだけど構わない?」


 無いけど作れるってことだよな? でも、どの位で作れるかにもよるか……。
 金額はともかく流石に何年も時間がかかるなら本末転倒だ。


「時間はどのくらい掛かかりそうだ? 一応まだ情報集めやら準備やら始めたばかりだから今日中にってことはないが、面子が揃って情報が集まり次第出発になるはずだから早ければ明日、遅くとも3日くらいでなんとかなるなら、頼みたいんだが」


「給湯器だったら販売から設置、その後の訪問アフターケアまで今すぐ対応可能なんだけどね。 でも有り物の調整とかで対応可能だと思うから、今日一日時間がもらえるなら大丈夫だよー」


「そうか、それは助かる、金額はそっちの言い値で構わない」


「じゃー、幾らか考えとくね、あと依頼に出るなら携行水のご入用はー?」


 特に出すことも無かったせいで、水ならアイテムボックスに大量に入ってる。


「あーすまんが、そっちは他で大量に準備済みだ」


「それは残念、この街で一番安くて品質が良いのはうちだから、次の機会があったらよろしくねー」


 随分と自信があるようだが、水だったらタダで手に入るからな。ミネラル分を残してるから味も悪くないし。


「まあ機会があったらよろしくな」


「準備が整ったらギルドに知らせに行くね」


「それは助かる」


 パーティで行動するなら必用になるかもしれないと、人前で使うようの一般的な薬品類を一通りと、明かりの魔道具を購入したら、お得意様だからとオマケで持ち運びに便利な給湯器をくれた。
 結構な値段がついていたと思うが良いのだろうか?
 まあ、良いのだろうな、自作な上に中古なわけだし……。


 薬草などから作られている薬品類はアイテムボックスに入らないので、そのまま持ち運ぶハメになったが、LVでステータスが上がっているせいかそこまで重いと感じることもなく持つことが出来た。


「あとは、エーリカを探して声をかけてみる以外に何すりゃ良いかな?」


 慌てて動こうとした時すっ転んだから、ドグラスの親父さんの所で、今使ってる靴にスパイクをつけて貰った方が良いか。


 探す方はともかく、発見したら軽くとはいえ情報のないダンジョンに潜るというのだから、そのための準備もしておかなければならないだろう。
 魔導銃を自重無く撃ったら落盤とか起こりそうだし、武器も考えないと駄目だな。
 そうやって、改めて考えてみると、結構準備しなければならないものが多いようだ、流石にゲームと同じ感覚で準備するわけにもいかないので、考えつく範囲で準備をして、あとでアリーセに聞いたほうが良さそうだ。


 役に立ちそうなスキルとかも、痛い目に合わないで取れそうなものを取って、有効に使えそうなアイテム類を用意しておくか。


 考え事をしながら歩いていたら、いつの間にか白兎亭の前まで来ていた。
 無意識に足が向いたようだ。


「家を貰うってなったけど、ここでの生活は気に入ってるんだよなぁ。 風呂はないけど掃除も洗濯も食事の用意もしてくれるし……」


 家を貰ったらそれらは自分でやらねばならないと思うと、貰うだけ貰ったらそっちは放置してこっちに住み続けようかとも考えてしまう。


「まあ、まだ貰ってないし、今はダンジョンのことを考えよう」


 そんなわけで、俺は白兎亭の自分の部屋に戻り、チートツールとにらめっこしながらしばしの間引きこもるのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

冒険者歴二十年のおっさん、モンスターに逆行魔法を使われ青年となり、まだ見ぬダンジョンの最高層へ、人生二度目の冒険を始める

忍原富臣
ファンタジー
おっさんがもう一度ダンジョンへと参ります!  その名はビオリス・シュヴァルツ。  目立たないように後方で大剣を振るい適当に過ごしている人間族のおっさん。だがしかし、一方ではギルドからの要請を受けて単独での討伐クエストを行うエリートの顔を持つ。  性格はやる気がなく、冒険者生活にも飽きが来ていた。  四十後半のおっさんには大剣が重いのだから仕方がない。  逆行魔法を使われ、十六歳へと変えられる。だが、不幸中の幸い……いや、おっさんからすればとんでもないプレゼントがあった。  経験も記憶もそのままなのである。  モンスターは攻撃をしても手応えのないビオリスの様子に一目散に逃げた。

田舎の雑貨店~姪っ子とのスローライフ~

なつめ猫
ファンタジー
唯一の血縁者である姪っ子を引き取った月山(つきやま) 五郎(ごろう) 41歳は、住む場所を求めて空き家となっていた田舎の実家に引っ越すことになる。 そこで生活の糧を得るために父親が経営していた雑貨店を再開することになるが、その店はバックヤード側から店を開けると異世界に繋がるという謎多き店舗であった。 少ない資金で仕入れた日本製品を、異世界で販売して得た金貨・銀貨・銅貨を売り資金を増やして設備を購入し雑貨店を成長させていくために奮闘する。 この物語は、日本製品を異世界の冒険者に販売し、引き取った姪っ子と田舎で暮らすほのぼのスローライフである。 小説家になろう 日間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 週間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 月間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 四半期ジャンル別  1位獲得! 小説家になろう 年間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 総合日間 6位獲得! 小説家になろう 総合週間 7位獲得!

魔術師セナリアンの憂いごと

野村にれ
ファンタジー
エメラルダ王国。優秀な魔術師が多く、大陸から少し離れた場所にある島国である。 偉大なる魔術師であったシャーロット・マクレガーが災い、争いを防ぎ、魔力による弊害を律し、国の礎を作ったとされている。 シャーロットは王家に忠誠を、王家はシャーロットに忠誠を誓い、この国は栄えていった。 現在は魔力が無い者でも、生活や移動するのに便利な魔道具もあり、移住したい国でも挙げられるほどになった。 ルージエ侯爵家の次女・セナリアンは恵まれた人生だと多くの人は言うだろう。 公爵家に嫁ぎ、あまり表舞台に出る質では無かったが、経営や商品開発にも尽力した。 魔術師としても優秀であったようだが、それはただの一端でしかなかったことは、没後に判明することになる。 厄介ごとに溜息を付き、憂鬱だと文句を言いながら、日々生きていたことをほとんど知ることのないままである。

左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!

武蔵野純平
ファンタジー
大手企業に勤める平凡なアラフォー会社員の米櫃亮二は、セクハラ上司に諫言し左遷されてしまう。左遷先の仕事は、移動販売スーパーの運転手だった。ある日、事故が起きてしまい米櫃亮二は、移動販売車ごと異世界に転生してしまう。転生すると亮二と移動販売車に不思議な力が与えられていた。亮二は転生先で出会った孤児たちを救おうと、貧乏孤児院を宿屋に改装し旅館経営を始める。

処理中です...