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10歳の時、家が決めた婚約者──天ヶ瀬樹と初めて顔合わせをした。
むっと口を引き結び、つまらなさそうにそっぽを向く樹と、それを咎め、そしてこちら側へ頭を下げる彼の両親。場の空気は控えめに言って最悪だった。
「男の子なんてそんなもんですよ~」なんてのほほんと構える両親で両脇を固められ、更に危機感を募らせた俺は、目の前の少年へ必死になって話しかけたんだ。
何とか笑ってもらおうとあれこれ試して──、
最後の最後。ほんの少しだけ可愛らしい笑みを零した樹に、…ああ、彼を幸せにするのは俺の役目だ、なんて、傲慢にもそんな使命感に似た未来を思い描いたのである。
それが俺、現役男子高校生蒼羽大和の、現在まで続く初恋の話。
【そんな拗らせた初恋の話】
既に日が差している5月の早朝。
家族の誰よりも早く玄関扉をくぐった先に、その男はいつも通りの不機嫌顔で俺を待っていた。
「遅ぇ。こっちがお前の朝練に合わせて早起きしてやってんのに、何ちんたら準備してんだマジで。運動部が聞いて呆れるな!おはよう!」
「……お、おは、」
「ちょっと大和君~!飲み物忘れてるわ、よ……きゃあ樹君!おはよう!」
「奥様!おはようございます。今日も変わらずお美しい」
「やだー!そんな本当の事ーー!♡ 今日もわざわざ大和君迎えに来てくれたの?いつもありがとう♡」
「いえ、お礼を言われるような事ではありません。僕が大和君と一緒に登校したいだけですから」
あからさまに態度を変えた樹の言動に、もういい歳の筈の母は「キャー!」と興奮しきっている。息子の背中をバシバシ強めに叩きながら。痛い痛い…。
数秒そうして、漸く見送りの言葉と共に玄関が閉じられた。
…その瞬間、樹は先程までの爽やかな笑顔を掻き消して、
「俺と一緒に登校したいのはお前の方だろうが大和ォ!勘違いすんな!」
「もう何ぃ!?」
天ヶ瀬 樹という男は、一言で言い表すと『完璧人間』だった。
街を歩けば必ずどこかの芸能事務所にスカウトされるような美しい容姿。実家も太ければ頭も素行も良く、成績は毎回学年トップ。特定の部活に所属はしていないものの、運動能力がないかと言われるとそうでもなく、寧ろその逆。球技大会や体育の授業では彼の入ったチームに負けなしと言われる程だ。芸術面でもその才は発揮されており、美術、音楽etc…、専属の家庭教師に勧められるがまま出た大会で一時期賞を総なめにしていたっけ…。
唯一の欠点と呼べるものはこの多少捻くれた性格と飛び出る暴言だが、これは俺に限定した態度で、学校では誰にでも分け隔てなく優しく、息を吸うように空気が読めてノリも分かるコミュ力の権化…。そんな見せかけの性格は多方にウケが良く、今年立候補していた生徒会長にも、ほぼ全校生徒からの票を勝ち取って無事当選したくらいだ。
もう何と言っていいのか分からない…。
対する俺、蒼羽大和は、実家は同じく太いものの、両親ののびのびした教育の賜物か、特に秀でた点もなく本当にのびのびと育ってしまった…。
飽きっぽくて諦めは早いし、将来の夢も、熱心に打ち込める何かがあるわけでもない。唯一続けられているのは中学の頃に始めたバスケくらいで、…まあそれも大学ではやらないだろうから、せめて高校卒業するまではしっかりやり遂げようと思っていたところだ。
レギュラーメンバーでもないのに、自主制の朝練に積極的に行こうとしたり、とか……。
チラリと隣に目をやると、歩きながら眠たそうにあくびをする樹が見えた。
「樹、登校時間俺に合わせなくてもいいぞ?眠いなら別々に、」
「はあ?別に合わせてないし。眠くないし。新入生歓迎会の次期で生徒会も忙しいから早く学校行きたいだけだし。ついでに大和ん家に媚び売って将来を盤石なものにしたいだけだし!」
「………」
樹の欠点、もう一個あった。
──俺の許婚であることだ。
政略結婚という古臭い慣習は、同性婚が一般化したこの現代でもまだ残っていた。家同士の絆をより強くしたいということで取り決められたこの婚約。…未だに初恋を拗らせて何の冗談かこの横暴な男のことを好きなままで、何ならその想いもどんどん増している俺からしたら願ってもないものだ。
……だが逆は?
樹は俺の事を、おそらく友達にもなり切れてない腐れ縁の幼馴染としか見ていない。
だってあんな横暴な態度、好きな奴には出来ないだろ普通。きっともっと本命にはデレデレするし、ドロドロに甘やかすんだ……。あ、想像したら胃が痛くなってきた。やめよう…。
「何だよ。嫌なのかよ」
何も言わない俺を不満に思ったのか、少し拗ねたような顔でこちらを覗き込んでくる。その仕草にぎゅん!!と心臓が握り潰されるような感覚を覚えた。
あ゛ーー!!何だよそのちょっとしゅんとした子犬のような目はーーーっ!!そんな目で見られたら「嫌です」とか言えるわけないだろ分かってやってんのかコイツ!!
「う、嬉しいです…」
「フン、当然」
一瞬で得意気な顔に戻った樹に、俺は脳内で反射的に感謝を示す。ありがとうございます。樹を俺の一言で元気にすることが出来たという事実で自己肯定感が増します。
……気にしないで欲しい。長年初恋を拗らせた癖のようなものである。
……っていうか、いくら長年の習慣で朝一緒に行くことになってたっていっても、朝練の時にまでわざわざ来てくれるとは思わなかったな。バスケを最後までやり遂げようと思ったのも、完璧な樹にちょっとでも近づけたら…とかいう邪な原動力の賜物だから、何か照れくさいというか、居心地が悪いというか…。
もじもじする俺など視界にも入らないのか、樹はあっさり別の話をし始めた。
「それより、5月の中間テストの勉強しっかりやってんだろうな?前の定期はギリ平均以上だったみたいだが…」
「何で俺の成績把握してんの!?」
「部活動の実績だけじゃ内部進学出来ねぇって毎回言ってるよな?親御さんにご心配とご迷惑をおかけすんな!」
「いだだだ!二の腕抓るのやめろ!」
「……見てやってもいいけど。勉強」
「え?いや、いいよそんな」
「お前のような馬鹿に断る権利はなーーい!!」
「ば、ばか!?」
平均点以上ならまだよくない!?などという反論はきっとそれ以上の熱量と語彙で論破されるので口を噤んでおく。
それにしても、自分の勉強もあって生徒会もあって習い事とかもあるだろうに、更にそれで俺の勉強も見るとか、…もう自由時間なくなるのでは??何がそこまでお前を駆り立てている??俺もしかして自分で気づいてないだけでそんなヤバい??
「たっ、大変だろ。生徒会もあるのに。俺も部活あるから帰るの遅いし…」
「お前のことで大変とかねぇ」
サラリと何でもないよう言われたそれに被さって、自分の鼓動が大きく鳴り響くのが聞こえた。
……ああもう。こういう面倒見良いとこも、ずるいんだよなあ…。
俺は、樹が好きだ。
でも、樹は違う。
昔は自然に想い合えるだなんて盲目的に夢見ていたが、高校生にもなるとそれがどれだけ難しいことなのか理解出来るようになっていた。
俺が幸せにしたいと思っていた、…出来ると思っていたある種の万能感はもう消えてしまったのだ。
…いい加減現実を見なければ。俺ではきっと、本当の意味で樹を幸せにすることは出来ない。
だから俺は、この許婚を俺から開放してやりたかった。そうしなければいけなかった。
…しかし、「これから時間ある夜は俺ん家集合な」と言ってくれる樹に、俺はまた性懲りもなく頷きを返す。
……本当は樹にも俺の事を好いて欲しいし、手を繋ぎたいし、抱きしめ合いたい。き、…キスだってしたい。でもそんな普通の恋愛をしたいと思っているのは俺だけで、…きっと欲を見せた瞬間、樹から引かれてしまうことは確実だ。
もしかしたらそうした方が良いのかもしれない。だけど、この幼馴染の親しい距離感すら離れがたくて。ずるずると当てもないまま関係を引き延ばしているのが今の状況だった。
まだ許される、いつか絶対終わらせるから。そう一人で言い訳をして、俺は樹を独占できるこの時間をいつまでも貪っているのだ。
むっと口を引き結び、つまらなさそうにそっぽを向く樹と、それを咎め、そしてこちら側へ頭を下げる彼の両親。場の空気は控えめに言って最悪だった。
「男の子なんてそんなもんですよ~」なんてのほほんと構える両親で両脇を固められ、更に危機感を募らせた俺は、目の前の少年へ必死になって話しかけたんだ。
何とか笑ってもらおうとあれこれ試して──、
最後の最後。ほんの少しだけ可愛らしい笑みを零した樹に、…ああ、彼を幸せにするのは俺の役目だ、なんて、傲慢にもそんな使命感に似た未来を思い描いたのである。
それが俺、現役男子高校生蒼羽大和の、現在まで続く初恋の話。
【そんな拗らせた初恋の話】
既に日が差している5月の早朝。
家族の誰よりも早く玄関扉をくぐった先に、その男はいつも通りの不機嫌顔で俺を待っていた。
「遅ぇ。こっちがお前の朝練に合わせて早起きしてやってんのに、何ちんたら準備してんだマジで。運動部が聞いて呆れるな!おはよう!」
「……お、おは、」
「ちょっと大和君~!飲み物忘れてるわ、よ……きゃあ樹君!おはよう!」
「奥様!おはようございます。今日も変わらずお美しい」
「やだー!そんな本当の事ーー!♡ 今日もわざわざ大和君迎えに来てくれたの?いつもありがとう♡」
「いえ、お礼を言われるような事ではありません。僕が大和君と一緒に登校したいだけですから」
あからさまに態度を変えた樹の言動に、もういい歳の筈の母は「キャー!」と興奮しきっている。息子の背中をバシバシ強めに叩きながら。痛い痛い…。
数秒そうして、漸く見送りの言葉と共に玄関が閉じられた。
…その瞬間、樹は先程までの爽やかな笑顔を掻き消して、
「俺と一緒に登校したいのはお前の方だろうが大和ォ!勘違いすんな!」
「もう何ぃ!?」
天ヶ瀬 樹という男は、一言で言い表すと『完璧人間』だった。
街を歩けば必ずどこかの芸能事務所にスカウトされるような美しい容姿。実家も太ければ頭も素行も良く、成績は毎回学年トップ。特定の部活に所属はしていないものの、運動能力がないかと言われるとそうでもなく、寧ろその逆。球技大会や体育の授業では彼の入ったチームに負けなしと言われる程だ。芸術面でもその才は発揮されており、美術、音楽etc…、専属の家庭教師に勧められるがまま出た大会で一時期賞を総なめにしていたっけ…。
唯一の欠点と呼べるものはこの多少捻くれた性格と飛び出る暴言だが、これは俺に限定した態度で、学校では誰にでも分け隔てなく優しく、息を吸うように空気が読めてノリも分かるコミュ力の権化…。そんな見せかけの性格は多方にウケが良く、今年立候補していた生徒会長にも、ほぼ全校生徒からの票を勝ち取って無事当選したくらいだ。
もう何と言っていいのか分からない…。
対する俺、蒼羽大和は、実家は同じく太いものの、両親ののびのびした教育の賜物か、特に秀でた点もなく本当にのびのびと育ってしまった…。
飽きっぽくて諦めは早いし、将来の夢も、熱心に打ち込める何かがあるわけでもない。唯一続けられているのは中学の頃に始めたバスケくらいで、…まあそれも大学ではやらないだろうから、せめて高校卒業するまではしっかりやり遂げようと思っていたところだ。
レギュラーメンバーでもないのに、自主制の朝練に積極的に行こうとしたり、とか……。
チラリと隣に目をやると、歩きながら眠たそうにあくびをする樹が見えた。
「樹、登校時間俺に合わせなくてもいいぞ?眠いなら別々に、」
「はあ?別に合わせてないし。眠くないし。新入生歓迎会の次期で生徒会も忙しいから早く学校行きたいだけだし。ついでに大和ん家に媚び売って将来を盤石なものにしたいだけだし!」
「………」
樹の欠点、もう一個あった。
──俺の許婚であることだ。
政略結婚という古臭い慣習は、同性婚が一般化したこの現代でもまだ残っていた。家同士の絆をより強くしたいということで取り決められたこの婚約。…未だに初恋を拗らせて何の冗談かこの横暴な男のことを好きなままで、何ならその想いもどんどん増している俺からしたら願ってもないものだ。
……だが逆は?
樹は俺の事を、おそらく友達にもなり切れてない腐れ縁の幼馴染としか見ていない。
だってあんな横暴な態度、好きな奴には出来ないだろ普通。きっともっと本命にはデレデレするし、ドロドロに甘やかすんだ……。あ、想像したら胃が痛くなってきた。やめよう…。
「何だよ。嫌なのかよ」
何も言わない俺を不満に思ったのか、少し拗ねたような顔でこちらを覗き込んでくる。その仕草にぎゅん!!と心臓が握り潰されるような感覚を覚えた。
あ゛ーー!!何だよそのちょっとしゅんとした子犬のような目はーーーっ!!そんな目で見られたら「嫌です」とか言えるわけないだろ分かってやってんのかコイツ!!
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「フン、当然」
一瞬で得意気な顔に戻った樹に、俺は脳内で反射的に感謝を示す。ありがとうございます。樹を俺の一言で元気にすることが出来たという事実で自己肯定感が増します。
……気にしないで欲しい。長年初恋を拗らせた癖のようなものである。
……っていうか、いくら長年の習慣で朝一緒に行くことになってたっていっても、朝練の時にまでわざわざ来てくれるとは思わなかったな。バスケを最後までやり遂げようと思ったのも、完璧な樹にちょっとでも近づけたら…とかいう邪な原動力の賜物だから、何か照れくさいというか、居心地が悪いというか…。
もじもじする俺など視界にも入らないのか、樹はあっさり別の話をし始めた。
「それより、5月の中間テストの勉強しっかりやってんだろうな?前の定期はギリ平均以上だったみたいだが…」
「何で俺の成績把握してんの!?」
「部活動の実績だけじゃ内部進学出来ねぇって毎回言ってるよな?親御さんにご心配とご迷惑をおかけすんな!」
「いだだだ!二の腕抓るのやめろ!」
「……見てやってもいいけど。勉強」
「え?いや、いいよそんな」
「お前のような馬鹿に断る権利はなーーい!!」
「ば、ばか!?」
平均点以上ならまだよくない!?などという反論はきっとそれ以上の熱量と語彙で論破されるので口を噤んでおく。
それにしても、自分の勉強もあって生徒会もあって習い事とかもあるだろうに、更にそれで俺の勉強も見るとか、…もう自由時間なくなるのでは??何がそこまでお前を駆り立てている??俺もしかして自分で気づいてないだけでそんなヤバい??
「たっ、大変だろ。生徒会もあるのに。俺も部活あるから帰るの遅いし…」
「お前のことで大変とかねぇ」
サラリと何でもないよう言われたそれに被さって、自分の鼓動が大きく鳴り響くのが聞こえた。
……ああもう。こういう面倒見良いとこも、ずるいんだよなあ…。
俺は、樹が好きだ。
でも、樹は違う。
昔は自然に想い合えるだなんて盲目的に夢見ていたが、高校生にもなるとそれがどれだけ難しいことなのか理解出来るようになっていた。
俺が幸せにしたいと思っていた、…出来ると思っていたある種の万能感はもう消えてしまったのだ。
…いい加減現実を見なければ。俺ではきっと、本当の意味で樹を幸せにすることは出来ない。
だから俺は、この許婚を俺から開放してやりたかった。そうしなければいけなかった。
…しかし、「これから時間ある夜は俺ん家集合な」と言ってくれる樹に、俺はまた性懲りもなく頷きを返す。
……本当は樹にも俺の事を好いて欲しいし、手を繋ぎたいし、抱きしめ合いたい。き、…キスだってしたい。でもそんな普通の恋愛をしたいと思っているのは俺だけで、…きっと欲を見せた瞬間、樹から引かれてしまうことは確実だ。
もしかしたらそうした方が良いのかもしれない。だけど、この幼馴染の親しい距離感すら離れがたくて。ずるずると当てもないまま関係を引き延ばしているのが今の状況だった。
まだ許される、いつか絶対終わらせるから。そう一人で言い訳をして、俺は樹を独占できるこの時間をいつまでも貪っているのだ。
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