ヴァーミリオンの絵画館

椿

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小話 ドラキア-2

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「──あ゛…っ!!」

 ばちゅん…っ!!
 肉のぶつかる衝撃と共に、飛んでいた意識が引き戻される。尻だけを持ち上げられたみっともない土下座のような体勢で、もうどれくらいの時間穿たれているのだろうか。

「寝てられるなんて余裕だね。仕事の代わりにセックスばっかりしてきたお前からしたら、もうこのくらい朝メシ前ってわけ?」
「ン゛、ひぎ…ぃっ!」

 背後から伸びた美しい手がグレイの喉元を固定して、項に牙を立てられる。みぢ…っ、と肉が沈む感覚をはっきり知覚した。それと同時、強い痛みと、ドラキアのフェロモンによって変換された歪な快楽が高濃度のアルコールみたくカッと脳の奥を焼く。
 あ、だめ、いく…っ!
 そう思った時にはもう達していた。一瞬ぎくんっ!と身体が強張って、その後下半身全体がガクガクと激しく痙攣する。とっくに精液は空だ。萎びた陰茎の先からはよく分からない透明の体液がピュッピュ…ッ、とひっきりなしに噴き出して、悲鳴のような喘ぎと共に床をビシャビシャに汚していた。

 またこうなった。

 ドラキアにこうして犯されるのも1,2回どころの話ではない。回数を重ねるうちに削がれていったのは抵抗の意思だ。……もっとも最初から、彼のフェロモンで碌に体は動いてくれないのだが。
 あからさまな抵抗は意味をなさないどころか、寧ろ楽し気に組み伏せられて余計に酷くされるだけだからもうやめた。出来るだけ従順に。機嫌を損ねないように動く。そしたらごくたまに、無言だけど優しい時もあったりして、……今回はどうやらその類ではないけど…。
 そんな殺伐階層なので、ここでの清掃時は毎回……不本意ながらも後ろをほぐしてから臨むグレイだった。
 いや、別に、使わないならそれでいいんだ。よかった!助かったー!でほっとして終わりだ。……だけど前、まだ解すなんて脳のない時に、慣らさないまま入れられたことがあって…。最中は例の催淫作用のあるフェロモンの影響で麻痺して、まだ痛みはそれほどじゃなくても、……その後が地獄だった。ものすごく痛かった。1週間は痛みを引き摺った。最中も、それほどじゃないって言っても痛いのは痛いし…。因みにその時のドラキアさんは、血で滑りが良くなったねって笑ってた。鬼畜だと思った。
 もう二度とその痛みを味わいたくなくて、グレイは仕事前に、仕事とはまったくもって関係がなく、進んでやりたくもない尻を弄る準備時間を設けているのだ。なんと涙ぐましい努力だろう。
 今日は最初に指を入れてきたドラキアだったが、「緩っ…」と機嫌悪そうに吐き捨ててからすぐに挿入してきた。やっぱり急にされるのはちょっとキツかったし苦しかったけど、何とかスムーズに入ったのでやっぱり解しておいてよかった…、とグレイは事前準備の重要性を再確認した。

 それからずっと、またいつもみたいにドラキアさんのオナホとして使われている。

「ぉ、……っンッ、ひっ、あ゛ぁ…ッ!」
「寝起き早々みっともねえイキ顔晒すの恥ずかしくないの?あ、ド淫乱だからそれが日常か。いつもあっちこっちで誰かに無理矢理ハメられて興奮してるドマゾだもんね。セックスしてる時以外の顔、誰かに覚えられてんのお前?」
「ぁ、ぅ…っ、」

 酷い事を言いながら、ぎゅっぎゅっと痙攣して締めつけるナカを容赦なく肉棒が行き来する。
 膝をついた足はもうガクガクと暴れて自立すら出来ないのに、後ろから無理矢理下腹を持ち上げられて、尻だけを突き出すような惨めな格好をさせられ続けていた。中で熱をもって淫らに膨れた前立腺が、外の手と中の怒張で挟み込まれて、ごりゅごりゅと苛め抜かれるのが堪らない。
 蕩けた顔で恥ずかしげもなく涎と喘ぎ声を漏らすグレイが見苦しかったのか、ドラキアは喉を掴む指の力を強くした。
 揺さぶられながらぐっ、と気管が狭まる。ただでさえ呼吸が浅くてまともに息が吸えないのにもっと息苦しくなった。かひゅ、かひゅ、と締まってない細い隙間から一生懸命息継ぎをするが、それも限界がある。段々と脳に水が溜まっていくような感覚にぼうっとして、視界がチカチカ明滅していた。
 生存本能が命の危機を察してここぞとばかりに機能するのか、熱い粘膜が肉棒に媚びるように中を締め付ける。しかしそんなやわな拘束など御構い無しに、ドラキアは窮屈なそこをかき分け弱いしこりをピンポイントで抉ってきた。そうされるともう耐えられるはずもない。
 全身が総毛立つ感覚にビリリと脳が痺れて、尻をドラキアの腰に押し付けるようにして何度も上下に跳ねさせた。逃げるのではなく更なる快感を求めようとする自身の身体の反応に、絶望する頭すらない。

「~~ッッ!!……はひゅ…っ!…はっ!はぁっ!はぁ…!ん゛…ッ、」
「はは。イッた?さっきから何も出てないけど」

 ふいに首の圧が消えて、次にその手はグレイの濡れそぼった陰茎を包んだ。一生懸命酸素を求めて喘ぐグレイを他所に、細長い綺麗な指がもう雄として機能していないそこをフニフニと弄ぶ。

「もうこれ、要らないんじゃない?」
「ひ…っ、」

 ぎゅ、と力を込めて玉を握られて、喉が引き攣る。
 それは決して冗談などではない力加減。そのまま指で擦り潰そうとでもしているような触れ方に、恐怖で息が荒くなる。律動は止まっているのに、中を埋めたままの熱い勃起を震えと共にぎゅ、ぎゅ、と連続して締め付けた。
 ドラキアさんなら、本気でやりそう。……いや、やる。

 最高潮に早まった鼓動が瞳すら潤ませる。グレイは床に額を擦り付け、必死に許しを請うた。

「ぁ、ひ…、ゃ、やめ、ご、ごめっ、なしゃ…!ひどく、しないで…っ」
「頼み方ってものがあるよね?お前の使い道無いゴミチンが潰れて、オレが何か困るわけ?」

 こちらを覗き込んできたドラキアと至近距離で目が合う。グレイが嫌なだけだ。ドラキアが困ることなど一つだってない。でも何か、何でもいいからその質問に答えを返さなければ本気で潰される…!
 痛みを想像して、ぐしゃりとみっともなく顔が歪んだ。

「……っ、みじめな、おもらし…っ、見れなく、なる…っ」

 咄嗟に出てきたそのセリフに一瞬目を見開いたドラキアは、徐々に口の端を吊り上げて言う。

「……へえ。ちゃんと惨めだって分かってるんだ。いつも好き勝手撒き散らすから、頭弱くて便所と勘違いしてんのかと思ってた。ふぅん。恥ずかしくてみっともない事だって自覚しながら漏らしてんだ。──終わってんな」
「……っ!」
「絵の中で漏らすのヤバいし、それを自信満々にオレに言うのも相当ヤバいよ?ねえ気付いてる?皆言わないだけで、君の事相当なイカレ野郎だって分かってる。色んな男のち◯ぽ咥え込んで、恥ずかしげもなくアヘって体液撒き散らして、…二大規約だっけ?あるんでしょ?君、完全に引っかかってるよねソレ。『迷惑だ』って、『早くクビになればいいのに』って陰で噂されてるの知ってた?アハハ、嫌われ者だねお前。あ、は大丈夫とか思ってる?バッカだろ!こんな使い古されたクソ中古オナホ、同じ生き物として見られてるかも怪しいぜ!」
「…っふ、ぅ……、」
「泣いてんの?ザッコ。いいね、その被害者ぶった最高にみっともねえ面」

 眼前の愉快そうな顔が涙で滲む。悔しい。何でこの龍はこんなに人の痛いところをつくのが上手いんだ。
 せめてもの抵抗として顔を床方向に逸らすと、それを咎めるようにまたぎゅ、とペニスが強く握られた。

「ぃ…っ!」
「はい。じゃあほらやってみれば?惨めなお漏らし。それで『去勢しないでください』ってオレに媚びてみなよ」
「は、ぇ、」
「早く。それとも何?本当は潰されたい?」
「ちがッ、…は、はぁっ、はぁっ、やる…!やる、からぁ…!」

 頭を床に擦り付け、視線を下半身に向ける。そこにはドラキアによって現在進行形で人質に取られている可哀想な自身の息子が見えた。
 腹に力を入れてみて尿を出そうとするが、出ない。それどころか、後孔に入ったままのドラキアを締め付けてしまってびくんびくんと感じる始末。「何感じてんだよ」と鈴口を親指の爪で強く引っ掻かれ、グレイは簡単にイッた。「ぁー、ぅー」だなんて到底知能があるとは思えない無様な声を漏らして、腰をカクカク痙攣させながら先程よりも強く中を締め付ける。射精こそしなかったが、刺激に歓喜するようにペニスを食むアツアツの粘膜で、ドラキアにもグレイの絶頂は気付かれてしまっていることだろう。
 だめ…っ、このままじゃ、つぶされる…っ。
 快感混じりの恐怖にブルリとして、背筋が熱いんだか寒いんだかよく分からないことになる。怖いという感情で漏らせないかと思ったりもしたが無理だった。快楽に支配された崩れかけの理性でも、まだやってはいけないことを判別できているらしい。

 前はどんな時に漏らしたんだったっけ。何度も腰を打ち付けられてイッて、電気を流されていっぱい射精して、その後に、もうダメだって時に出たんだっけ。
 その時の事を思い出して、背筋にゾクゾクと甘い痺れが伝った。
 記憶は殆ど朧気。ただ、一つだけ。自分一人では自分をそこまで追い詰められないということだけはグレイの頭でも理解できた。
 ふーっ、ふーっ…。絶頂の余韻を孕んだ淫らな呼吸を整えながら、グレイは蕩けた顔で後ろを振り向く。潤んだ視界にこちらを見下すドラキアが見えた。

「……何」
「おもらし…、できません…っ」
「あっそう。じゃあ潰すね」
「あっ、あ゛…っ!!ち、ちがっ、ド、ドラキアさんが、酷いのっしてくれないと出せないっ!ぉ、お漏らし、できな、い゛ぃ…!」
「…酷いのって?」

 やだ、言いたくない。……でも、やってもらわないと、去勢される…っ。

「はっ、はっ…、ぁ、いっぱい奥、突いて…、で、電気……流す、の…っ」
「へえ。電気嫌じゃなかったの?」
「…ぃ、やぁ……っ」
「どう見ても嫌な顔じゃねえだろマゾメス」
「あ゛…っ!!ひっ!ぅあっ、あ゛ーー…ッッ」

 だちゅん、と深くまで刺さった肉棒が奥の弁を突き破る。
 ぶわあっと全身の毛穴が開いて足がブルブル激しく痙攣した。それが崩れ落ちてしまう前にドラキアは両手でグレイの細い腰を掴んで、本気ピストンで休みなく責め立てる。

「アッ、そこ…っ、おぐっ、やっ、だめっ!だ、めぇ…~~ッッ!」

 ぐぽぐぽと奥で高く張った亀頭をひたすらに出し入れされる。いつもは隠されている柔らかい場所を、硬くて強い雄でめちゃくちゃに暴かれてしまっていた。
 自分からして欲しいと言ったくせに、もう前言撤回したくなる。それほどまでに暴力的で気が狂いそうになる程の刺激に、身体の挙動を何も制御できない。
 こわい、だめ…っ、ら、めっ!こんなのっ、ち〇ぽ、つよ、い゛ぃ…っ、こわ、れる…っ!

 その時、パチリ、と肉がぶつかる音とは違う音が聞こえたような気がして、反射的に下を向く。そこで、再度ペニスに添えられたドラキアの手が微かに青白い電磁波を纏っているのが見えて、ひぐっ、と喉奥から悲鳴になり切れない声が出た。

「ゃっ、ぁ゛っ、はーっ!はーっ!…っで、でんきっ、やめ…っ、ひ…っ!」
「腰ガクついてんだよ。上辺だけの無駄な抵抗ご苦労様…っ、」

 バチィッ!!
 激しい音と閃光に頭ごと真っ白に染まる。腰がズンと重くなって、腹の奥で何かが勢いよく弾けたようなゾクゾクが数秒後に全身を一息で駆け抜けた。
 ぴゅっ、と漏れ出た気持ちばかりの精液をきっかけに、緩んだその口から黄金色の液体が零れる。もう叫ぶ気力もない。乾いた声で唸って気持ちよく温かい液を撒き散らす。
 ぼやけた視界の向こう側でドラキアの手がびちゃびちゃと尿まみれになるのが見えて、グレイは絵画を、ドラキアを汚してしまうという罪悪感よりも先に、ああこれで去勢されなくて済む、と清掃スタッフにあるまじき安堵を感じてしまった。

「ぁ、ぁ゛ー…っ、は、……っ」
「……っ、」

 背後のドラキアがびくん、と震えて中に熱い子種が注がれた。
 あ、だされてる…なか…っ。
 その事実に頭がじんと痺れて使い物にならなくなる。反射的に収縮する肉の壁も、ごくごくとその淫らな体液を取り込もうと必死だった。
 少し柔らかくなった男根がゆっくり引き抜かれて、熱の移動する感覚にまた背筋を震わせる。散々出し入れされて腫れぼったくなった入口からは、こぷっ、と生暖かい精液が少しだけ零れた。
 ああそうか、これ、一回目じゃなかったんだっけ…?
 支えを失った腰が崩れ落ちる前に、尿溜まりから逸れた場所へと仰向けに転がされる。
 絶頂の余韻を残しながら全身を真っ赤にしてビクつくグレイの前に、ドラキアから手が差し出された。

「汚れた」

 たった一言。目の前には、ポタ、とグレイの体液が滴る美しい手の平。…それだけで自分の役目を理解する。
 グレイは力の入らない両手でそれを掴むと、ぺろ、と彼の手を汚す液体を舐めた。
 味や匂いなどもう分からない。自分の排尿を、なんて素面なら絶対に遠慮したいが、今は快楽で脳細胞がだいぶ死滅しているらしい。それに、これを拒んで機嫌を損ねて、また酷くされるのは嫌だったから…。

 指を一本一本、根元までちゃんと口に含んで温かい粘膜に擦り付ける。咥えられない場所は舌を這わせ、顔の角度を変えて隅から隅まで丁寧に舐めとった。時折指で舌を引っ張られたりして弄ばれたが、それ以外は大体、ドラキアは無言でグレイの掃除を眺めていた。

 綺麗に舐め終わると、ドラキアの手はそのままグレイの穴へと突き入れられる。ちゅぶ、と濡れた音がして、中の精液を掻き混ぜるみたいにぐちゃぐちゃと指を動かされた。もうグレイはされるがままだ。ふっくら主張する弱いところばかりしつこく転がされて、悲鳴を上げながらイく。
 次いで、ドラキアは無言でグレイの太ももを割り開き、胸につくまで折り曲げると、そのいきりたった熱の塊をぬかるみに一息で埋め込んだ。
 軽々と奥まで挿ったそれに、グレイは先端からぴゅ、ぴゅ、と残尿を噴き出してまたイく。
 挿れただけなのに。そんなこと、ぱちぱちと弾ける頭には掠りもしない。ただ暴力的な快感に、キュンキュン締まるナカでお礼を言って、息も出来ず顔を真っ赤にして、痙攣が止まらない身体を曝け出して全身で快感を示す。ち〇ぽに負けてしまっていると、ドラキアに征服されてしまっているのだと、誰からみても分かるように。

「ぁ、あ゛ぅ゛~~……っ」

 がつがつとそのまま無遠慮に腰を打ちつけられてイッて、そんな中でも止まらないピストンに連続でイッた。無意識に逃げようとして腕が外へ伸びるが、すぐに上から捉えられ、固定されて、大事で敏感な場所をねちっこくプレスされる。
 快感が一つも逃せなくて、泣いて頭を振ったって叫んだってダメで、ずっと絶頂とその直前を繰り返すようなループから抜け出せないのが怖かった。イキ過ぎて、息継ぎの暇もなく呼吸が続かない。苦しい。腹の奥にずっとぎゅーっと力が入り続けるせいで痛い。しかし、その恐怖や苦痛すらも快感に変わってグレイの身体をじんっ、と疼かせた。
 これも、ドラキアさんのフェロモンのせい、だよな…?

「…っは…、…こんだけされたら、もう逆らう気失せたでしょ。やるよね階層長」
「ぉッ、…っん、」
「おい返事」

 ごちゅん!と奥を乱暴に叩かれて衝撃に歯を鳴らす。
 しばらく揺さぶられるままぼうっと喘いでいたグレイだったが、漸く質問を噛み砕く事ができ、その後かろうじて首を横に振った。

「ぁ゛っ、あひっ、やらっ、やら、なぃい゛~…ッッ」
「……まだ足りないんだ。お前相当な色狂いだなっ!」
「ち…ッ、…ぁ、あ゛っ、あ゛ぁっ!?ひぅゔ…ッッ!はげ、しッ…!も、やぁ゛!あ゛ぅっ、ひどいのっ、も、いらにゃい゛、ぃ゛ッ!」
「それはお前次第だろ…っ。はっ、…やるって言えばすぐ解放してやるのに。ああもしかして、まだ続けたいからわざと断ってるの?」
「ぉっ、あん゛ッ!ち、ちがうぅ゛…っっ!ぉ、おれはっ、だ、めぇッ、ンぃ゛…ッッ!」
「はあ?」

 律動が止まる。グレイの言葉を理解しようとするようなその態度はひどく珍しいものだった。
 びくんびくんと止まらない余韻に腰を浮かせながら、グレイは快楽に蕩けた頭で、しかし散らばった理性を一生懸命搔き集めて多少の正常を取り繕う。
 そうして、彼の期待に応えるべく、まだ焦点が合いきっていない蕩けた視線を向けた。

「…はっ、…ん……ドラキアさん、俺の、こと、……す、…好き?」
「……は?」

 ──瞬間,喉元を締め上げられる。

「ぐ…っ、」
「嫌いに決まってんだろ。逆に好かれてると思ってたの?脳味噌死んでんのか」
「…っ、だ、から、…ダメ…っ」
「はあ…?」

 ドラキアの緩んだ手の隙間から空気の通り道が出来て、突如滑り込んできた気体に咽せる。咳き込みの途中で、心底怪訝で不可解そうな顔のドラキアと目が合った。

「……ここを、管理するのは、……ドラキアさんが好きだと思えて、安心出来る…人じゃ、ないと…」
「オレを目覚めさせた責任を放棄するつもり」
「……責任、あるから、です。……俺は、第七階層が…絵画館、が、ドラキアさんにとって、良い場所になれるようにしたい…。また、1人にならなくていいように、──大事に、したい」
「──、」

 バリィッッ!!

「ぁ゛──」

 唐突に、身体に電流が駆け抜ける。油断していたところでの衝撃に、視界が明るく弾けて意識が飛びかけた。もう出るものなんて何もないけど確かに絶頂感はあって。グレイは背を仰け反らせてびくんびくんと激しく全身を跳ねさせる。
 そんな身体を囲い、閉じ込めるようにドラキアが覆い被さった。
 降ってくる影に自然と身体が萎縮する。
 おこ、らせた…?

「……よくもまあそんなポンポン薄っぺらい言葉が吐けるな。…テメェは誰彼構わずその場しのぎの都合良い事ばっか言って、結局全部他人に押し付けて逃げてるだけだろうが…っ!」
「ぉ、あ゛ッ!?待っ、ン゛ッ!…あっ、ひっ、イ、イッで、る!!っゔ~~…イ゛、くぅ…ん゛ッッ!!」

 上から体重ごと叩きつけるような激しい抽挿。
 動かれる度に足がピンと空を蹴って哀れに震えた。快感を逃さないよう押さえつけて、柔らかい奥を何度も何度も硬くて仕方がない亀頭でビンタして、ドラキアはその立派な雄の証でグレイを従わせようとしてくる。

 それでも、頷くわけにはいかなかった。

「………なれよ、階層長」
「はぁ゛、っ、んっ、なら、ない…っ」
「なれって…グレイ」
「や、ぁ…ッ!」
「やだじゃない…っ」
「な、ら、ない゛ぃ…~~ッ」
「………クソが…ッ」

 舌打ちと、フーッ…!と興奮したような荒い息遣いがすぐそばで聞こえたのを最後に、刺激の許容量を超えたグレイの意識は黒く途切れていった。


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