ヴァーミリオンの絵画館

椿

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第八階層 宗教画-6

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「………っ、はあっ…、中に、全部出してしまいました……。主様の事が愛おしくてたまらず、…お許し下さい…っ♡」
「ぁ゛っ、…はっ、ぁあ~~♡…んっ、」

 絶頂はほぼ同時だった。グレイの精液は自身の腹の上を彩り、そしてオルデウスのそれは腹の奥へと叩きつけられる。ビクンビクンと激しく痙攣するグレイの中は、じんわりと腹を満たす欲望を全て搾り取るように蠢いて、更なる深い快感を互いへもたらした。
 申し訳なさそうな言葉を口にしているにも関わらず、奥に子種を塗り込めるようにぐっ、ぐっと更に腰を押し付けるちぐはぐなオルデウスの行動には、もう既に疑問すら湧かない。

「いとぉ、しい、」
「はい、主様。オルデウスは主様を愛しております」
「あ、ぃ、」
「はいっ」

 愛。愛している。オルデウスは俺の事を愛している。
 繰り返して、確認して、全てを受け入れるかの如く大きく頷かれる度に何物にも代えがたい幸福感を得る。しかし、温かいそれから隠れた胸の隅っこで、何かがずっと鋭い警鐘を鳴らしているような気がした。


 愛してるって何だっけ?


『グレイ』


 その時、凛と、姿勢を正されるような澄んだ低音が頭に響いて、

「──ぁ、…せんぱい……?」
「──、」

 思わず零れたグレイのか細い言葉に、オルデウスの顔は一気に無機物に成り替わるように全ての感情を削ぎ落とした。しかしそれは瞬く間に取り繕われて、笑みを模る。

「……いいえ。オルデウスでございます」
「…~~ッッあ゛!!♡」

 ごちゅんっっ!!

 グレイの中に収められたまま硬く勃ち上がっていたらしい肉棒が、勢いよく奥へと差し込まれた。
 急に襲った脳を突き抜けるような衝撃に、堪らずグレイは引き攣った喘ぎ声を出す。

「名前を呼んでください…っ!貴方様が愛しいと仰ってくださる僕の名前を」
「あ゛っ、おっ、る、…っ!ン゛ッ、おるでう、すっ!!♡」
「もう一度、好きと、」
「あ、ひっ、…っ、おるでうすっ、すきっ!♡すきぃっ!!だい、す、っきぃい!!♡」
「……っ、はい。僕も。僕もですよ主様」

 ばちゅんばちゅんばちゅんっっ!!ごりゅっ、ごりゅ、ぐりぐりぐりぃ!ズンズンズンッ!!

 先程までの甘く蕩けるようなピストンはチュートリアルか何かだったのか。新品同然の上等なベッドフレームがギッギッ、と音を出す程激しく穿たれて、中の敏感な場所をこれでもかという程潰され、抉られ、嬲られる。オルデウスの硬くて、太くて、そして綺麗だったあの剛直で、グレイの弱いしこりがぐにぐにと形が変わるくらいに虐められている所、奥の閉じた場所を割り開こうとゴツゴツ卑猥にノックしている所を想像すると、何だかもっと堪らない気持ちになって、グレイは強い快感の濁流に流されるまま腰を跳ねさせて感じ入った。
「好き」と言葉にする度何かが塗り替えられていくような気がしたが、いまわざわざそれについて思考する余裕は無い。

 気持ちいっ、好きな人とするのって…、こんなに気持ち良かったんだ……っ!

「あっ、あぁ~~っ!♡……っ、んっ!ひっあ!ン゛っ!♡」
「僕の事を好いてくれているのなら、このままずっと一緒がいいですよね?……一緒に居ましょう、ね?僕と、……っ、オルデウスと一緒に居たいと言って下さい」
「ぇっ、あ、あっ、ああぁ…っ!!♡」

「もう二度と、貴方様を死なせたりしませんから」

 耳元で囁かれた少しだけ必死さの混じる声が、グレイの中で意味を伴ってじんわりと質量を増していく。

 快楽に溺れる中、その魅力的な提案にグレイが頷きかけた時だった。

「グレイ!!」

「……っ?……せんぱ、ぃ…?」

 聞こえたのは、先程も脳裏に過った尊敬する人の声。
 グレイの微かな呟きにオルデウスの律動が止まる。ブレのなくなった視界の端、宙に浮かぶ枠の外側に見えたのは、予想できた失敗を噛み締めるように顔を顰めるオークルの姿だった。

「……っ、案の定かよっ!!」

 そう吐き捨てて絵画の中に足を進めようとするオークルを、

「止まれ」
「──っ、」

 神が制止する。

 今にも絵画内へ入ろうとしていたオークルの動きが完全に止まった。

「僕の主様はもう外界そちらには戻らない。
 ……ね、主様もそれが良いんですよね?」

 無機質な視線と声から一転、グレイにだけ向けられる甘く蕩けたそれに胸が高鳴る。

 膝の裏を待たれ、開け広げられた状態で背面座位の姿勢にさせられて、まるで外界のオークルに見せつけるかのようにピストンを再開されても、愛しさの前では羞恥すら塵同然であった。

「ぁ、ぁあ、そうっで…っ!あっ、ずっとここにぃっ、居たい、です…ひあんっ!♡ぁ、ん゛神様っ、すきぃ…っ、だからあぁっ」
「オルデウス、ですよ。主様」
「おるでうすさっ、に、はっ、ん゛っ!♡…き、気持ち良いっ、ことぉ、あっ、あっ、いっぱい気持ち良いことっ、してもらえるからぁ゛!!♡」
「……ふふっ、もっと詳しく言ってあげて下さい」

 ここは?と囁かれて、亀頭でぐにぃ、と押し潰されたのは、既に嫌という程快感を教え込まれている卑猥なしこり。

「ア゛ッ!!~~っ、あっ、ぁっ!すきっ!♡すきぃ、そこ…っ!!一番っ、きもちぃとこおっ!!♡ぁっ、だめっ、イ、ん゛ッ!♡…はっ、はぁあんっ、イッ、ちゃ、うぅ…っ」
「……んっ、奥も、好きですよね?」
「んあ゛~~っ…!♡ぁうっ、ン゛ン~~っ!おく、すきっ、…っふかいのぉっ、すきい!♡…っぁ!やっ、イクッ、や゛、ぁあ!!~~ッあ!♡ひっ!やあっ、だめっ!♡ダメになっちゃうぅ゛~~ッッ!!」
「……駄目になって下さい…っ!!」
「~~~ッッ!!♡」

 ずぶっずぶっずぶっ、どちゅっどちゅっどちゅっどちゅ…っ! 
 ビックンッッ!!ガクガクガク…ッ!ビクッ、ビク…ッ!

 前立腺と奥の行き止まりを交互に往復されて、何に阻まれる事もない直接的な快感に、グレイは高められるがまま盛大に絶頂する。
 宙でぷらぷらと無様に揺さぶられていただけの陰茎から、ビュッ、ピュルッ…、と数回に分けて勢いの弱い白濁が痙攣に合わせて四方に撒き散らされていた。
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