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椿

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第五階層 妖精・精霊画-5

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 指で慣らされたわけでもない、性的に興奮していたわけでもない、そして今回はフェロモンを浴びてもいないのに、急に男根を押し込まれて即座に快感を得るなんて。とうとう俺の身体はおかしくなってしまった……。
 ぬぷっぬぷっ!ぬぷっ!と濡れた音を出しながら揺さぶられ、ビクビクと強制的な快感に喘ぐ頭の隅でグレイが微かな絶望感を覚えていた時、
 聞き慣れた鈴のような笑い声が鼓膜を震わせた。

「フェアリス、嬉しい?」
「ちょっと苦しそうだよ?」
「馬鹿違うよ。気持ち良い顔だよこれは!」
「そうなの?じゃあ楽しいってこと?嬉しいってこと?」
「幸せってこと!」
「やった!」

 キラキラと眩い鱗粉を纏いながらフェアリスの周りに集まってきていたのは、グレイの清掃中によく悪戯をしかけてきていた妖精達だった。息を乱して秘めやかな行為をするグレイらとは対照的な、溌剌と飛び回る彼らの場違い感に混乱する。
 妖精達はクスクスと笑いながら愉快そうに続けた。

「おれ達のおかげだね?」
「挿れやすかったでしょ?」
「ぬるぬるで滑りやすかったでしょ?」
「凄く敏感でしょ?」
「フェアリスはドジだから、こうやってぜーんぶ準備してあげないと!」
「フェアリスは手がかかるんだからっ♪」

 重なり合いながら声を連ねる妖精の言葉に、現状の合点がいく。

 何の抵抗も無くフェアリスのものが尻の中に入ったのも、それで快感を得てしまっているのも、全部こいつらのせいだったのか!?……まさか、前に寝ながらされた悪戯って…、

 そこまで考えて、しかし次の瞬間激しく穿たれた中への刺激にもう何も分からなくなる。

「あ゛あッ!っ、ンひッ、あっ!あ゛っ!ん゛ッ、はぁあんッ!~~~ッッ!!」
「……っ、……はっ、」

「フェアリス、もっと奥にね?結腸っていう場所があってぇ~、」
「えぇ?それより乳首弄ってあげた方がよくない?」
「もうビンビンに勃ってるし」
「息吹きかけるだけでイっちゃうかもっ!ふぅっ」

「あ゛ッッ!?ひぅっ!?やっ、そこ、あっ、アッ!……ぁあんん゛ッ!」

 1人の妖精に息を吹きかけられていやらしく身体をくねらせた後、追撃するかのようにフェアリスがグレイの乳首を口に含んだ。
 まだ触れられていないのにも関わらず、興奮にツンと立ち上がってしまっていたそこは狙いを定めやすかったようだ。赤子にしては不純な舌使いでレロレロちゅぱちゅぱと粒を転がされて、腰に電気が走るような気持ち良さにグレイは淫らな声を抑えることが出来なかった。

「キスもしなきゃ!」
「それよりも前触ってあげた方がいいって!」
「ねえねえ繋がってるところ丸見えだね?」
「穴の縁の皺ピッチリ伸びてる!」
「フェアリスのデッカい手で擦って擦って~……あ!ほらすぐイッた!」
「あははっ!ビクビクしておもしろーい!」
「ほら見て!この子に触ってたらわたしまで揺れてる!きゃはは!楽しいっ!」
「おれもやりたいー!」
「フェアリス!今動いたら絶対もっと気持ち良いよ!」
「今いっぱい突いてあげたらきっとその子も最高な気分だよ!」

「やっ、あああ゛っ!?ぐっ、ぐるじっ!だめっ、アア゛ッ!!?い、イぐ、またイぐぅ、やっあ゛ぁあ~~ッッ!」
「……っ、本当だ…、よさそうっ、」

 ぬっぷぬっぷ、ずちゅっずちゅっずちゅっ!パンパンパンッ!

 第三者の適当なアドバイス程最悪なものはない。しかもこのフェアリス、周りに言われた通りにそれを実行するので、グレイからしてみればたまったものではなかった。
 激しく肉がぶつかる音を真似るように拍手をし出した妖精達に苛立ちながら、しかし続く絶頂感に襲われて訳も分からずガクガク腰を振りたくるグレイには、強く反論できるほどの余裕が無い。

「…っ、はっ、ぅ゛、も、やめ゛でっ!!……い、やあ゛ッッ!!だめっ、やだっ、やだやだっ、や゛ッ!だあ゛~~…ッッ!!」
「……?嫌じゃ、ないよね?」
「──ぇ、」

 どこかの伝承で聞いたことがあった。妖精はその眼で嘘が見透かせるのだと。

 フェアリスの幻想的な桃色の瞳でまっすぐ射貫かれて、心底不思議そうに首を傾げられる。
 ピストンを辞めて欲しいのは本当なのに、本当のはずなのに、そんなことを言われてしまってグレイは一瞬自分の感情が分からなくなった。

 もっとめちゃくちゃに、何も考えられなくなるくらい激しく中を穿って欲しいと思っているんだろうか。本当は絶頂後も腰を動かされ続け、痙攣して締まる中を無理やりこじ開けられて気持ちよく理性を飛ばしてしまいたい、とそんな欲求を持ってしまっているんだろうか。
 違う。絶対に違う。そんなこと考えてない。思ってない、……筈なのに…っ!!

「~~…ッッ!!」
「…っ、ぁ、締まる…、」

 フェアリスの目を見ながらグレイは盛大に腰をビクつかせてイッてしまった。痙攣して蠢く中は、フェアリスのペニスをギュウギュウときつく締め付けるが、彼の硬い怒張はそんな拘束を振り切るようにずろろっ、ずろろっ、と絡みつく肉を強引に引っ張りながら抜いて、穿って、また抜いて、穿って…と繰り返し、絶頂後で中全てが敏感なグレイを休みなく責め立てる。
 止まらないピストンと、ずっとイッているような暴力的な快感にグレイはまともに息を吸うことすら出来なかった。

「あ゛、あ゛っ、ぁ゛~~……っっ、」

 ずんっずんっずんっ、どちゅどちゅどちゅどちゅっ!!
 びゅくっ!とぷっ、とぷっ…!

 余り勢いのない精液が押し出されて、フェアリスの逞しい腹筋をもう何度目か分からないくらい汚す。耳元で妖精が「4回目だよ」と笑いながら教えてくれるが、絶頂を見られていることにも数えられていることにも、ありがたみでなく屈辱と羞恥しか感じなかった。

「みるなっ、みるなぁ…っ!」と何とか身を縮こまらせて二本の腕で全身を隠そうとするが、それはすぐフェアリスの手に絡めとられて地面へと力強く固定されてしまう。
 開け拡げられた身体は、フェアリスと野次馬の妖精達、全員に上から下までジッと舐めるように視姦された。

 涙と鼻水、涎などの体液でぐちゃぐちゃの顔も、首まで赤い皮膚も。まだセレンのしつこい愛撫の余韻が残るぷっくりと腫れぼったく勃ち上がった乳首、それを目立たせるように浅く上下する胸。興奮にカクンッカクンッと揺らめき、淫らに痙攣する腰。フェアリスの巨大な怒張を食む、ミチリと限界まで広がった穴。そして、先走りなのか薄い精液なのかよくわからない液を、とぷとぷと壊れた水道みたいに絶えず垂れ流すだらしない先端も。

 全部全部、見られている。視線で、犯されている。

 一つ一つ、こちらに向けられる目を意識してしまい、ひくひくひくっ、ぎゅう~~っと、無意識にグレイの下半身に力が入る。それによって一時的に止まってくれていたフェアリスの怒張に自分の良い所をぐにぐにぃっ!と押し付けてしまって。
 グレイはこの場に居る全員の視線を一身に受けながら、勝手に「ああんっ!!」と全身をガクガク痙攣させてイッてしまった。

 ああ、うそっ…!動かれてもなかったのに…っ!

 引かない絶頂の最中も「ゃ、らぁ、み、るな……っ、」と真っ赤な顔を逸らして必死に身を竦めようと暴れるグレイの姿に、フェアリスの喉仏が声も無く上下する。

 隠す場所など作らせないよう広げられた身体と、地面に貼り付けられていくら身を捩っても解けない拘束、そして多方から全身に浴びせられる不躾な視線に、グレイはまるで自分が蝶の標本にでもされているようだと思った。

「フェアリス!あのね、声外に漏れないようにしてるんだよ!凄いでしょ!偉いでしょ!」
「フェアリス!ねえ触っちゃった!白いの触っちゃった!」
「フェアリス~!見て見て!乳首ね、こうやって羽で擦るとねー…?あ!ほら!ビクンってした!」
「フェアリスフェアリスー!もっと揺らしてー!」

「ぁ゛ッ!あ゛ーーッ……、……ぅぁ゛~~ッ、」
「……っは、……っ、グレイさん…っ」

 ずぬっ、ずぬぬっ!どちゅっどちゅっどちゅっどちゅっ!パンパンパンッ!

 まるで恋人のように両手で指を絡ませ合って、激しく性器を抜き差しされる。グレイはもう抵抗する暇も無く揺さぶられて、前立腺を抉られる1ストローク毎に喉の奥でひしゃげた声を出しながら連続で絶頂していた。
 イキ過ぎて苦しい。しかし、恐ろしいことにフェアリスはまだ一度も射精していないのだ。いつ終わるのかもわからない地獄に、グレイは顔をくしゃくしゃに歪めながら喘ぐことしか出来ない。

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