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第七階層 幻想生物画(陸)-9
しおりを挟む「濡れてる」
「はぁっ、はぁ…っ、」
「わっ、……ほら、こんなところまで、」
「あっ、…いや…っ」
パンツの横から指がねじこまれて、グレイの窄まりに触れる。どうやら先走りはその部分までもを濡らしてしまっていたようだ。ドラキアはぬめりを借りながら、クニ、クニ、と入口の様子をノックで確かめるみたいに押す。もう少し強く押されたらすぐにでも中に入ってしまいそうなその刺激に、グレイの足は細かく震えていた。
そこは今まで沢山の熱い肉棒を飲み込んできて、その分以上の快感を得た場所だ。身体が記憶を思い起こして、勝手にキュウキュウと誘い込むような動きをする。ジンジンと中を疼かせるその収縮の刺激に、堪らず淫靡な吐息が口から出た。
「指、挿れて欲しい?」
「……っ!」
耳元で囁かれて、心を読まれたかのようなその打診にギクッとする。顔を見ると目が合って、ん?と答えを促すように首を傾げられた。
躊躇って咄嗟に返事ができないグレイに、彼は少し待ってから唐突に触れるだけのキスをした。柔らかい唇がグレイのそれにくっついて離れてを繰り返して、グレイが息継ぎの吐息と一緒にチロッ、と舌を出すと、弄ぶように舌先だけで愛撫される。それだけでも充分気持ちが良くて、ドラキアの舌を追いかけるのに夢中になって。依然ゆっくりと指で縁をなぞって時折押し込まれる濡れた穴がキュンと疼いた。
指なら、いいんじゃないかな……。
蕩けた思考で判断して、「どう?」と再度問うてきたドラキアに、小さく了承の頷きを返す。
戯れのようなキスの合間でもしっかりとそれを察知してくれたドラキアが、また魅惑的な声で「後ろ向いて」と囁いた。グレイは腰が砕けそうになりながらそれに従う。殆ど言いなりだった。
今度は両手を円卓に付いて、ドラキアに背中を向ける。先程とは前と後ろが逆になった体勢だ。続けて片足を上げるように言われて少しだけ足裏を床から浮かせると、ドラキアに膝裏を掴まれてそれをグイッ、と円卓の上へ乗せられた。
突き出した臀部と大きく開かれた股に、あれこれ恥ずかしい格好してるんじゃないか……?と今更ながら気付いて、グレイの顔がじわじわ熱くなる。
それとほぼ時を同じくして、ドラキアがグレイのパンツの尻の穴部分を指でグイッと伸ばしてずらした。外気に晒された穴にヒヤッとした風が通る。そんなかすかな刺激でも、埋めてくれる相手を探すようにそこがヒクヒクと収縮を繰り返しているのが分かって、あまりの貪欲さに更なる羞恥がグレイの肌を焼いた。
「ゃっ、み、見ないで…っ、」
「何で?可愛いのに」
可愛……???
グレイの知るドラキアから出るとは思えない言葉に固まっている内に、穴の中へと指が入ってくる。
ず、ぶぶ……っ、
「……ん…っ!!」
ドラキアの細長く綺麗な指は、先走りの滑りをかりて案外簡単に根本まで埋まった。次いで探るように曲げられた指が、的確に前立腺を捉える。前触れなく訪れた脳天を突き抜けるような刺激に、グレイはビクリと全身で反応してしまって、「此処がイイの?」とすぐに気付かれてしまった。
もう遅いかもしれないが、せめてもの男としてのプライドから無言を貫くグレイ。ドラキアはそれにフッと柔く笑って、中に入れていた指でゆっくりと同じ場所を往復する。
「っ、……ん゛っ、」
「このままでいい?もうちょっと力入れた方が好きかな?」
「……っ、」
「教えて、グレイ」
前立腺の周辺をぐうっ、と押し上げられて、そのまま指が引き抜かれるように移動する。1番敏感なところもろともへこまされて、ビクンッ!と大きく腰が跳ねた。快楽に貪欲な中が、もっともっとと強請るようにたった一本の指を食い千切らんばかりにぎゅうぎゅう絡みつく。
食いしばった自身の歯の隙間から、フーッ!フーッ!と興奮に塗れた獣のような息遣いが聞こえた。
……刺激、強…、い!!
「………っ、……こ、このまま、で、……その、」
「わかった」
抗おうとしながらも、結局は欲に負けたグレイのか細い声に頷いて、ドラキアはちゅぷっ、ぐにっ、ぐっ、ぐ…っ、と一定の間隔で前立腺を刺激しながら抜き差しを繰り返す。
段々とそこはぷっくりコリコリと、まるでドラキアに弄って貰いやすいようにアピールするかのように芯を持って膨らんできた。ドラキアもそれに乗っかって集中的にしこりを捏ね回す。
降り積もる快感にグレイがビクンビクンと下半身の痙攣を隠せないでいると、ドラキアはもう片方の手を苦しそうに勃ち上がり震えている前へと伸ばした。
「アッ!?だっ、だめ…っ!」
「駄目じゃないでしょ?……ほら、気持ち良い」
「……っ!…ふぅ゛っ、」
もはや下着の役割を果たしていない、卑猥な汁でびしょ濡れのパンツ。ドラキアはその上からビクつく勃起をよしよしと撫でた後、また布をずらして陰茎を取り出した。ぶるっ、と間抜けに飛び出たそれに、彼の指がそっと絡む。
人間と変わらない皮膚をした今のドラキアの手は、傷やシミひとつなく滑らかでとても美しかった。男らしくはあるがあまりゴツゴツと骨ばったりはしておらず、薄目で見ると女性の手のように見えないことも無いそれが、グレイの熱いペニスを直接扱き出す。
最初から濡れそぼって滑りが良くなっているそこは、ドラキアが適当に竿を擦るだけでも簡単にグレイの身体で快感として伝えられた。ちゅこちゅこ、と決して乱暴ではない動きで神経の集まった亀頭辺りを集中的に往復されると、今すぐにでも射精してしまいそうだ。
前ばかりに意識を取られていると中からもグ…ッ!と圧を加えられた。いつの間にか指の本数が増えていて、圧迫される面積が大きい分刺激も倍になる。二か所からの重く弾けるような快感に、グレイの腰の震えが一際大きくなった。
「あっ、あ゛っ、……っっ、ぃ、んっ!」
「もう出そう?」
「あ゛、は、はいぃっ」
「素直だね。……いいよ。そのまま出して」
「っっ!」
そう言ってドラキアは、グレイの中心を扱くスピードを上げる。それに、先程までのような人差し指と親指の輪でカリ首付近を往復するのみだった扱きも、根本から先端の尿道まで余すことなく片手を滑らせる少々荒々しいそれにかわってしまった。
ぐっちゃぐっちゃと確実に男の射精を促してくる動きは、グレイの眼前にパチパチ激しい火花を散らして限界まで絶頂感を高める。
しかしそんな中でも、恐怖を植え付けられた際の記憶はしっかりばっちりとグレイの頭に残っていた。
ここで出すのは絶対にまずい……!!だってドラキアさん、汚れたとか汚いとかいっぱい言ってたし!!
汗ばむ程の熱とは反対に、脳内の温度は少しだけ下がる。グレイは、じゅこじゅこ激しく上下に往復するドラキアの手をなんとか制止しようと、震える自身の手を上から重ねた。
「待っ、て…っ、だめっ、でるっ!……ドラキアさ、っん、」
「うん?いいよ。大丈夫。そのままイって?」
「……っ、汚れっ、る゛ぅ…っ!!」
「……ああ、」
そういうことか、と瞬いた彼は、グレイの耳へと唇を寄せて、
「グレイは特別」
反射的に視線を向けた先の笑顔は、酷く上品で、目が潰れそうな程に美しかった。
「っ、~~~ッッ!!」
直接身体に吹き込まれた許しを与える声に、一気にゾクゾクッと脳が気持ちよく痺れて、グレイは堪える間も無く絶頂する。
ガクガクと地に着いた1本ぽっちの足を震わせながら、ぱたた、と机の下に精液が散らされた。
円卓に付いていた腕がカクンと力なく折れて、支えを失った上半身はそのままベシャリとうつ伏せる。同時に、犬の小便ポーズかのように机に上げられていた足もずり落ちて、自立しているんだかぶら下がっているんだかわからない両足が、腰と一緒にヘコヘコと痙攣していた。
あ、だしちゃった……。
IQが著しく下がった頭で、はへっ、はへっ、と息を乱して放心していると、
突如、視界がブレるほど強く首を掴まれて、衝撃で円卓にゴンッ!!とグレイの頭が打ちつけられる。
「──ッぐ!?……っ!?」
犯人は1人しかいないわけで。
「なぁ」
さっきより幾分か低い声がして、しかし声色以上の威圧感に、思わずグレイの背筋がゾッと凍りつく。
恐る恐る横目で見ると、心底軽蔑したような冷たい顔でこちらを見下すドラキアと視線が合った。直後グッ、と背後から首を掴む手に力が入って、その痛みと硬い机に抑え付けられる苦しさにグレイの顔が歪む。
たった数秒のそのやり取りでグレイは記憶に新しい恐怖体験を鮮明に思い出し、無意識にヒュ、と喉を引き攣らせた。
「……ついこの間殺されかけた相手に触られて簡単にイッてんじゃねーよ、気持ち悪りぃな。頭イカれてんのかテメェ」
「……え、」
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