ヴァーミリオンの絵画館

椿

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ブレイクタイム Re第二階層 人物画-5

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「こーんなヒクつかせて……」
「……っ、」
「お前様、一体何だこのやらしい穴はよォ。教えてくれ」

 くぱっ、くぱ…っ、と開閉の止まない濡れた穴の縁を、皺を伸ばすようにしてゆっくりなぞられる。
 こちらを見下ろすカガリのニヤついた顔に、グレイは初めて本気で人を殴りたいと思った。しかし、湧き上がるその黒い衝動を、歯を食いしばる事でギリギリ抑えて返事を絞り出す。

「……っ、し、尻の、」
「いやァ、ケツがこうはなんねェよ。……もっと、違う穴だよなァ。そうだろ?」
「……っひ、」

 人差し指の第一関節だけをくぷっ、ちゅぷ…っ、と遊び感覚で出し入れされて、思わず息を詰めた。
 カガリはグレイに覆いかぶさるようにして身を乗り出すと、その顔をグレイの肩辺りに埋めて、耳に触れそうなくらい近付いた唇から官能的な低音を吹き込む。

「……例えば、俺のぶってェの奥まで突っ込んで、四六時中セックスして、…失神するまでイキまくるための穴、とか?」
「……っ、ぃ、やぁ…っ」

 グレイにその情景を想像させるような言い方は酷く巧みだった。顔を逸らしながらも反射的に後ろで指先をきゅん、と締め付けてしまうと、正確にそれを認識したカガリが口の中だけで笑って、グレイの臀部にぐ…っ、と灼熱の剛直を当てがう。

「ほら、何て言うンだお前様」

 指を抜き、姿勢を元の座位に戻したカガリは、おもむろにグレイの片側の太腿にグレイが出した精液を塗り付けると、反対側のそこを掴んで内側の柔らかい肌にレロォ…、とねっとり舌を這わせた。
 見せ付けるようになされた艶かしいそれは精飲を示唆しており、……そんな分かりやすい脅しを使われると、グレイも従わざるを得なくなる。
 それでも勿論恥ずかしさが無くなるわけではなかった。既に首から上を真っ赤に染めたグレイは必死に顔を逸らし、羞恥で震える唇を更に震わせて告げる。

「………っ、ま、………ん、……っは、ゃっ、」
「…聞こえねェ。もっとはっきり」
「~~ッッ!!……ま、ま○こ、ですっ」
「……どこが?指差して」
「…ひぐっ……っ、…うぁ、ここっ、……~~っ、俺のっ、ここ、の、ヒクヒクしてる穴はぁ、め、メスま○こ、です……っ」

 これ以上ないくらいの恥辱を味合わされている。
 いっそのこと振り切れてしまおうかと先程カガリに言われた卑猥な単語を意識して使うが、中途半端に真っ当な思考ではただの自殺行為だった。口にしたことで更に心臓が掻き毟られて、件の場所はよりヒクヒクちゅぱちゅぱと一生懸命に空気を食む。
 見下ろす男の視線は、燃えるような情欲を孕んで細められていた。

「この変態!!」と詰りたくなるが、一方的にそうは言えないのが辛い所だった。どう考えたって変態的な格好をして変態的な事を言っているのはグレイの方だ。

 とぷ…っ、とぷぷっ、とろぉ…

 直前に中に出された白濁が、留まり切れずに穴から溢れ出してくる。直腸を滑り落ちるゾワッとした感覚に身体を震わせると、そこを注視していたカガリも当然変化に気づいたらしい。

「あーあー、こんなヒクつかせてっから…、せっかく入れたのに流れちまってンぞ。栓しねェとなァ」
「ぁあ゛っ!?」

 ずっ、ぬ、ぶぶぶ……っ

 溢れる精液を押し戻すように、再び指が挿しこまれる。今度は先端だけでなく、付け根まで一本丸々だ。
 敏感なしこりの近くまで来る気配があって、グレイは予想できる快感への無意識な期待に、きゅうっ、と柔い肉でカガリの指を包み込んで圧迫した。

「……美味そうにしゃぶるじゃねェか。…もう慣れたモンか?なあ、何人にこうされてきた」
「ぁっ、ひぅ……そこぉ…っ!だ、め…っ、」
「喘いでねェで答えてくれよ」
「~~っっ!!あ゛っ、……っわ、わ、かんない…!!たく、さん…っ、」
「……沢山、ねェ」

 指を増やされて、ごりゅっ、ぐっ、ぐっ、とペニスの裏側を擦られると、途端に頭が痺れて使い物にならなくなる。くしゃりと顔を歪めて引き攣ったような喘ぎ声を止められないでいると、少しの間無言でグレイの中を責め立てていたカガリが、開いた手でほぼ脱げかけのグレイのシャツを一気に首まで捲り上げた。
 快感を逃がそうと身をよじり、偶々逸らされていた胸から、まるでカガリに見せつけるようにぷっくりと芯を持った二つの粒が姿を現す。

「っ!!」
「……乳首もこんなにおっ立たせて、」
「っぁ、やだっ!触…んなっ、」

 指先でちょんと尖りをつつかれて、それだけで痺れるような快感が身体を走る。

「ここも誰かに弄ってもらったのか?なァんでこんなエロいことになってンだ?」
「……っ、え、エロくない…っ!」
「いやいやそりゃ無理あンだろ。ちょっと触っただけで腰ビクつかせて……、ほら、撫でてただけでもう完全に勃起しちまった」
「…ン…っ、はっ、ぁ!」

 ふにっ、ふにふに…っ、こす…っ、

 カガリの言う通りグレイの乳首はあっという間に限界まで膨れ上がって、表面を軽く撫で摩るだけのカガリの指をしっかりと押し返していた。赤く充血しきって卑猥に勃ち上がるそこは、まるで二つ目の性器のようだ。感覚もどんどん鋭敏になっていって、今のもどかしい刺激のままでは満足できなくなる。

「摘みやすそうな形させて…、自分でも弄ったか?」
「んなっ!…っ、わけ、ない…っ!」
「じゃあどうされンのが一番気持ち良かった?」
「……ぁ、やだっ!……っっ、」

 くに…っ、ぐに…っ
 指先に少し力が加わって、勃起した乳首を上下左右に順番に押し倒すような動きに代わる。
 神経を伝わって下半身に響いて来るような疼きに、グレイは自然に荒くなる息を首を振ることで誤魔化した。

 ぁ、駄目…っ、このまま強く捏ねられたりしたら……っ、

 グレイには密かに悩んでいることがあった。それは、こうして絵画内で乳首を弄られる機会があった際、散々捏ね回されたそこが翌日になっても腫れ上がったままであること。そして、清掃時服に擦れて時折痛みをもたらすこと。極め付けは、そうやって一度腫れた乳首は、平常時でさえもその大きさを保ち続けてしまうこと。
 自分の乳首がどんどん女性のそれのように変わっていくのが嫌で無いはずがなかった。
 引き攣る呼吸を歯を食いしばって正常に戻し、グレイは自身の正直な気持ちを伝えてカガリの同情を誘おうとする。

「ぅ、ぅゔ…っ、だめっ!はっ、み、みんなに弄られて、敏感になっちゃったから…っ!ぁ、乳首、こ、これ以上大きくするの、や、です…っ!は、恥ずかし、です……っ、」

 一拍の間があって、次の瞬間、
 ずっと指で触られていた片方の乳首を、ぎゅむっっ!!と千切れそうなくらいの力で引っ張られて、急な衝撃と下半身に直結するような突き抜ける快感への驚きに、「ア゛ッ!!??」と喉奥で引き潰れた叫びが出る。反射でぎゅううっ!ひくひく…っ!と後ろに収まったままの指を強く締め付けてしまって、それで思い出したようにカガリは中への責めを再開した。
 予想とは大幅に異なる二箇所からの責めに、グレイの眉は哀れに下がりきって、喘ぎ声を発するための口がだらしなく開く。

「レオにはされたのか?」
「っ!?ぅ、ぁ!…っぃ、痛っ、やめ、やめてっ、乳首…っ!!」
「レオには挿れられたのかって聞いてンだ」
「ひぐっ……、ぁ、い゛、れ、られたっ」
「…セレンは」
「ぃれ、らっ、れました…っぁ、」
「フェアリスもか?」
「……っ!あっ、ぁっ、うんっ、うん゛っ!」
「アインセルとデビッドは」
「ひぁっ…!ぁ、どっちもっ、一緒に、…っされ、た…~~っ!!」
「……制覇してンじゃねェか」

 快活なカガリの口から出たとは思えない、呆れの混じったような冷ややかな声に、グレイの羞恥心と反抗心が刺激される。快感に溺れかけている身体に鞭を打って、自身の足を掴む手に力を込めた。
 潤む橙の瞳を精一杯睨みの形にして、正面のカガリへと向ける。

「……リ、さんっがっ、」
「ン?」
「カ、ガリさんっが、最初に……っ!…っカガリさんが俺のお尻っ、最初に触って、ぇっ、え、えっち、にするからぁあ!だっ、だから、あの後みんなに…っ、俺っ、ひ、ぅ…っ」
「……俺のせいって言いてェのか?」

 空気が張り詰めた気配がした。

 あれ、怒った?
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