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第一部 力の覚醒
第25話 パーティですか?
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「と言っても~、相手は思ったより手強いみたい~」
ミリスが難しそうな表情で付け足すと、セラも頷く。
「怪しい動きはあるんだけどね、決め手に欠けるって言うか……黒幕はかなりズルい奴だと思う!」
「人攫いの件を追っても、途中で情報がちぐはぐになっていっちゃうんだ~」
「め~っちゃイジわるな人に間違いないよっ、人数わかんないけど!」
「情報工作のプロって感じだね~」
そこで、腕組みをして聞いていたイクスが口を開いた。
「二人が掴みきれないとは、珍しいな」
「うん……詳しくは報告書に書いてあるんだけど、相手は王国の中枢に入り込んでることは、ほぼ間違いないんだ」
「魔術騎士団の警邏ルートが変えられてたからね~」
「でもでも、その変更は全部、ちゃんと理由が付いてるんだよー! だから黒だって言い切れなくって」
「ルートが変更されたおかげで捕まえられた人攫いの事件もあるんだ~」
「でも……それがな~~~んか気になるんだよね」
うんうんと唸るセラ。メイドの仕事はこんなこともするのか、とミリエラは感心しながら聞いている。
「……どうすれば、尻尾を出すだろうか」
「それなんだけどね!」
「今度、国王様主催のパーティがあるでしょ~」
「ああ。俺も出席する」
「そこで直接探るのが一番だと思う!」
「なるほど」
半年に一度開催されるこの盛大なパーティは、国の名だたる政治家や貴族が参加する。
相手が尻尾を出さないのであれば、こちらから出させに行こう、と言う腹積もりだ。
しかしそこでリーファが難色を示す。
「意図はわかるけれど、危険じゃないかしら?」
「相手はすごく慎重だから~、パーティの日に手を出してくることはないと思う~」
「それでね、ミリエラちゃんに一つお願いなんだけど……」
言いにくそうな表情でセラが見つめてくる。
「ミリエラちゃんに、イクス様と一緒に行ってほしいんだ」
「どこにですか?」
「パーティに」
「えっ」
「急なお願いだって言うのはわかってるんだっ、ミリエラちゃんも嫌な目に遭ったばかりなのも知ってるし……だから、嫌なら全然よくてっ」
「パーティ……」
実は、一度は行ってみたかった。
実家では大きなパーティに連れて行ってもらったことはなかったし、物語の中だけで見るそれには憧れがあった。
「でも、なぜ私なんでしょう?」
「えとね、ミリエラちゃんも人攫いの事件にちょっと関係してるでしょ? だから――」
「なるほど!」
これは物語で読んだことがある。
そう、魔法探偵シリーズ! 禁書にしておくのがもったいないくらいの推理小説で、ミリエラは何度も読み返した。
この状況は読んだことがある。アレだ。
「つまり、私は囮ですね!!」
「う、うん……状況的には、そう、なんだけど……」
「やります!」
「ミリエラがいつになくキラキラしているわね……」
実は、これもまたやってみたいことだった。
魔法探偵シリーズではヒロインの女の子が毎回事件に巻き込まれ、その度に探偵に助けられるのだが、その構図にも憧れがあったのだ。
ちなみに途中からヒロインが自身の巻き込まれ体質を活かして事件に飛び込んでいくようになるのも、ミリエラのイチオシポイントだった。
誰かのために体を張れるのと言うのは、今のミリエラにとっては存在意義を感じられる行動だ。
「ただ、今の私がナイトヴェイル家のメイドだとバレてしまうのは……」
「そこは秘策があるわ。イクス様の近くに居られるようにね」
「……近くに居てくれた方が、俺も守りやすい」
「と、言うことよ」
「何があっても、必ず守る」
「そ、それは……えと、はい……よろしく、です……」
(ま、まも、まもまも、守って……)
見た目の表情こそ変わらないイクスだが、意志の籠もった言葉。
本当に騎士のようだ。
いや、本当に騎士なのだけれど。
しかも、あくまで家人を守る、と言う意味だ。
だが真っ直ぐそう言われると……やっぱり照れてしまう。
「ミリエラちゃんありがとう……あたしたちもちゃんとサポートするからねっ」
「ひとりじゃないよ~」
「全員で臨みましょう」
「ああ」
皆、優しい表情だ。
誰かの心が側にあると感じられることは、こんなにも頼もしいことだったのか、と思う。
「はいっ、がんばりますっ」
「気負いすぎないようにね」
「はいっ!」
思いっきり意気込むミリエラだった。
ミリスが難しそうな表情で付け足すと、セラも頷く。
「怪しい動きはあるんだけどね、決め手に欠けるって言うか……黒幕はかなりズルい奴だと思う!」
「人攫いの件を追っても、途中で情報がちぐはぐになっていっちゃうんだ~」
「め~っちゃイジわるな人に間違いないよっ、人数わかんないけど!」
「情報工作のプロって感じだね~」
そこで、腕組みをして聞いていたイクスが口を開いた。
「二人が掴みきれないとは、珍しいな」
「うん……詳しくは報告書に書いてあるんだけど、相手は王国の中枢に入り込んでることは、ほぼ間違いないんだ」
「魔術騎士団の警邏ルートが変えられてたからね~」
「でもでも、その変更は全部、ちゃんと理由が付いてるんだよー! だから黒だって言い切れなくって」
「ルートが変更されたおかげで捕まえられた人攫いの事件もあるんだ~」
「でも……それがな~~~んか気になるんだよね」
うんうんと唸るセラ。メイドの仕事はこんなこともするのか、とミリエラは感心しながら聞いている。
「……どうすれば、尻尾を出すだろうか」
「それなんだけどね!」
「今度、国王様主催のパーティがあるでしょ~」
「ああ。俺も出席する」
「そこで直接探るのが一番だと思う!」
「なるほど」
半年に一度開催されるこの盛大なパーティは、国の名だたる政治家や貴族が参加する。
相手が尻尾を出さないのであれば、こちらから出させに行こう、と言う腹積もりだ。
しかしそこでリーファが難色を示す。
「意図はわかるけれど、危険じゃないかしら?」
「相手はすごく慎重だから~、パーティの日に手を出してくることはないと思う~」
「それでね、ミリエラちゃんに一つお願いなんだけど……」
言いにくそうな表情でセラが見つめてくる。
「ミリエラちゃんに、イクス様と一緒に行ってほしいんだ」
「どこにですか?」
「パーティに」
「えっ」
「急なお願いだって言うのはわかってるんだっ、ミリエラちゃんも嫌な目に遭ったばかりなのも知ってるし……だから、嫌なら全然よくてっ」
「パーティ……」
実は、一度は行ってみたかった。
実家では大きなパーティに連れて行ってもらったことはなかったし、物語の中だけで見るそれには憧れがあった。
「でも、なぜ私なんでしょう?」
「えとね、ミリエラちゃんも人攫いの事件にちょっと関係してるでしょ? だから――」
「なるほど!」
これは物語で読んだことがある。
そう、魔法探偵シリーズ! 禁書にしておくのがもったいないくらいの推理小説で、ミリエラは何度も読み返した。
この状況は読んだことがある。アレだ。
「つまり、私は囮ですね!!」
「う、うん……状況的には、そう、なんだけど……」
「やります!」
「ミリエラがいつになくキラキラしているわね……」
実は、これもまたやってみたいことだった。
魔法探偵シリーズではヒロインの女の子が毎回事件に巻き込まれ、その度に探偵に助けられるのだが、その構図にも憧れがあったのだ。
ちなみに途中からヒロインが自身の巻き込まれ体質を活かして事件に飛び込んでいくようになるのも、ミリエラのイチオシポイントだった。
誰かのために体を張れるのと言うのは、今のミリエラにとっては存在意義を感じられる行動だ。
「ただ、今の私がナイトヴェイル家のメイドだとバレてしまうのは……」
「そこは秘策があるわ。イクス様の近くに居られるようにね」
「……近くに居てくれた方が、俺も守りやすい」
「と、言うことよ」
「何があっても、必ず守る」
「そ、それは……えと、はい……よろしく、です……」
(ま、まも、まもまも、守って……)
見た目の表情こそ変わらないイクスだが、意志の籠もった言葉。
本当に騎士のようだ。
いや、本当に騎士なのだけれど。
しかも、あくまで家人を守る、と言う意味だ。
だが真っ直ぐそう言われると……やっぱり照れてしまう。
「ミリエラちゃんありがとう……あたしたちもちゃんとサポートするからねっ」
「ひとりじゃないよ~」
「全員で臨みましょう」
「ああ」
皆、優しい表情だ。
誰かの心が側にあると感じられることは、こんなにも頼もしいことだったのか、と思う。
「はいっ、がんばりますっ」
「気負いすぎないようにね」
「はいっ!」
思いっきり意気込むミリエラだった。
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