勇者追放

椿

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二章

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「…っふ、…ん、」

 ベッドの上、胡座をかいて座るエリーの下半身に顔を埋めるオレ。
 やっているのは口淫だった。
 一応知識として知っているだけで、勿論やったことはない。最初はどうすれば良いのか分からなかったが、エリーが「ここを舐めてくれたら気持ちがいい」とか「そこは手で擦って欲しい」とか丁寧に教えてくれて、…か、形にはなってる…か?……ちゃんと気持ちいいのかなこれ…。
 不安に思い、陰茎を口に咥えたまま見上げると、少し目を細めた色っぽい表情のエリーと視線が合う。

「……気持ち良いぞ。…上手だな」
「…っ、」

 ご褒美か何かみたいに顎と喉を指で撫でられて、じんっと脳が甘く痺れた。こんなのでも褒めてもらえるのは嬉しい。

 精液を取り込むのは口からでもいいんじゃないかと思い、オレがエリーにこれを提案した。その方が色んな意味で双方の負担が軽いと思ったのだ。
 それでも最初は、男の性器を口に…なんて流石にオレも抵抗があった。エリーの一物はその体付きに見合った立派な形をしていて、張り詰めて血管が浮いている様子は到底他の物とは思えなかったし…。
 しかし恐る恐る先端を舐めてみると、次の瞬間にはごちゃごちゃ考えていた事など一掃された。

 美味しいと、感じてしまった。
 刺激すると出てくる先走りが甘くて、脳が痺れる。どんどん敏感になる口内に芯を持った肉棒が擦り付けられると、それだけでイきそうなくらい気持ちが良かった。もっともっと欲しくなる。
 下品な音を立てながら口の輪で竿を扱いて、先端を唾液たっぷりのべろでずりずり刺激した。呑み込みきれない部分を数本の指で上下に擦って、玉をやわやわ揉んで……。きっと側から見れば酷くみっともない姿だったろうけど、オレなりに必死でエリーを追い詰めた。

「あっ、勇者、……っそろそろ…、」

 爽やかな顔面を快感で淫らに歪めるエリー。その気持ちよさそうな様子に、やっぱりちょっと嬉しくなる。
 オレは今にも弾けそうな怒張を頬張ったまま、エリーを見上げて言った。

「…っ、くらはい…」
「っ、」

 それから少しして、「でる…っ、」という切ない声と同時、びゅっびゅる…っ!と熱い体液が喉奥へ勢いよく叩きつけられた。一瞬で口内を満たした粘つくそれをオレは夢中で飲み干す。甘くて、濃厚で、一度味わうとえも言われぬ満足感に包まれて、視界すらまともに定まらなかった。
 オレは前のめりになると、エリーのペニスをより奥へと咥え込む。喉の奥の奥、嗚咽が出そうになる間際まで先端を招き入れて、残滓を全て吸い出すように必死にしゃぶる。もっと…っ、もっと美味しい精液欲しい…っ!
 しかしエリーは、そんな風にがっつくオレの頭を無理矢理引き剥がして、

「ぁ、ぇ、」
「す、すまない…!また、勃つから…」

 とろんと蕩けた頭では、焦ったようなエリーの発言を理解するのに少し時間がかかった。
 そして、漸く正気に戻る。

「あっ!?ごっ、ごごごごめ…、っ!?」

 慌てて距離をとろうとするオレだったが、途中でカクンッと膝が折れた。

「──え、」

 脚が小さく震えて全く力が入らない。バクバクと皮膚のすぐ下で鼓動が鳴り響いているような感覚があって、全身を熱くする酷い興奮に一瞬頭が真っ白になる。「ァ、…ぁ、」と小さく身体を震わせながら、オレは口の端から涎が垂れるのを拭うことすら出来ないでいた。
 ぁ、うそ、これ、治るどころか寧ろ…、

「どうだ?少しは楽に…、」

 途中で言葉を切ったエリーが、じっとこちらを観察するように見ていた。その視線にすらゾクゾクして、勝手に腰が揺れる。きっともう異常なのはバレていただろうけど、折角ここまでしてもらったのに「結局ダメでした」なんて言えなくて。
 オレは出来るだけ笑顔を保って、ふっ、ふっ、と乱れる息を整えてから言う。

「ご、ごちそ、さまでしたぁ…。おいしかった。ありがと…。も…大丈、夫…っ。エリーはこのまま、摘んだ薬草をギルドで換き、んン゛…ッッ!」

 スッ、と股の間に差し込まれたエリーの足が、オレの勃起を押し上げた。突然の強過ぎる快楽に、オレはたまらずガクガク足を痙攣させて感じ入る。

「あっ、あっ…ぅ、」
「まだ治ってなさそうだ…」

 喘ぐオレを見下ろす少し怖いような視線に、もう言い訳など意味を成さない事を悟った。

「…もしかしてさっきので射精してたのか?湿ってる。中が気持ち悪いだろう。脱いだ方が良い」
「ぁっ、…っ、まって…、」

 抵抗できないままベッドの上で転がされ、かろうじてまだ履いていたパンツを剥ぎ取られる。ぐっしょりと湿り糸まで引いたそれに「うぉ、エロ…」と本気の声で呟かれて、オレは恥ずかしさで爆発したくなった。

「……ん?精液じゃないなこれ。先走りでもない…よな?」
「や、やめっ、──!?!?」

 唐突に両足を腹側へと折り曲げられ、大きく開かれる。一瞬ヒヤリと冷たい風が通った。それによって、恥ずかしい場所全部がエリーの前に晒されてしまっている事を自覚する。

「もしかして、尻の穴が濡れているのか…?女性みたいに…」
「やあっ!み、るなぁ…っ!」

 今朝ノアさんにいっぱい入れてもらったのに、まだ欲しくて涎垂らしてるおしり、くぱくぱヒクついて空気食べてるおしり、全部全部見られてる…!
 意識するともう駄目で、孔の入口は不安になるくらいの激しさで収縮し出す。その度にこぷ…っ、こぷ…、と興奮を示す愛液が次から次から溢れて、そのまま割れ目を伝い、シーツにいやらしい形のシミを作っていた。

 やだっ、やだっ…!恥ずかしい…っ!
 せめてもの抵抗として咄嗟に顔を腕で覆うが、勿論肝心のぐずぐずに濡れた穴は隠せていない。
 それに、全身の火照った肌と、触れ合った場所からじっとり滲む汗、ぎゅ…っと健気に丸められた爪先が細かく震えているところなんかは…全部全部丸見えだった。

 気持ち悪い、とか…、思われてたら嫌だな…。分不相応にも程があるその想像に、しかし胸はきゅ、と正直に痛む。
 それとほぼ同時、エリーの指が後孔に添えられた。彼はベトベトと周りに溢れた淫液を確かめるように、穴の周囲をゆっくり…焦ったい程優しくなぞる。

「すごいな…。ぐちょぐちょだ…」
「ひ、ぅっ…!」

 油断していたところで、ちゅぷっ…と指先が中に埋め込まれて体が跳ねた。

「ぁっ、あ…っ、うそっ、」
「…中、熱くて柔らかいな…」

 ずぶ…ぬぶぶ…っ。
 オレは目を見開きながら、エリーの指がゆっくりと奥まった場所に入り込んでいくのを中で感じていた。
 体液の滑りを借りて何なく一本全て収まったかと思えば、エリーはそれを一度引いて、また入れて…、何度か中の具合を確認するように動かす。くちゃ…っ、くちゅっ…、淫らな水温が止まらない緩やかなピストンに、きゅうっ、とナカが締まった。

「だめっ、…だめぇ…っ」
「何が駄目なんだ…?」
「ぉ、お、オレ、すぐへんに…っ、トロトロになっちゃうからぁ…っ!」
「……へぇ、トロトロになっちゃうのか…。今よりもっと?」
「んっ、ん…っ、」
「それは寧ろ、見てみたいな」
「ひ、」

 指が増え、中の圧迫感が増す。すぐに敏感なしこりを見つけ出されてオレの反応を見ながら押されると、快感で腰がビクビクと淫らに浮いた。

「ここ、イイのか?」
「あっ!…ふうっ、ふー…っ、あぁっ!」

 あれっ、これ、こんな…っされていいんだっけ?だいじょうぶなやつ??気持ち良くて、頭ふわふわして、何も考えられない…っ。
 快感を追うのに必死で、ただ喘ぐだけになってしまっているオレを見て、エリーは安心したように笑った。

「気持ち良いんだな。良かった…。ほら、手首まで濡れてる」
「ぁ、」

 中から抜いて、ぬるついた体液塗れになったその手を目の前で見せつけられる。てらてら光って滴るそれは、もう完全に性器を挿れるための孔が準備出来ていることを示していた。
 鼻のすぐそばまで近づけられて、自分では嗅いだこともなかった卑猥な臭いに頭がくらくらする。
 その指はすぐにまた元の蜜壺へと埋められていった。もう片方の手はオレの上着を捲りあげて、露わになった乳首を直接弄り出す。
 あっ!ゃ…っ!そこっ、いっしょだ、めぇ…ッ!
 ブル…ッ!全身に力が入って、制御出来ない足先が何度か空を蹴った。それから激しい息遣いと共にくたりと脱力する。気づいた時には腹に精液が散っていた。
 い、いっちゃった……。
 はあ、はあ、と息を整えながら、ぼんやり射精後の余韻に浸っていると、エリーが暑そうに自身の服を脱ぎ捨てた。オレの服も「汚れるからな」と脱がされて、2人共が完全に生まれたままの姿になる。

 息を荒くしたエリーが放心するオレに覆い被さった。ギラつき、興奮し切った雄の顔でこちらを見下ろすエリーに、濡れた穴がぎゅ…っ、といやらしく締まって疼いた。

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