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第八階層 宗教画-8
しおりを挟むベシャリ。
脚立も使わずにフラフラと絵画から這い出たグレイ達は、重力に従って床へとその身体を打ち付ける。
「ぐっ……、」
「……っ、痛…っ、」
オークルに腕を引かれてオルデウスの絵画から出ると同時、衝撃の痛みも関係するのか否か、グレイの意識は大分正常に戻っていた。……今まで自分が何をしていたのか、はっきりばっちり思い出せるレベルで正常に。
しかし一気に晴れたその頭とは対照的に、先程まで散々高められた感度が一掃されることは無かったようで。
未だ熱を生む下半身の疼きに歯を食いしばったと同時、ごぷ…っ、とそこが返事をするように白濁を漏らして、グレイは反射的に身を竦める。
「っあ゛!……っ、…っ」
「……はぁっ、……掻き出すぞ。……布巾に染み込ませて、後で戻す。……っ、ぐ、」
「…でも、せんぱ、…っ、」
横目でグレイの反応を見て立ち上がろうとするオークルは、酷く苦し気だった。額には冷汗が滲み、食いしばった歯の隙間からは絶えず酸素を求めて荒い空気が行き来する。依然掴まれたままの腕に触れる彼の手の平は燃えるように熱く、そしていつの間に傷を負ったのか、鮮血がグレイの肌を赤く汚していた。
今の状態だけ見るとグレイよりも大丈夫ではなさそうなその姿に、咄嗟に心配からくる声をかけたが、
前髪の隙間から見えた、こちらに向けられる情欲を煮詰めたような赤らんだ漆黒に、ゾクゾクと全身が痺れて何も言えなくなる。
「──ぁ、」
「……、来い、」
オークルは自身の上着を簡易的にグレイの腰に巻くと、性急な様子で腕を引き、展示スペースを後にした。
今更だが、グレイは素っ裸に腰布(オークルの上着)だけを纏った大変情けない姿をしており、当然元々の作業着は全てオルデウスの絵画内に置きっぱなしだ。本来重大な規約違反だが、ここで絵画内に戻って回収したところでより事態を悪化させる未来しか見えないのだからやむを得ない。
足は碌に力が入れられずにガクガクと震えて、殆ど引きずられている形だし、どぷっ、とぷ…っ、と動く度に漏れ出てくるオルデウスの精液……いやもう絵画から出てしまったのだからただの白い絵の具となっているそれが、いちいちグレイの身体を疼かせて堪らない。
……それに、今は後姿しか見えないオークルの先程の目が忘れられなくて。
もうオルデウスへの信仰は無くなったはずなのに、依然ドクドクと早鐘を打つ心臓にグレイは酷く戸惑いながら、口内にある粘ついた唾液を掻き集めてごくり、と喉の奥に押し込んだ。
*
「……っ、……ふっ、……っ、…~~ッひ!」
第八階層の仮眠室。簡素なベッドか一つだけ置かれた正に仮眠を取るためだけの狭い一室で、明かりも付けないままにグレイは尻の内容物を掻き出されているところだった。
もう犯された後の恒例行事となってしまっているオークルによる掻き出し行為だが、どれだけ繰り返されようと、死にたくなる程のグレイの羞恥が薄まる兆しは見えない。寧ろ回を重ねるごとにどんどん更新されていく情けなさと申し訳なさに、いっそのことティッシュと一緒にクシャっと丸めてゴミ箱に捨てて欲しいくらいである。
グレイは尻だけを上げた俯せの姿勢で、まるで許しでも請うかのようにベッドシーツに額を擦りつけて、食いしばった歯の隙間から漏れ出そうになる喘ぎ声を必死にこらえていた。
ぐぽっ、じゅぶ…っ、
オークルの長い指が何度も何度も奥を探って、腸壁にへばりついた精液をこそぎながら外へ出ていき、かと思えばまたぐぷりと突き入れられ、取り零しなど無いようにくまなく調べられられる。
毎度の事ながら、先程まで散々肉棒で快感を教え込まされ敏感になっているそこを直後に指で弄り回されるというのは拷問に等しい何かのようだった。
例えそれが愛撫を目的としたものではなくとも、高頻度で襲いくる耐え難い快感にグレイの欲求もどんどん変な方向へと逸れていってしまう。
……もしも、…もしも、あのジンジンと熱を持って肥大したしこりを、オークルのカギ状の指で強く…、何度も、何度も、形が変わってしまうくらいに引っ掻かれたりしたら……。
自分の頭の中から出てきたとは思えないとんでもなく淫らな想像から意識を逸らすべく、グレイは咄嗟にギュッ、と強く瞼を閉じた。
──しかし、直後に襲い来た、想像と寸分狂わない……いやそれをも凌駕する壮絶な快感に、目を見開かずにはいられなくなる。
ごりゅ…っ!ごりゅぅっ!
オークルの指が、グレイの前立腺をやや乱暴に抉った。
「ぁ゛っ!?うそっ…っや、ぁっ、あ゛――っ、待っ、~~ッッ!!」
「……っ!」
とぷっ、ぴゅる……っ!ガクガクガクッ!!ビクンッビクンッ!!
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